分析観点

分析観点は、ユーザーがキューブをより単純な方法で表示するための定義です。分析観点は、キューブの機能のサブセットです。分析観点を使用すると、管理者がキューブのビューを作成できるので、ユーザーは各自にとって重要なデータに集中できます。分析観点には、キューブのすべてのオブジェクトのサブセットが含まれます。分析観点には、親キューブに定義されていない要素を含めることはできません。

簡単な Perspective オブジェクトは、基本情報、ディメンション、メジャー グループ、計算、KPI、およびアクションで構成されます。基本情報には、分析観点の名前および既定のメジャーが含まれます。ディメンションは、キューブ ディメンションのサブセットです。メジャー グループは、キューブのメジャー グループのサブセットです。計算は、キューブの計算のサブセットです。KPI は、キューブの KPI のサブセットです。アクションは、キューブのアクションのサブセットです。

キューブを更新して処理するまで、分析観点は使用できません。

MicrosoftSQL ServerAnalysis Services でユーザーがキューブ内を移動する場合、キューブが非常に複雑であるために困難を伴うことがあります。1 つのキューブで完全なデータ ウェアハウスのコンテンツを表現することができ、キューブ内の複数のメジャー グループで複数のファクト テーブルを表したり、複数のディメンション テーブルに基づいた複数のディメンションを伴うことがあります。このようなキューブは非常に複雑で強力ですが、ビジネス インテリジェンス要件やレポート要件を満たすために、キューブのごく一部分しか操作する必要のないユーザーにとっては大きな負担になります。

MicrosoftSQL ServerAnalysis Services では、分析観点を使用して、複雑な Analysis Services のキューブをよりわかりやすいものにすることができます。分析観点を使用すると、ビジネス固有またはアプリケーション固有のビューポイントをキューブに対して的を絞って作成するための、表示可能なサブセットを定義できます。分析観点により、キューブに含まれるオブジェクトの表示設定が決定されます。分析観点では、次のオブジェクトの表示または非表示が可能です。

  • ディメンション

  • 属性

  • 階層

  • メジャー グループ

  • メジャー

  • 主要業績評価指標 (KPI)

  • 計算 (計算されるメンバ、名前付きセット、スクリプト コマンド)

  • アクション

たとえば、Adventure Works DW という Analysis Services サンプル データベースの Adventure Works キューブには、11 個のメジャー グループと、売上、売上予測、財務データなどを表す 21 個のキューブ ディメンションが含まれています。クライアント アプリケーションは完全なキューブを直接参照できますが、基本的な売上予測情報を抽出しようとしているユーザーにとって、このビューポイントでは扱いづらい可能性があります。これに対し、同じユーザーが [販売対象] 分析観点を使用すると、Adventure Works キューブのビューを、売上予測に関連するオブジェクトのみに限定することができます。

分析観点でユーザーに表示されないキューブ内のオブジェクトでも、XML for Analysis (XMLA)、多次元式 (MDX)、またはデータ マイニング式 (DMX) のステートメントを使用して、直接参照し取得することができます。分析観点はキューブ内のオブジェクトへのアクセスを制限するものではありません。そのような目的で使用しないでください。分析観点は、キューブへのアクセスをより快適にするために使用するものです。

分析観点はキューブの読み取り専用ビューであり、分析観点を使用してキューブ内のオブジェクトを変更したり、名前を変更したりすることはできません。同様に、分析観点を使用して表示部分の合計などのキューブの動作や機能を変更することもできません。

セキュリティ

分析観点は、セキュリティ メカニズムとして使用するためのものではなく、ビジネス インテリジェンス アプリケーションでのユーザーの使用体験をより良いものにするためのツールとして使用するものです。特定の分析観点のセキュリティはすべて、基になるキューブから継承されます。たとえば、分析観点では、ユーザーがアクセス権を持っていないキューブ内のオブジェクトにアクセスできません。分析観点でキューブのオブジェクトへのアクセスが提供されるようにするには、そのキューブのセキュリティを解決しておく必要があります。関連項目 :セキュリティおよび保護 (Analysis Services - 多次元データ)