メジャー (SSAS テーブル)

テーブル モデルでは、メジャーとはレポート クライアントで使用するために DAX 数式を使用して作成される計算のことです。 計算列とは異なり、メジャーは行レベルで評価されません。 メジャーの評価は、ユーザーがレポート クライアントで適用するフィルターまたはスライサーに基づいて行われます。

このトピックのセクション:

• 利点

• メジャー グリッドを使用したメジャーの定義

• メジャーのプロパティ

• KPI でのメジャーの使用

• 関連タスク

利点

DISTINCT COUNT、COUNT、SUM などの標準の集計関数に基づいてメジャーを作成することも、DAX を使用して独自の数式を定義することもできます。 各メジャーには、数式に加え、名前、テーブルの詳細、形式、小数点以下桁数などの、メジャーのデータ型によって定義されるプロパティがあります。

メジャーがモデルで定義されている場合、ユーザーはこれらのメジャーをレポートまたはピボットテーブルに追加できます。 パースペクティブとロールに応じて、メジャーは関連付けられたテーブルと共にフィールドの一覧に表示され、モデルのすべてのユーザーが利用できます。 通常、メジャーはファクト テーブルで作成されますが、関連付けられたテーブルに依存しない場合もあります。

計算列とメジャーの間の基本的な違いについて理解しておくことが重要です。 計算列では、式の評価結果はその列の各行の値になります。 たとえば、FactSales テーブルで次の式を持つ計算列 TotalProfit は、FactSales テーブル内の各行 (売上 1 件ごとに 1 行) の総利益の値を計算します。

=[SalesAmount] - [TotalCost] - [ReturnAmount]

計算列 TotalProfit は、他の列と同様にレポート クライアントで使用することができます。

一方、メジャーの評価結果はユーザーの選択に基づく値、つまりピボットテーブルで設定されたフィルター コンテキストになります。 たとえば、FactSales テーブルのメジャーは次の式を使用して作成されます。

Sum of TotalProfit: =SUM([TotalProfit])

セールス アナリストが Excel を使用してある製品カテゴリの総利益を求めようとしているとします。 各製品カテゴリは複数の製品で構成されています。 セールス アナリストは ProductCategoryName 列を選択し、ピボットテーブルの [行ラベル] フィルター ウィンドウに追加します。これにより、各製品カテゴリに対応する行がピボットテーブルに表示されます。 ユーザーは、総利益の合計というメジャーを選択します。 既定で、メジャーは [値] フィルター ウィンドウに追加されます。 このメジャーは、総利益の合計を計算して、各製品カテゴリに関する結果を表示します。 セールス アナリストはスライサーを使用して、各製品カテゴリの総利益の合計をさらにフィルター処理することができます。たとえば、CalendarYear をスライサーとして追加すると、各製品カテゴリの総利益の合計を年ごとに表示できます。

メジャー グリッドを使用したメジャーの定義

メジャーは、モデル デザイナーのメジャー グリッドを使用してデザイン時に作成されます。 各テーブルにはメジャー グリッドがあります。既定では、メジャー グリッドはモデル デザイナーの各テーブルの下に表示されます。 特定のテーブルのメジャー グリッドを表示しないことも選択できます。 テーブルのメジャー グリッドの表示を切り替えるには、[テーブル] メニューの [メジャー グリッドの表示] をクリックします。

メジャー グリッドでは、次の方法でメジャーを作成できます。

• メジャー グリッドで空のセルをクリックして、数式バーに DAX 式を入力します。 Enter キーを押して式の入力を完了すると、メジャー グリッドのそのセルにメジャーが表示されます。

• 標準の集計関数を使用してメジャーを作成するには、列をクリックして、ツール バーの [オート SUM] ボタン (∑) をクリックし、標準の集計関数をクリックします。 標準の集計関数は、Sum、Average、Count、DistinctCount、Max、Min です。 [オート SUM] ボタンを使用して作成したメジャーは、常に、メジャー グリッド内の列のすぐ下に表示されます。

注
DirectQuery モードではサポートされていない DAX 関数もあります。 詳細については、「DirectQuery モードでの数式の互換性」を参照してください。

オート SUM を使用する場合、メジャーの名前は既定で、関連付けられた列の名前、コロン、数式を順番に並べた名前として定義されます。 この名前は、数式バーで変更することも、[プロパティ] ウィンドウの [メジャー名] プロパティ設定で変更することもできます。 カスタム式を使用してメジャーを作成する場合は、数式バーに名前、コロン、数式の順に入力するか、[プロパティ] ウィンドウの [メジャー名] プロパティ設定で名前を入力します。

メジャーの名前付けは慎重に行う必要があります。 メジャー名は、レポート クライアントのフィールドの一覧に関連付けられたテーブルと共に表示されます。 KPI の名前付けもベース メジャーに基づいて行われます。 モデル内のテーブルに存在する列と同じ名前をメジャーに付けることはできません。

ヒント
複数のテーブルから 1 つのテーブルにメジャーをグループ化することができます。そのためには、空のテーブルを作成し、そのテーブルに、メジャーを移動するか新しいメジャーを作成します。 他のテーブルの列を参照するときは、DAX 式にテーブル名を含める必要があることに注意してください。

モデルのパースペクティブが定義されている場合、メジャーはこれらのパースペクティブに自動的には追加されません。 [パースペクティブ] ダイアログ ボックスを使用して、手動でメジャーをパースペクティブに追加する必要があります。 詳細については、「パースペクティブ (SSAS テーブル)」を参照してください。

注
モデル デザイナーの [Excel で分析] 機能を使用して有意義な分析を行うには、少なくとも 1 つのメジャーを追加しておく必要があります。 ピボットテーブルの値で使用するメジャーを Excel で一時的に作成することはできません。 メジャーは、使用可能な列とは別にピボットテーブルのフィールドの一覧に表示されます。

メジャーのプロパティ

各メジャーには、そのメジャーを定義するプロパティがあります。 メジャーのプロパティは、関連付けられた列のプロパティと共に [プロパティ] ウィンドウで編集できます。 メジャーには次のプロパティがあります。

KPI でのメジャーの使用

KPI (主要業績評価指標) は、メジャーによって定義される基準値を、同じくメジャーまたは絶対値によって定義される対象の値と比較することによって定義されます。 KPI には状態も含まれています。状態とは、しきい値間の対象の値と比較して基準値を評価した場合の計算結果をグラフィカルに表示したものです。 KPI は、多くの場合、重要なビジネス基準における傾向を特定するためにビジネス プロフェッショナルによって使用されます。

どのメジャーも KPI のベース メジャーとして使用できます。 KPI を作成するには、メジャー グリッドでメジャーを右クリックして、[KPI の作成] をクリックします。 [主要業績評価指標] ダイアログ ボックスが開き、(メジャーまたは絶対値によって定義される) 対象の値を指定し、状態しきい値とグラフィック タイプを定義できるようになります。 詳細については、「KPI (SSAS テーブル)」を参照してください。

関連タスク

関連項目

概念

KPI (SSAS テーブル)

KPI の作成および管理 (SSAS テーブル)

計算列 (SSAS テーブル)