Sync Framework を使用することの利点
同期とは、コンピューター、デバイス、サービスなど複数の参加者間で、適切なデータのまとまりを適切なタイミングでコピーするプロセスです。理論上は単純です。しかし、実際には、そう簡単にはいきません。さまざまな要因が同期を困難なものにしています。たとえば、種類の異なるデータをまとめたり、競合を検出して解決する必要があります。互いに連携する参加者が同じ機能や性能を備えているとは限りませんし、同じデータでも、参加者によって必要な部分が異なるケースがあります。不安定なネットワークにどう対処するかという問題もあります。同期が企業の成功を左右することさえあるにもかかわらず、社内のニーズを満たす同期ソリューションの構築方法を理解している開発者は決して多くありません。Sync Framework の利用価値は、まさにそこにあります。
Sync Framework は、データの同期を必要とするさまざまなアプリケーションで有効活用できます。たとえば、個人情報管理 (PIM) ソフトウェアでは、Sync Framework を使用することにより、PIM データの更新をすべての参加者に反映できます。ドキュメントなど、各種のデータを共有するビジネス アプリケーションでは、Sync Framework を使用して、すべてのチーム メンバーが最新のドキュメントを受け取れるようにし、同時更新による競合が発生した場合には適切に処理されるようにすることが可能です。PC からモバイル デバイス上のメディアを管理するメディア管理ソフトウェアの場合は、Sync Framework を使用することで、デバイスに対して最新のデータを容易に反映できます。
開発者は Sync Framework が備えている一連のコンポーネントを取捨選択しながら、こうしたアプリケーションの要件を満たすことができます。特定の種類のデータのみ同期するためのコンポーネントもあれば、まったく独自のソリューションを作成できるコンポーネントもあります。Sync Framework は、同期処理に対する強力な設計と柔軟なアプローチを特長としています。設計面の利点は以下のとおりです。
複数のデータ ソースを同期エコシステムへ統合できる拡張性に優れたモデル。
マネージ API (すべてのコンポーネント) とネイティブ API (一部のコンポーネント)。
自動やカスタムでの競合解決を可能にする競合処理。
データのサブセット (画像を含むファイルのみなど) だけを同期できるようにするフィルター。
コンパクトで効率的なメタデータ モデル。データ ストアに大規模な変更を加えることなく、事実上すべての参加者の同期に対応します。
あらゆるデータ ストア
広範なアプリケーション、サービス、およびデバイスに同期機能を追加します。
あらゆる種類のデータ
同期可能なデータの種類が新たに追加されました。他にはないメタデータ ベースの同期テクノロジを利用して、あらゆる種類のデータ同期に対応します。
あらゆるプロトコル
既存のアーキテクチャおよびプロトコルを使用してデータを同期します。トランスポートに依存しないアーキテクチャが、無線デバイスや組み込みデバイスを始めとする、さまざまなプロトコルに対して同期機能の統合を可能にします。
あらゆるネットワーク構成
純粋なピア ツー ピア構成またはハブ アンド スポーク構成で、アプリケーション、デバイス、およびサービスを同期させることができます。ネットワークの中断から容易に復旧できます。同期の対象となる変更を効率よく選択することによって、ネットワーク トラフィックを低減します。
この後は「適切な Sync Framework コンポーネントの選択」を読んで、実際のアーキテクチャと利用可能なコンポーネントを再確認してください。