_expand_dbg

更新 : 2007 年 11 月

ヒープ内にある指定のメモリ ブロックのサイズを変更するために、ブロックの拡張または縮小を行います (デバッグ バージョンのみ)。

void *_expand_dbg( 
   void *userData,
   size_t newSize,
   int blockType,
   const char *filename,
   int linenumber 
);

パラメータ

  • userData
    事前に割り当てられているメモリ ブロックへのポインタ。

  • newSize
    要求した新しいブロック サイズ (バイト単位)。

  • blockType
    サイズを変更したブロックに要求したタイプ (_CLIENT_BLOCK または _NORMAL_BLOCK)。

  • filename
    拡張操作を要求したソース ファイルの名前へのポインタ、または NULL。

  • linenumber
    拡張操作を要求したソース ファイル内の行番号、または NULL。

filename パラメータおよび linenumber パラメータは、_expand_dbg 関数が明示的に呼び出された場合、または _CRTDBG_MAP_ALLOC プリプロセッサ定数が定義されている場合にだけ使用できます。

戻り値

正常に終了した場合、_expand_dbg は、サイズが変更されたメモリ ブロックへのポインタを返します。メモリは移動されないため、アドレスは userData と同じです。エラーが発生した場合、またはブロックが要求されたサイズまで拡張されなかった場合は、NULL を返します。エラーが発生した場合、errno は、エラーの原因に関する情報をオペレーティング システムから取得します。errno の詳細については、「errno、_doserrno、_sys_errlist、および _sys_nerr」を参照してください。

解説

_expand_dbg 関数は、_expand 関数のデバッグ バージョンです。_DEBUG が定義されていないと、_expand_dbg 関数への呼び出しは _expand 関数への呼び出しに変わります。_expand 関数および _expand_dbg 関数は両方ともベース ヒープのメモリ ブロックのサイズを変更しますが、_expand_dbg 関数にはいくつかのデバッグ機能があります。そのデバッグ機能とは、ブロックのユーザー領域の両端にあるリーク検出用バッファ、特定の割り当て型を追跡するブロック型パラメータ、および割り当て要求元を判別する filename/linenumber 情報です。

_expand_dbg は、指定されたメモリ ブロックを newSize で要求されたサイズよりも少し大きめのサイズに変更します。newSize は、最初に割り当てられたメモリ ブロックのサイズより、大きくすることも小さくすることもできます。デバッグ ヒープ マネージャはこの余分な領域を使用して、メモリ ブロックのリンク リスト、デバッグ用ヘッダー情報、上書きバッファを作成します。サイズの変更は、元のメモリ ブロックを拡張または縮小して行います。_expand_dbg は、_realloc_dbg 関数と同様に、メモリ ブロックを移動しません。

newSize が元のブロック サイズより大きい場合、メモリ ブロックは拡張されます。拡張する場合に、メモリ ブロックを要求されたサイズに合わせて拡張できないと、NULL が返されます。newSize が元のブロック サイズより小さい場合、メモリ ブロックは新しいサイズになるまで縮小されます。

デバッグ バージョンのベース ヒープに対するメモリ ブロックの割り当て、初期化、管理方法の詳細については、「メモリ管理とデバッグ ヒープ」を参照してください。割り当てブロック型とその使用方法については、「デバッグ ヒープ上のメモリ ブロックの型」を参照してください。標準で呼び出すヒープ関数と、アプリケーションのデバッグ ビルドで呼び出すデバッグ バージョンのヒープ関数との違いの詳細については、「デバッグ バージョンのヒープ割り当て関数」を参照してください。

この関数は、パラメータを検証します。memblock が null ポインタの場合またはサイズが _HEAP_MAXREQ より大きい場合は、「パラメータの検証」に説明されているように、この関数は無効なパラメータ ハンドラを呼び出します。実行の継続が許可された場合、errno が EINVAL に設定され、関数から NULL が返されます。

必要条件

ルーチン

必須ヘッダー

_expand_dbg

<crtdbg.h>

互換性の詳細については、「C ランタイム ライブラリ」の「互換性」を参照してください。

ライブラリ

C ランタイム ライブラリのデバッグ バージョンのみ。

使用例

// crt_expand_dbg.c
//
// This program allocates a block of memory using _malloc_dbg
// and then calls _msize_dbg to display the size of that block.
// Next, it uses _expand_dbg to expand the amount of
// memory used by the buffer and then calls _msize_dbg again to
// display the new amount of memory allocated to the buffer.
//

#include <stdio.h>
#include <malloc.h>
#include <stdlib.h>
#include <crtdbg.h>

int main( void )
{
   long *buffer;
   size_t size;

   // Call _malloc_dbg to include the filename and line number
   // of our allocation request in the header
   buffer = (long *)_malloc_dbg( 40 * sizeof(long),
                                 _NORMAL_BLOCK, __FILE__, __LINE__ );
   if( buffer == NULL )
      exit( 1 );

   // Get the size of the buffer by calling _msize_dbg
   size = _msize_dbg( buffer, _NORMAL_BLOCK );
   printf( "Size of block after _malloc_dbg of 40 longs: %u\n", size );

   // Expand the buffer using _expand_dbg and show the new size
   buffer = (long *)_expand_dbg( buffer, size + sizeof(long),
                                 _NORMAL_BLOCK, __FILE__, __LINE__ );

   if( buffer == NULL )
      exit( 1 );
   size = _msize_dbg( buffer, _NORMAL_BLOCK );
   printf( "Size of block after _expand_dbg of 1 more long: %u\n",
           size );

   free( buffer );
   exit( 0 );
}

Size of block after _malloc_dbg of 40 longs: 160
Size of block after _expand_dbg of 1 more long: 164

説明

このプログラムによる出力は、コンピュータですべてのセクションを拡張できるかどうかに応じて異なります。すべてのセクションが拡張されると、出力内容は出力セクションに反映されます。

.NET Framework の相当するアイテム

適用できません。標準 C 関数を呼び出すには、PInvoke を使用します。詳細については、「プラットフォーム呼び出しの例」を参照してください。

参照

参照

デバッグ ルーチン

_malloc_dbg