レコード フィールド エクスチェンジ : ウィザード コードの操作

  • [アーティクル]

更新 : 2007 年 11 月

このトピックでは、MFC のアプリケーション ウィザードとクラスの追加 (「MFC ODBC コンシューマの追加」を参照) で RFX をサポートするために生成するコードと、そのコードの変更方法について説明します。

czxt1e3z.alert_note(ja-jp,VS.90).gifメモ :

このトピックの内容は、バルク行フェッチが実装されていない CRecordset の派生クラスを対象にしています。バルク行フェッチを使用している場合は、バルク レコード フィールド エクスチェンジ (Bulk RFX: Bulk Record Field Exchange) が実装されています。Bulk RFX と RFX は似ています。両者の差異については、「レコードセット : バルク行フェッチ (ODBC)」を参照してください。

MFC のアプリケーション ウィザードやクラスの追加を使ってレコードセット クラスを作成すると、選択したデータ ソース、テーブル、および列に応じて、以下の RFX 関連コードが生成されます。

  • レコードセット フィールド データ メンバの宣言 (レコードセット クラス宣言部)

  • CRecordset::DoFieldExchange オーバーライド関数

  • レコードセット クラスのコンストラクタでのレコードセット フィールド データ メンバの初期化。

フィールド データ メンバの宣言

ウィザードは、.h ファイルにレコードセット クラスの宣言コードを生成します。CSections クラスの宣言の例を次に示します。

class CSections : public CRecordset
{
public:
   CSections(CDatabase* pDatabase = NULL);
   DECLARE_DYNAMIC(CSections)

// Field/Param Data
   CString   m_strCourseID;
   CString   m_strInstructorID;
   CString   m_strRoomNo;
   CString   m_strSchedule;
   CString   m_strSectionNo;

// Overrides
   // Wizard generated virtual function overrides
   protected:
   virtual CString GetDefaultConnect();  // Default connection string
   virtual CString GetDefaultSQL();      // Default SQL for Recordset
   virtual void DoFieldExchange(CFieldExchange* pFX);  // RFX support

// Implementation
#ifdef _DEBUG
   virtual void AssertValid() const;
   virtual void Dump(CDumpContext& dc) const;
#endif

};

パラメータ データ メンバ、または自分で結び付ける新しいフィールド データ メンバを追加する場合は、ウィザードが生成したコードの後に追加します。

CRecordset クラスのメンバ関数 DoFieldExchange は、ウィザードによってオーバーライドされます。

DoFieldExchange オーバーライド関数

DoFieldExchange 関数は、RFX の中核です。フレームワークは、データ ソースとレコードセットの間でデータの移動が必要になると、DoFieldExchange を呼び出します。また、DoFieldExchange は、IsFieldDirty メンバ関数および IsFieldNull メンバ関数を使用して、フィールド データ メンバに関する情報を取得することもできます。

次の例は、CSections クラスで関数 DoFieldExchange をオーバーライドしている部分です。ウィザードは、レコードセット クラスの .cpp ファイルにこの関数を作成します。

void CSections::DoFieldExchange(CFieldExchange* pFX)
{
   pFX->SetFieldType(CFieldExchange::outputColumn);
   RFX_Text(pFX, "CourseID", m_strCourseID);
   RFX_Text(pFX, "InstructorID", m_strInstructorID);
   RFX_Text(pFX, "RoomNo", m_strRoomNo);
   RFX_Text(pFX, "Schedule", m_strSchedule);
   RFX_Text(pFX, "SectionNo", m_strSectionNo);
}

この関数には以下の特徴があります。

  • 関数のこのセクションをフィールド マップと呼びます。

  • pFX ポインタを通じて CFieldExchange::SetFieldType が呼び出されます。この呼び出しによって、DoFieldExchange の終わりまでの RFX 関数呼び出しまたは SetFieldType に対する次の呼び出しを出力列に指定します。詳細については、「CFieldExchange::SetFieldType」を参照してください。

  • フィールド データ メンバ (上の例ではすべて CString 型変数) ごとに、RFX_Text グローバル関数が呼び出されます。この呼び出しによって、データ ソース中の列名とフィールド データ メンバ間の関係を指定します。これらの RFX 関数がデータを実際に転送します。クラス ライブラリには、一般的なすべてのデータ型に対する RFX 関数が用意されています。RFX 関数の詳細については、「レコード フィールド エクスチェンジ : RFX 関数の使い方」を参照してください。

    czxt1e3z.alert_note(ja-jp,VS.90).gifメモ :

    結果セット内の列の順序と DoFieldExchange での RFX 関数呼び出しの順序は、一致させる必要があります。

  • フレームワークは、関数 DoFieldExchange を呼び出すときに、CFieldExchange オブジェクトへのポインタ pFX を渡します。この CFieldExchange オブジェクトは、DoFieldExchange で実行する操作、データの転送方向などのコンテキスト情報を指定します。

レコードセット コンストラクタ

ウィザードが生成するレコードセットのコンストラクタには、RFX に関連する次の 2 つの処理があります。

  • 各フィールド データ メンバの初期化

  • データ メンバ m_nFields の初期化。このメンバ変数にはフィールド データ メンバ変数の数が格納されます。

CSections レコードセットのコンストラクタは、次のようになります。

CSections::CSections(CDatabase* pdb)
   : CRecordset(pdb)
{
   m_strCourseID = "";
   m_strInstructorID = "";
   m_strRoomNo = "";
   m_strSchedule = "";
   m_strSectionNo = "";
   m_nFields = 5;
}
czxt1e3z.alert_note(ja-jp,VS.90).gifメモ :

フィールド データ メンバを手動で追加する場合は、新しい列を動的にバインドする場合と同様に、m_nFields の値を増加させる必要があります。たとえば、次のようなコード行を追加します。

 
m_nFields += 3;

このコードは、新しいフィールドを 3 つ追加します。パラメータ データ メンバを追加する場合は、パラメータ データ メンバの数が格納される m_nParams データ メンバを初期化する必要があります。m_nParams の初期化コードも、かっこの外に書きます。

参照

概念

レコード フィールド エクスチェンジ (RFX)