論理データセンター デザイナの概要
更新 : 2007 年 11 月
Visual Studio Team System Architecture Edition では、論理データセンター デザイナを使用して、データセンターの論理表現を作成し、論理データセンター ダイアグラムとして保存できます。このダイアグラムは、アプリケーション システムの配置先となる環境に関する情報を開発者に提供する役割を持っています。通常の場合、アプリケーションのホスト環境がどんな環境か、その構成、制約、および接続状況を理解する必要のある開発者にとって、データセンターの物理インフラストラクチャは重要ではありません。論理データセンター デザイナを使用して作成される論理データセンター ダイアグラムには、データセンター内の物理マシン、またはマシンの種類さえも描かれません。論理データセンター デザイナでは、Internet Information Server、SQL Server、BizTalk Server などのアプリケーション サーバー ソフトウェアの構成を定義し、これら論理 (アプリケーション) サーバーの相互の接続状態を示すことを目的とします。
論理データセンター ダイアグラムは、データセンターの物理構造ではなく、論理構造を示すものであるため、たとえば、1 台の物理マシンに Windows Server 2003、Internet Information Services (IIS) 6.0、および SQL Server がインストールされている場合、論理データセンター ダイアグラムでは、1 台の物理マシンを 3 つの論理サーバーとして表します。論理サーバーは、論理通信境界を定義するゾーン内でグループ化することもできます。ゾーンに対しては、その中に含めることができる論理サーバーの種類、ゾーンを通過する通信タイプおよびその方向を指定できます。
次のセクションで、論理データセンターおよび論理データセンター デザイナについて、より詳細に説明します。
論理データセンターとは
論理データセンター デザイナの機能
論理データセンターとは
何が論理データセンターで、何が論理データセンターでないかを次に示します。
存在する物理サーバーの数ではなく、アプリケーション サーバーの種類およびホストできるアプリケーションの種類を示します。
ホスト環境の RAID 構成ではなく、アプリケーション サーバー構成を示します。
依存する物理的な特徴ではなく、サービス構成を示します。
使用される IP ルーティング テーブルではなく、使用できるプロトコルの種類を示します。
ファイアウォール、VLAN、スイッチ、またはルーターではなく、通信境界を示します。
実際の暗号化ではなく、アプリケーションの認証要件を示します。
開発者を呼び出すことなく、アプリケーション構成に対する制約を示します。
論理データセンター デザイナの機能
論理データセンター デザイナを使用して、以下のタスクを実行できます。
通信境界または他のデータセンターとの境界を表すゾーンを定義できます。詳細については、「方法 : 論理データセンター ダイアグラムにゾーンを定義する」を参照してください。
論理サーバーを定義できます。ダイアグラム上の複数の論理サーバーが、物理環境では 1 台のマシンである場合もあります。詳細については、「方法 : 論理データセンター ダイアグラムに論理サーバーを追加する」を参照してください。
ゾーンとサーバー間の通信経路を定義できます。詳細については、「ゾーンと論理サーバーの間の通信経路の定義」を参照してください。
ゾーンとサーバー間の通信プロトコルを指定できます。詳細については、「方法 : ゾーン間の通信を制御する」を参照してください。
設定および制約エディタを使用して、論理サーバーの設定を行うことができます。詳細については、「アプリケーションとアプリケーション ホスト関係に対する制約」を参照してください。
既存の物理サーバーの IIS メタベースから、IIS 設定と ASP.NET 設定を論理サーバー上にインポートできます。詳細については、「設定のインポート」を参照してください。
論理サーバー上でホストするアプリケーションの要件を定義できます。詳細については、「アプリケーションとアプリケーション ホスト関係に対する制約」を参照してください。
ゾーン内に含めることができる論理サーバーの要件を指定できます。詳細については、「アプリケーション、システム、および論理サーバーの一般的な構成タスク」を参照してください。
カスタム プロトタイプを作成することにより、ダイアグラム上で定義されている構成済みのゾーンおよび論理サーバーについて再利用可能なテンプレートを作成できます。詳細については、「方法 : 構成済みのゾーンと論理サーバーからカスタム プロトタイプを作成する」を参照してください。
論理サーバー、エンドポイント、およびゾーンに対してカスタム設定を追加できます。詳細については、「方法 : アプリケーション、サーバー、エンドポイント、およびゾーンのカスタム設定を作成する」を参照してください。
ダイアグラムにコメントを追加できます。詳細については、「方法 : 分散システム ダイアグラムにコメントを追加する」を参照してください。
他の分散システム デザイナと同様、論理データセンター デザイナも Visual Studio と完全に統合しています。ただし、論理データセンター ダイアグラムは、アプリケーション開発プロセスとは独立して作成されます。設計者と開発者が配置デザイナでこれらのダイアグラムを使用して、表現されているデータセンターに対してアプリケーション システムの配置を定義したり検証したりできます。配置を検証することにより、設計プロセスの早い段階でアプリケーションとデータセンター間の構成上の矛盾を発見できます。また、配置デザイナを使用して、設計者と開発者は、配置レポートを生成したり、配置ダイアグラムと、論理データセンター ダイアグラム内の変更との同期をとったりできます。詳細については、「配置デザイナの概要」を参照してください。
論理データセンター ダイアグラムで、データセンター全体を表す必要はありません。むしろ、現在使用している大規模で複雑なデータセンター ダイアグラムをよりシンプルに表現する目的で、論理データセンター ダイアグラムを使用できます。個々の論理データセンター ダイアグラムで、完全なデータセンターを部分的に表すことができます。たとえば、データセンターの e コマース部分のみを表すダイアグラムや、B-to-B 部分を表すダイアグラムなどを作成できます。論理データセンター ダイアグラムには .ldd ファイル拡張子が付きます。1 つの分散システム ソリューションに複数の .ldd ファイルを含めることができます。
次に、論理データセンター デザイナおよび論理データセンター ダイアグラムの図を示します。
論理データセンター デザイナ
論理データセンター ダイアグラム
詳細については、「論理データセンター デザイナの関連用語」を参照してください。