Team Foundation の概要

更新 : 2007 年 11 月

Team Foundation は、チーム内で製品のビルドまたはプロジェクトの実行に必要な工数を共同で調整できるようにするためのツールとテクノロジです。Team Foundation によって、チーム コミュニケーションの強化、作業ステータスのトラッキング、チームのロールのサポート、チーム プロセスの実行、およびチーム ツールの統合を実現できます。

コラボレーション

Team Foundation の主な目的は、チーム内での共同作業を可能にして、製品のビルドまたはプロジェクトの実行を容易にすることです。プロジェクトには多くの種類があります。ソフトウェア プロジェクトでは、ソフトウェア製品のビルドとリリースが必要です。通常、ソフトウェア製品には、新製品、既存製品のアップグレード、または小規模な更新リリースがあります。

Team Foundation は、コミュニケーションの強化、多面的なロールのサポート、作業ステータスのトラッキング、チームのプロセスの実行、およびツールの統合を通じてコラボレーションを可能にします。

コミュニケーションの強化

チームのコミュニケーションを強化する目的は、チーム メンバ間でタスクをハンドオフするときに情報または作業が失われないようにすることです。Team Foundation で作業する際の重要な概念は、チーム プロジェクトです。チーム プロジェクトは Team Foundation Server に格納され、チームのメンバ全員が容易に識別できる名前を持ちます。たとえば、Adventure Works のバージョン 1.0 の作業を行うチームは、Adventure Works 1.0 という名前のチーム プロジェクトを持つことが考えられます。チーム プロジェクトは、各メンバが自分の作業を調整するための中央の場所を提供します。

プロジェクト ポータル

各チーム プロジェクトは、Windows SharePoint Web サイトという、関連付けられたプロジェクト ポータルを持ちます。チーム メンバは、プロジェクト ポータルを使用してドキュメントを格納し、レポートを検索し、他の Windows SharePoint コラボレーション機能 (予定表や一覧など) を使用します。プロジェクト ポータルの詳細については、「チーム プロジェクト ポータルの使用」を参照してください。

メモ :
プロセスによっては、プロジェクト ポータルがない場合もあります。

チーム エクスプローラ

チーム メンバ全員が Visual Studio IDE のチーム エクスプローラを使ってチーム プロジェクトの作業を行います。チーム エクスプローラは 1 つの Team Foundation Server に接続し、そのサーバーにあるチーム プロジェクトを表示します。チーム エクスプローラを使用することによって、各チーム メンバは、作業項目の更新、レポートの表示、ドキュメントの管理、およびプロダクト ビルドでの作業を実行できます。チーム エクスプローラ の詳細については、「チーム エクスプローラでのチーム プロジェクトの構成」を参照してください。

警告

Team Foundation には、チーム プロジェクトが何らかの形で変更されたときに電子メールで送られる警告が用意されています。警告は、作業項目のステータスが変更されたとき、チェックインが発生したとき、ビルドが完了したとき、またはビルドの状況が変更されたときに送信されます。警告の詳細については、「警告の設定」を参照してください。

ソース管理

Team Foundation バージョン管理を使用すると、プロジェクトのすべてのソース ファイルをチームで管理できます。通常、Team Foundation バージョン管理はソース ファイルを対象に使用されますが、重要なプロジェクト ドキュメントなど、ソース以外のファイルを追加することもできます。Team Foundation バージョン管理 の詳細については、「Team Foundation バージョン管理」を参照してください。

ビルド

Team Foundation ビルドを使用すると、チームは製品ビルドを定期的に作成および管理できます。たとえば、チームでビルドを毎日実行して共有サーバーにポストすることができます。また、Team Foundation ビルドには、各ビルドのステータスと品質に関するビルド レポートも用意されています。Team Foundation ビルド の詳細については、「Team Foundation ビルドによるビルドの管理」を参照してください。

作業ステータスのトラッキング

作業ステータスをトラッキングする目的は、プロジェクトの状態、作業担当者、および作業のステータスについて理解することです。Team Foundation では、作業項目の概念を使用してチーム プロジェクトの基本情報をトラッキングします。作業の種類に応じて、さまざまな種類の作業項目を使用できます。たとえば、バグ作業項目では、製品の作成時に見つかった問題や懸案事項をトラッキングします。また、タスク作業項目は、計画された開発、テスト、またはその他の種類のタスクをトラッキングします。

作業項目の履歴

すべての作業項目は、すべてのアクティビティを記録する一連の履歴を持ちます。作業項目が変更されるたびに、項目のステータスが "終了" に変更されたか、メモが新しい情報で更新されたかにかかわらず、すべての変更が記録されるため、作業項目に対するアクティビティの完全な履歴をメンバ全員がいつでも確認できます。作業項目の詳細については、「Team Foundation 作業項目の使用」を参照してください。

クエリ

作業項目クエリは、特定の条件のセットと一致する作業項目を検索するために使用されます。クエリは、作業項目の現在のステータスを検索する場合に役立ちます。たとえば、クエリを使用して、優先度が "1" のバグ作業項目を検索できます。また、Web 開発チームに割り当てられたすべてのタスク作業項目を検索することもできます。作業項目クエリの詳細については、「作業項目クエリの使用」を参照してください。

Microsoft Project と Excel の統合

作業項目は Team Foundation サーバー上のデータベースに格納されますが、作業項目のコピーを Microsoft Project または Microsoft Excel にインポートしてトラッキングできます。たとえば、タスク作業項目を Microsoft Project にインポートして、チーム メンバの作業の負荷分散を行うために編成できます。また、バグ作業項目を Microsoft Excel にインポートして、修正が必要な、優先度の最も高いバグの一覧を作成することもできます。さらに、Microsoft Project および Microsoft Excel で作業項目のオフライン コピーを更新して、更新結果を元の作業項目データベースに対して発行することにより、オフラインの作業項目とサーバー間の同期を維持できます。Microsoft Project と Microsoft Excel の使用方法の詳細については、「Microsoft Excel や Microsoft Project で作業項目を管理する」を参照してください。

レポート

レポートは、Team Foundation サーバーのデータベースに格納されます。レポートを使用すると、チーム プロジェクトの状態と傾向を長期間にわたってトラッキングできます。レポートのデータはデータ ウェアハウスに格納され、Team Foundation サーバーで稼動中のデータベースから収集されます。レポートでトラッキングできる情報の種類は、作業項目の変更、チェックイン、製品ビルドのステータス、およびテスト結果です。また、プロジェクト間レポートにより、複数のプロジェクトの履歴データを比較できます。レポートの詳細については、「レポートと測度の使用」を参照してください。

ロール

ロールは、チーム プロジェクトの 1 人以上のチーム メンバが担当します。各ロールは、チーム プロジェクトを正常に実行するために必要な 1 つ以上の規範を表します。

ロールは、肩書きや規範との 1 対 1 の関係を表すものではありません。たとえば、ソフトウェア エンジニアや Web 開発者の肩書きを持つ個人が開発者のロールを果たすこともあります。また、ロールは、コンテキストによって異なる意味を持ちます。

ヘルプ ドキュメントでのロール

ヘルプ ドキュメントの内容は、管理者、プロジェクト リーダー、プロジェクト メンバという 3 つの一般的なロールに整理されます。これらの一般的なロールはヘルプ ドキュメントで使用され、チーム プロジェクトで作業する場合に最も適していると考えられるタスクおよび情報を検索する際に役立ちます。

ヘルプ ドキュメントに使用される一般的なロールの詳細については、「Team Foundation 管理者」、「Team Foundation のプロジェクト リーダー」、および「Team Foundation のプロジェクト メンバ」を参照してください。

プロセスでのロール

新しいチーム プロジェクトは、メンバ全員が参加するロールのセットを定義するプロセス テンプレートから作成されます。たとえば、MSF for Agile Software Development プロセスでは、ビジネス アナリスト、プロジェクト マネージャ、アーキテクト、開発者、テスト担当者、リリース マネージャという 6 つのロールが定義されます。MSF for Agile Software Development プロセスを使用してチーム プロジェクトが作成されると、各チーム メンバはこれらのロールのいずれか 1 つを担当します。これは、このメンバがチーム プロジェクトにどのように関係し、作業するかの指針となります。プロセスのロールの詳細については、チーム プロジェクトで使用しているプロセスのプロセス ガイダンスを参照してください。

セキュリティ グループ

Team Foundation セキュリティ グループを使用することにより、各チーム メンバのアクセス許可を適用できます。新しいチーム プロジェクトが開始されると、管理者は、そのチーム プロジェクトのプロセスのロールを特定のセキュリティ グループおよびセキュリティ アクセス許可に割り当てます。さらに、プロセス テンプレートによって、セキュリティ グループの既定のセットが定義されます。たとえば、MSF for Agile Software Development は、Contributors セキュリティ グループと Readers セキュリティ グループを定義します。したがって、新しいチーム プロジェクトでは、開発者は Contributors セキュリティ グループに割り当てられる可能性があります。

プロセスの実行

多くの製品チームが経験する一般的な問題は、プロセスにツールを適合させようとすることです。Team Foundation では、XML ファイルを通じてプロセスをカスタマイズすることにより、ツール内でプロセスを実行できます。このため、チーム プロジェクトごとに異なるプロセスを使用できます。

Team Foundation では、作業項目、作業項目のインスタンス、レポート、セキュリティ、プロジェクト ポータル、ドキュメントとテンプレート、ソース管理の設定、およびプロセス ガイダンスの内容をカスタマイズできます。

プロセス テンプレートのカスタマイズの詳細については、「プロセス テンプレート マネージャ」を参照してください。

ツールの統合

コラボレーションを強化するには、チームで使用する各ツールの動作を統合して、作業の重複や明らかに自動化できる手動手順を回避する必要があります。たとえば、複数ツールでセキュリティ構成の作業を繰り返したり、作業項目を終了するときにレポートのステータスを手動更新したりすることのないようにします。

Team Foundation の各ツールは相互に統合されているため、通常はツール間で行われない多くのタスクが自動化されます。たとえば、バグを修正するためにソース コードをチェックインすると、バグを記述している作業項目が自動的に解決されます。

統合開発環境での統合

多くの Team Foundation ツールは Visual Studio 統合開発環境 (IDE : Integrated Development Environment) に統合されています。チーム エクスプローラは、チーム プロジェクトの作業を行う際のメイン ウィンドウです。ソース管理エクスプローラやビルド エクスプローラなどの他のウィンドウは、チーム エクスプローラから使用できます。

Team Foundation の機能拡張

さらに、サードパーティによって作成された他のツールに Team Foundation を統合することもできます。詳細については、「Visual Studio 機能拡張センター」を参照してください。

その他のツールとの統合

Team Foundation は、以前のバージョンの Visual Studio プロジェクト、およびその他のツールやコード プロジェクトとも使用できます。このようなプロジェクトは、Team Foundation を使って side-by-side 実行できますが、表示やコンパイルはできません。以前のバージョンの Visual Studio、その他のツールを使用してコードをビルドする場合、Team Foundation を使ってプロジェクトを共同作業できます。以前のバージョンのプロジェクトおよびその他のツールで作業する方法の詳細については、「以前のバージョンの Visual Studio プロジェクトまたはその他のコード プロジェクトの操作」を参照してください。

作業の開始

Team Foundation を初めて使用する場合、どの部分から作業を開始すればよいか迷う場合があるでしょう。その答えは、ロールによって異なります。管理者は、通常、Team Foundation サーバーをセットアップし、アクセス許可を付与することから開始します。プロジェクト リーダーは、通常、新しいチーム プロジェクトを作成して作業のトラッキングを開始します。プロジェクト メンバは、通常、チーム プロジェクトに参加して、割り当てられた作業項目について作成または作業を開始します。

プロジェクト管理者

プロジェクト管理者は、Team Foundation サーバーの日常の運用を管理し、新しい Team Foundation サーバーのセットアップ、新しいチーム プロジェクトの作成、データのバックアップと復元、およびチーム メンバのセキュリティの構成などのタスクを実行します。

作業の開始に関する質問

次の表に、プロジェクト管理者として作業を開始する場合の一般的な質問、および各質問に関する詳細情報へのリンクを示します。

プロジェクト リーダー

プロジェクト リーダーは、1 つ以上のチーム プロジェクトを担当します。クエリとレポートを実行してプロジェクトに関する日常のアクティビティを監視し、プロジェクトを確実に進行させるために作業項目を割り当てます。

作業の開始に関する質問

次の表に、プロジェクト リーダーとして作業を開始する場合の一般的な質問、および各質問に関する詳細情報へのリンクを示します。

プロジェクト メンバ

プロジェクト メンバは、1 つ以上のチーム プロジェクトで作業する各メンバです。プロジェクト メンバは、自分のチーム プロジェクトで使用しているプロセス、割り当てられている作業項目を見つけて解決する方法、およびソース管理での作業方法を理解する必要があります。

作業の開始に関する質問

次の表は、プロジェクト メンバとして作業を開始する場合の一般的な質問、および各質問に関する詳細情報へのリンクを示します。

参照

その他の技術情報

Visual Studio Team System

Architecture Edition

Development Edition

Test Edition