リンカーを呼び出す CL
CL では、/c オプションを指定しない限り、コンパイル後に自動的にリンカーを起動します。 このとき、コンパイルによって生成された .obj ファイルの名前と、コマンド ラインで指定されたファイルの名前が CL からリンカーに渡されます。 リンカーは、環境変数 LINK で指定されたオプションを使います。 リンカーのオプションは、CL のコマンド ラインで /link オプションを使って指定することもできます。 /link オプションの後ろに指定されたオプションは、環境変数 LINK で指定されたオプションよりも優先されます。 次のオプションを指定すると、リンクが行われません。
オプション |
説明 |
|---|---|
/c |
コンパイルだけを行い、リンクは行いません。 |
/E、/EP、/P |
プリプロセスだけを行い、コンパイルとリンクは行いません。 |
/Zg |
関数プロトタイプを生成します。 |
/Zs |
構文をチェックします。 |
リンクの詳細については、「リンカー オプション」を参照してください。
使用例
ここでは、MAIN.c、MOD1.c、および MOD2.c の 3 つの C ソース ファイルをコンパイルします。 各ファイルは、別のファイルで定義されている関数を呼び出します。
MAIN.c は、MOD1.c に定義されている関数 func1 と MOD2.c に定義されている関数 func2 を呼び出します。
MOD1.c は、標準ライブラリ関数 printf_s と scanf_s を呼び出します。
MOD2.c は、ライブラリ MYGRAPH.lib に定義されているグラフィックス関数 myline と mycircle を呼び出します。
このプログラムをビルドするには、コマンド ラインで次のように指定してコンパイルします。
CL MAIN.c MOD1.C MOD2.C MYGRAPH.lib
CL では、まず C ソース ファイルをコンパイルし、オブジェクト ファイル MAIN.obj、MOD1.obj、および MOD2.obj を生成します。 各 .obj ファイルには、標準ライブラリの名前が埋め込まれます。 詳細については、「/MD、/ML、/MT、/LD (ランタイム ライブラリの使用)」を参照してください。
obj ファイルの名前は、ライブラリ名 MYGRAPH.lib と共に CL からリンカーに渡されます。 リンカーは、次のように外部参照を解決します。
MAIN.obj では、MOD1.obj 内の定義を使って func1 への参照が解決され、MOD2.obj 内の定義を使って func2 への参照が解決されます。
MOD1.obj では、標準ライブラリ内の定義を使って、printf_s と scanf_s への参照が解決されます。この標準ライブラリの名前は、CL によって MOD1.obj に埋め込まれています。
MOD2.obj では、MYGRAPH.lib 内の定義を使って、myline と mycircle への参照が解決されます。