/MD、/MT、/LD (ランタイム ライブラリの使用)
マルチスレッド モジュールが DLL であるかどうか、およびリテール バージョンとデバッグ バージョンのどちらのランタイム ライブラリを選択するかを指定します。
/MD[d]
/MT[d]
/LD[d]
解説
オプション |
Description |
---|---|
/MD |
アプリケーションで、マルチスレッド対応バージョンおよび DLL 対応バージョンのランタイム ライブラリが使用されます。_MT および _DLL を定義し、コンパイラにライブラリ名 MSVCRT.lib を .obj ファイルに挿入させます。 このオプションを使用してコンパイルされたアプリケーションは、MSVCRT.lib に静的にリンクされます。このライブラリは、リンカーが外部参照を解決できるようにするコード レイヤーを提供しています。ただし、実際のコードは MSVCR100.DLL, に入っています。したがって、MSVCRT.lib とリンクされるアプリケーションの実行時には、MSVCR80.DLL にアクセスできるようにしておく必要があります。 |
/MDd |
_DEBUG、_MT、および _DLL を定義します。アプリケーションで、マルチスレッド対応バージョンおよび DLL 対応バージョンのランタイム ライブラリが使用されます。また、コンパイラにライブラリ名 MSVCRTD.lib を .obj ファイルに挿入させます。 |
/MT |
アプリケーションで、マルチスレッド対応のスタティック バージョンのランタイム ライブラリが使用されます。_MT を定義します。また、コンパイラにライブラリ名 LIBCMT.lib を .obj ファイルに挿入させるため、リンカーは LIBCMT.lib を使って外部シンボルを解決します。 |
/MTd |
_DEBUG および _MT を定義します。また、コンパイラにライブラリ名 LIBCMTD.lib を .obj ファイルに挿入させるため、リンカーは LIBCMTD.lib ライブラリを使って外部シンボルを解決します。 |
/LD |
DLL を作成します。 リンカーに /DLL オプションを渡します。リンカーは DllMain 関数の有無を確認します。DllMain 関数が記述されていないと、TRUE を返す DllMain 関数がリンク時に自動的に挿入されます。 DLL の起動コードをリンクします。 コマンド ラインでエクスポート (.exp) ファイルが指定されていない場合は、インポート ライブラリ (.lib) を生成します。このインポート ライブラリを DLL を呼び出すアプリケーションにリンクしてください。 /Fe (EXE ファイルの名前の指定) オプションで指定したファイル名を .exe ファイルではなく、DLL の名前として解釈します。既定のプログラム名は basename.exe ではなく、basename.dll になります。 /MD を明示的に指定している場合以外は、/MT が暗黙に指定されます。 |
/LDd |
デバッグ DLL を作成します。_MT および _DEBUG を定義します。 |
C ランタイム ライブラリ、および /clr (共通言語ランタイムのコンパイル) を指定したコンパイルで使用されるライブラリの詳細については、「CRT ライブラリの機能」を参照してください。
リンカーの特定の呼び出しに渡されるすべてのモジュールは、同じランタイム ライブラリ コンパイラ オプション (/MD、/MT、/LD) を指定してコンパイルされている必要があります。
デバッグ バージョンのランタイム ライブラリの使い方の詳細については、「C ランタイム ライブラリ リファレンス」を参照してください。
サポート技術情報の「HOWTO: Link with the Correct C Run-Time (CRT) Library (Q140584)」でも、適切な C ランタイム ライブラリの選択方法を説明しています。
DLL の詳細については、「Visual C++ の DLL」を参照してください。
Visual Studio 開発環境でこのコンパイラ オプションを設定するには
プロジェクトの [プロパティ ページ] ダイアログ ボックスを開きます。詳細については、「方法 : プロジェクト プロパティ ページを開く」を参照してください。
[C/C++] フォルダーをクリックします。
[コード生成] プロパティ ページをクリックします。
[ランタイム ライブラリ] プロパティを変更します。
このコンパイラ オプションをコードから設定するには
- RuntimeLibrary を参照してください。