一般的な移行シナリオ

ユーザー状態移行ツール (USMT) 5.0 は、多数のコンピューターを対象に、ハードウェアやシステムのアップグレードを計画するときに使います。USMT は、ユーザーのオペレーティング システム設定、アプリケーション設定、個人用ファイルを移行元コンピューターからキャプチャし、アップグレード後に移行先コンピューターに再インストールすることで、エンド ユーザーのデジタル ID の移行を管理します。

ハードウェアをアップグレードせず、オペレーティング システムだけをアップグレードする一般的なシナリオは、PC 更新と呼ばれます。一般的なシナリオには、PC 置換もあります。このシナリオでは、通常、ハードウェアの一部を新しいハードウェアに置き換え、オペレーティング システムを新しいものに置き換えます。

このトピックの内容

シナリオ 2: 圧縮移行ストアを使う PC 更新

シナリオ 3: ハード リンク移行ストアを使う PC 更新

シナリオ 4: Windows.old フォルダーとハード リンク移行ストアを使う PC 更新

PC 置換

シナリオ 1: Windows PE と外部移行ストアを使うオフライン移行

シナリオ 2: 手動のネットワーク移行

シナリオ 3: 管理されたネットワーク移行

PC 更新

次の図は、コンピューター更新移行とも呼ばれる PC 更新移行を表したものです。まず、管理者がユーザー状態を移行元コンピューターから中間ストアに移行します。オペレーティング システムのインストール後、管理者がユーザー状態を移行元コンピューターに戻します。

 

USMT - PC リフレッシュ シナリオ

 

シナリオ 1: Windows PE とハード リンク移行ストアを使うオフラインでの PC 更新

ある会社で、経理部の全コンピューターのオペレーティング システムを Windows(R) 8 に更新する資金を確保したとします。すべての従業員は今後も同じコンピューターを使うものとし、各コンピューターのオペレーティング システムだけを更新することになりました。このシナリオでは、ネットワーク接続を使わずに、完全にオフラインで更新作業を行います。管理者は、Windows PE とハード リンク移行ストアを使って、各ユーザー状態をそれぞれのコンピューターに保存します。

  1. 管理者が各コンピューターを Windows PE で起動し、ScanState コマンド ライン ツールを実行します。その際、/hardlink /nocompress コマンド ライン オプションを指定します。ScanState によって各コンピューター上のハード リンク移行ストアにユーザー状態が保存されます。ネットワーク トラフィックや、ハード ドライブ上の空き領域がわずかなコンピューターでの移行の失敗が最小限に抑えられるため、パフォーマンスが高まります。

  2. 管理者が、各コンピューターに対し、会社の標準オペレーティング環境 (SOE) をインストールします。これには、Windows 8 とその他の社内アプリケーションが含まれています。

  3. 管理者が、各コンピューターで LoadState コマンド ライン ツールを実行します。LoadState により、各コンピューターに各ユーザー状態が復元されます。

シナリオ 2: 圧縮移行ストアを使う PC 更新

ある会社で、すべてのコンピューターのオペレーティング システムを Windows 8 に更新する資金を確保したとします。すべての従業員は今後も同じコンピューターを使うものとし、各コンピューターのオペレーティング システムだけを更新することになりました。このシナリオでは、管理者が圧縮移行ストアを使ってユーザー状態をサーバーに保存します。

  1. 管理者が、各コンピューターで ScanState コマンド ライン ツールを実行します。ScanState により各ユーザー状態がサーバーに保存されます。

  2. 管理者が、各コンピューターに対し、会社の SOE をインストールします。これには、Windows 8 とその他の社内アプリケーションが含まれています。

  3. 管理者が、各移行元コンピューターで LoadState コマンド ライン ツールを実行します。LoadState により、各ユーザー状態がコンピューターに復元されます。

シナリオ 3: ハード リンク移行ストアを使う PC 更新

ある会社で、すべてのコンピューターのオペレーティング システムを Windows 8 に更新する資金を確保したとします。すべての従業員は今後も同じコンピューターを使うものとし、各コンピューターのオペレーティング システムだけを更新することになりました。このシナリオでは、管理者はハード リンク移行ストアを使って各ユーザー状態をそれぞれのコンピューターに保存します。

  1. 管理者は、個々のコンピューターで ScanState コマンド ライン ツールを実行します。その際、/hardlink /nocompress コマンド ライン オプションを指定します。ScanState によって各コンピューター上のハード リンク移行ストアにユーザー状態が保存されます。ネットワーク トラフィックや、ハード ドライブ上の空き領域がわずかなコンピューターでの移行の失敗が最小限に抑えられるため、パフォーマンスが高まります。

  2. 管理者が、各コンピューターに対し、会社の SOE をインストールします。これには、Windows 8 とその他の社内アプリケーションが含まれています。

  3. 管理者が、各コンピューターで LoadState コマンド ライン ツールを実行します。LoadState により、各コンピューターで各ユーザー状態が復元されます。

シナリオ 4: Windows.old フォルダーとハード リンク移行ストアを使う PC 更新

ある会社で、すべてのコンピューターのオペレーティング システムを Windows 8 に更新する資金を確保したとします。すべての従業員は今後も同じコンピューターを使うものとし、各コンピューターのオペレーティング システムだけを更新することになりました。このシナリオでは、管理者は Windows.old とハード リンク移行ストアを使って各ユーザー状態をそれぞれのコンピューターに保存します。

  1. 管理者は、Windows 8 を各コンピューターにクリーン インストールします。その際、フォーマットや再パーティション分割を行わずに Windows 8 をインストールし、前のバージョンの Windows を含むパーティションを選ぶことで、Windows.old ディレクトリが作成されていることを確かめます。

  2. 管理者が、各コンピューターに対し、会社の SOE をインストールします。これには、社内アプリケーションが含まれています。

  3. 管理者が、/hardlink /nocompress コマンド ライン オプションを指定して ScanState コマンド ライン ツールと LoadState コマンド ライン ツールを各コンピューターで正しく実行します。

PC 置換

次の図は、PC 置換移行を表したものです。まず、管理者がユーザー状態を移行元コンピューターから中間ストアに移行します。移行先コンピューターへのオペレーティング システムのインストール後、管理者はユーザー状態をストアから移行先コンピューターに移行します。

 

USMT - PC 交換シナリオ

 

シナリオ 1: Windows PE と外部移行ストアを使うオフライン移行

ある企業で、経理部のユーザーに 20 台の新しいコンピューターを割り当てようとしています。ユーザーはそれぞれ 1 台ずつ移行元コンピューターを持っていて、各自のファイルと設定があります。このシナリオでは、ネットワーク接続を使わずに、完全にオフラインで移行を行います。

  1. 管理者は、各移行元コンピューターを Windows PE で起動し、ScanState を実行して、サーバーか外部ハード ディスクにユーザー状態を収集します。

  2. 管理者が、新しい個々のコンピューターに対し、会社の SOE をインストールします。これには、Windows 8 とその他の社内アプリケーションが含まれています。

  3. 管理者が、新しい各コンピューターで LoadState ツールを実行し、各ユーザー状態を移行ストアから新しい各コンピューターに復元します。

シナリオ 2: 手動のネットワーク移行

ある企業で、マネージャー用の新しいノート PC を 50 台導入したため、50 台の古いラップトップを新入社員に割り当て直す必要があるとします。このシナリオでは、管理者が各コンピューターでコマンド プロンプトから ScanState ツールを実行して、ユーザー状態を収集し、それを圧縮移行ストア内のサーバーに保存します。

  1. 管理者は、マネージャーの古い個々のノート PC で ScanState ツールを実行し、各ユーザー状態をサーバーに保存します。

  2. 管理者は、新しいノート PC に対し、会社の SOE をインストールします。これには、Windows 8 とその他の社内アプリケーションが含まれています。

  3. 管理者が、新しいノート PC で LoadState ツールを実行して、マネージャーのユーザー状態を適切なコンピューターに移行します。これで、マネージャーが新しいノート PC を使える状態になりました。

  4. 管理者が、古いコンピューターに対し、会社の SOE をインストールします。これには、Windows 8 や Microsoft Office のほか、社内アプリケーションが含まれています。これで、新入社員が古いコンピューターを使える状態になりました。

シナリオ 3: 管理されたネットワーク移行

ある企業で、経理部のユーザーに 20 台の新しいコンピューターを割り当てようとしています。ユーザーはそれぞれ 1 台ずつ移行元コンピューターを持っていて、それぞれのコンピューターに各自のファイルと設定が保存されています。管理者が、各移行元コンピューターでログオン スクリプトやバッチ ファイルなどの管理テクノロジを使って、ユーザー状態を収集し、それを圧縮移行ストア内のサーバーに保存します。

  1. 管理者が、各移行元コンピューターで Microsoft System Center Configuration Manager (SCCM)、Microsoft Deployment Toolkit (MDT)、ログオン スクリプト、バッチ ファイル、Microsoft 以外の管理テクノロジを使って ScanState ツールを実行します。ScanState によって各移行元コンピューターからユーザー状態が収集され、サーバーに保存されます。

  2. 管理者が、新しい個々のコンピューターに対し、会社の SOE をインストールします。これには、Windows 8 とその他の社内アプリケーションが含まれています。

  3. 管理者が新しい個々のコンピューターで、System Center Configuration Manager、ログオン スクリプト、バッチ ファイル、Microsoft 以外の管理テクノロジを使って LoadState ツールを実行します。LoadState によって移行ストアから新しい個々のコンピューターに各ユーザー状態が移行されます。

関連項目

他のリソース

移行の計画
移行ストアの種類の選択
オフライン移行リファレンス