SharePoint 2013 にアップグレードする際に発生する可能性のあるブランドの問題

適用対象:yes-img-13 2013no-img-162016 no-img-192019 no-img-seSubscription Edition no-img-sopSharePoint in Microsoft 365

SharePoint 2013 では、軽量、高速、かつ滑らかな新しいユーザー インターフェイスが導入されました。 この UI は、新しい CSS スタイル、テーマ、およびマスター ページを使用して構築されています。 この新しい使い勝手の良さを体験するには、新しい UI にアップグレードする必要があります。 しかし、新しい UI をサポートするために重要な変更がいくつか加えられているため、カスタム ブランドを使用する一部のシナリオにおいては、アップグレード ストーリーがそのまま使用できない可能性があります。

SharePoint 2010 製品 において、以下のいずれかの方法でサイトを既にブランドしているかもしれません。

  • サイトにカスタム スタイル シートを適用して、SharePoint の既定のスタイルをオーバーライドする。

  • カスタム テーマ (THMX ファイル) をサイトに適用する。

  • SharePoint 2013 に含まれているマスター ページをコピーして変更する。

  • 発行サイトの完全に新しいカスタム マスター ページを作成する。カスタム マスター ページはカスタム スタイルを使用しており、カスタム ページ レイアウトによって参照されている。

サイト コレクションを SharePoint 2013 にアップグレードする際、既定の CSS スタイル、テーマ、およびマスター ページが変更されているため、この種のカスタマイズはそのままでは機能しません。 カスタム ブランドを再度作成する必要があります。 そのためには、SharePoint 2013 で利用可能な新しいスタイル、テーマ、またはマスター ページを使用した上で、改めて再作成したデザインを、アップグレード後のサイト コレクションに適用する必要があります。

より高速かつより滑らかなユーザー インターフェイスを作成するために、また、以降のアップグレードをさらに予測可能なものとするためには、SharePoint の既定のスタイル、テーマ、マスター ページに変更を加えることが必要でした。

そのため、サイト コレクションにカスタム ブランドが含まれる場合には、アップグレードする前に、SharePoint 2013 環境でカスタム ブランドをテストしたり再作成したりできる評価サイト コレクションをまず作成することをお勧めします。 評価サイト コレクションの詳細については、「サイト コレクション のアップグレード」を参照してください。

以下のセクションにおいて、SharePoint 2013 にアップグレードする際に発生する可能性のあるブランドの問題のリストを示します。

カスタム CSS

カスタム ブランドを SharePoint 2010 製品 サイトに適用する最も一般的な方法は、SharePoint の既定のスタイルを上書きするスタイルを含む CSS ファイルを作成することです。

新しい UI をさらに高速かつ滑らかなものとするため、SharePoint 2013 では、CSS の実装方法に根本的な変更が加えられています。

  • CSS ファイルのサイズは小さくなっています。

  • CSS セレクターの入れ子は、制限されています。

  • 可能な場合には、CSS 継承が使用されます。

  • クラスは 1 つの場所でのみ定義されます。

  • 相互に関連する複数のクラスは、CSS ファイルとしてまとめられます。

  • インライン スタイルと !important 宣言は、オーバーライドできないため使用されません。

  • スタイルでは、一貫性のある構造および名前付け規則が使用されています。

SharePoint 2013 のスタイルでは、一貫性のある構造および名前付け規則が使用されています。

名前付けの部分 MS- <機能>- <NAME>
説明
これが Microsoft クラスであることを示します。
この項目が関連付けられている機能の名前。または、コア UI の一部として使用される場合は「core」。
タイトルやリンクなど、項目のわかりやすい名前

SharePoint 2013 での CSS の実装方法にこのような変更が加えられているため、アップグレード時に、カスタム CSS スタイルはサイトに適用されません。 この問題を解決するには、まず、評価サイト コレクションを作成した後、そのサイトをテスト環境として使用して、新しい SharePoint 2013 スタイルのうち、どれをオーバーライドする必要があるかを識別する必要があります。 これらのスタイルのための CSS ファイルを作成し、アップグレード後のサイトにその CSS を適用します。

カスタム テーマ

SharePoint 2010 製品 において、PowerPoint 2010 などの Office プログラムを使用することにより、THMX ファイルを作成することができます。 その後、テーマ ファイルを SharePoint 2010 製品 にアップロードし、サイトにそのテーマを適用することができます。

SharePoint 2013 では、テーマエンジンが改善され、テーマがより速く柔軟になり、テーマをより簡単にアップグレードできるようになりました。 テーマ処理モデルでは、CSS の中でコメント スタイルのマークアップが使用されており、ユーザーの選択するフォントや配色パターンなどのパラメーターに基づいて、CSS のさまざまな部分が置き換えられます. SharePoint 2013 のテーマは、XML ファイルによって定義されます。

  • SPColor.xml により、カラー パレットが定義されますが、色の値を変更した場合にどの UI 要素が影響を受けるかがより明確になるような、意味のある名前がスロットに付けられています。 また、テーマで、不透明度を設定できるようになりました。

  • SPFont.xml は、フォント パターンを定義し、複数言語、Web セーフ フォント、および Web フォントをサポートしています。

しかし、THMX ファイルを SharePoint 2010 製品 から SharePoint 2013 にアップグレードするサポートはありません。 カスタム テーマを SharePoint 2010 製品 サイトに適用した場合、SharePoint 2013 にアップグレードする際に、テーマ ファイルはそのまま残ります。 しかし、サイトにはそのテーマが適用されず、サイトの既定のテーマに戻ります。

この問題を解決するには、まず評価サイト コレクションを作成した後、SharePoint 2013 で新しいテーマ機能を使用して、テーマを再作成します。 新しいテーマの詳細については、MSDN の次の資料を参照してください。

重要

カスタム ブランドを使用する場合、将来のアップグレードでもそのブランドが動作するようにするには、デザインを実装するためにテーマを使用することをお勧めします。 テーマには、今後の更新が利用できるアップグレード サポートが提供される予定です。 実際のシナリオでテーマが機能しない場合、あるいはブランドをさらに広範囲に実施する必要がある場合は、発行サイトをデザイン マネージャーと共に使用することをお勧めします。 しかし、カスタム マスター ページとページ レイアウトの構築に手間をかけた場合、SharePoint のアップグレードを実行するたびに、その最中やその後で、毎回デザイン ファイルを再作成または更新しなければならないというのは確かに面倒です。

SharePoint 2013 付属のマスター ページをコピーして変更を加える

SharePoint 2010 製品 において、UI に小規模なカスタマイズを加える一般的な方法は、SharePoint 2010 製品 に付属するマスター ページをコピーし変更を加えることです。 たとえば、マスター ページに変更を加えることにより、ユーザーからいくつかの機能を削除したり非表示にしたりすることが考えられます。

SharePoint 2010 Products サイトを SharePoint 2013 にアップグレードすると、SharePoint 2013 の既定のマスター ページを使用するようにマスター ページがリセットされます。 そのため、アップグレード後、サイトにカスタム ブランドが表示されます。 SharePoint 2010 製品で作成されたカスタム マスター ページは引き続きサイトに存在しますが、新しいサイトは期待どおりに表示されないため、古いマスター ページを新しいサイトに適用しないでください。

SharePoint 2013 で新しい UI をサポートするため、既定のマスター ページに変更が加えられました。 そのため、SharePoint 2010 製品 で作成されたマスター ページを、SharePoint 2013 のサイトに適用することはできません。

これを解決するには、まず、評価サイト コレクションを作成してから、SharePoint 2013 サイトでマスター ページを再び作成します。 新しいマスター ページが期待通りに動作することを確認した後、マスター ページを新しいサイト コレクションに移動し、サイトに適用します。 サイトが発行サイトの場合、デザイン マネージャーを使ってマスター ページをエクスポートした後、それをデザイン パッケージの一部としてインポートすることができます。 あるいは、サンド ボックス ソリューションの一部として、またはファイルをマスター ページ ギャラリーにアップロードすることによって、マスター ページを移動することができます。

重要

SharePoint Foundation 2013 では、発行サイトがサポートされていません。 発行サイトを使用するには、SharePoint 2013 を使用する必要があります。

発行サイトでのカスタム マスター ページ

企業の通信イントラネット サイトなど、完全にブランド化されたサイトを使用する場合は、全面的なカスタム マスター ページ、およびそのカスタム マスター ページに関連付けられたカスタム ページ レイアウトを使用する発行サイトを使用します。

SharePoint 2010 Products サイトを SharePoint 2013 にアップグレードすると、SharePoint 2013 の既定のマスター ページを使用するようにマスター ページがリセットされます。 そのため、アップグレード後、サイトにはカスタム ブランドが表示されません。 SharePoint 2010 製品で作成されたカスタム マスター ページとページ レイアウトは引き続きサイトに残っていますが、新しいサイトは期待どおりに表示されないため、古いマスター ページを新しいサイトに適用しないでください。

この問題を解決するには、まず、発行サイトである評価サイト コレクションを作成してから、SharePoint 2013 サイトでマスター ページを再び作成します。 新しいマスター ページが期待通りに動作することを確認した後、次の手順を実行します。

  1. デザイン パッケージの一部として、マスター ページをエクスポートします。

  2. デザイン パッケージを新しいサイト コレクションにインポートします。

  3. 新しいマスター ページをサイトに適用します。

カスタム マスター ページ上のカスタム コンテンツ プレースホルダー

重要

カスタム マスター ページにカスタム コンテンツ プレースホルダーが含まれる場合、およびカスタム ページ レイアウトにもこのカスタム コンテンツ プレースホルダーが含まれる場合は、アップグレード後にエラーでサイトのホーム ページがまったく表示されなくなることがあります。 また、アップグレード後に「予期しないエラーが発生しました」というエラー メッセージが表示されることがあります。

この問題があるかどうかを確認するには、発行サイト コレクションでもある評価サイト コレクションを作成した後、マスター ページを、SharePoint 2013 に付属のマスター ページに設定します。 それでもサイトが表示される場合、この問題はありません。 サイトが表示されない場合、「予期しないエラー」と相関 ID が表示される場合、この問題が存在しているものと思われます。

この問題を解決するには、次の操作を行います。

  1. 発行サイト コレクションである評価サイト コレクションを作成します。

  2. SharePoint 2013 マスター ページを作成します。

  3. 2013 マスター ページにカスタム コンテンツ プレースホルダーを追加します。

  4. 新しいマスター ページをサイトに適用します。

  5. カスタム コンテンツ プレースホルダーが含まれないページ レイアウトを作成します。

    そのページ レイアウトは、サイトに適用された新しいマスター ページに関連付けられます。

  6. 古いページ レイアウトを使用するすべてのページを、新しいページ レイアウトを使用するように変更します。

    各ページをブラウザーで個別に手動編集し、リボンのオプションを使用するか、または SharePoint 用のクライアント サイド オブジェクト モデルを使用することによってページをプログラムにより更新することができます。

  7. カスタムのコンテンツ プレースホルダーを含む古いページ レイアウトを削除します。

カスタム マスター ページやページ レイアウトにはカスタム コンテンツ プレースホルダーを追加しないようにすることをお勧めします。

関連項目

その他のリソース

SharePoint 2013 でのサイト コレクションのアップグレードの問題のトラブルシューティング

SharePoint 2013 にアップグレードされたサイト コレクションを確認する

Upgrade a site collection to SharePoint 2013

Run site collection health checks in SharePoint 2013

SharePoint 2013 のデザイン マネージャーの概要