データベース識別子
適用対象: SQL Server Azure SQL データベース Azure SQL Managed Instance Azure Synapse Analytics Analytics Platform System (PDW) Microsoft Fabric の SQL 分析エンドポイント Microsoft Fabric のウェアハウス
データベース オブジェクトの名前は識別子と呼ばれます。 SQL Server では、すべてのオブジェクトに識別子を設定できます。 サーバーやデータベース、またはテーブル、ビュー、列、インデックス、トリガー、プロシージャ、制約、規則などのデータベース オブジェクトに対して識別子を割り当てることができます。 ほとんどのオブジェクトには識別子が必要です。ただし、制約などの一部のオブジェクトについては、識別子は省略可能です。
オブジェクトの識別子は、オブジェクトを定義するときに作成されます。 作成された識別子を使用して、そのオブジェクトを参照できます。 たとえば、次のステートメントは識別子が TableX
であるテーブル 1 つと、識別子がそれぞれ KeyCol
、 Description
である 2 つの列を作成します。
CREATE TABLE TableX (
KeyCol INT PRIMARY KEY,
Description NVARCHAR(80)
);
このテーブルには名前のない制約も含まれます。 PRIMARY KEY
制約には識別子がありません。
識別子の照合順序は、識別子が定義されているレベルによって異なります。 ログイン名やデータベース名など、インスタンスレベルのオブジェクトの識別子には、インスタンスの既定の照合順序が指定されます。 テーブル名、ビュー名、列名など、データベース内のオブジェクトの識別子には、データベースの既定の照合順序が指定されます。 たとえば、大文字と小文字を区別する照合順序が指定されたデータベースでは、同じ名前で大文字と小文字のみが異なる 2 つのテーブルを作成できますが、大文字と小文字を区別しない照合順序が指定されたデータベースでは作成できません。
Note
変数名、関数およびストアド プロシージャのパラメーター名は、Transact-SQL 識別子の規則に従っている必要があります。
識別子のクラス
識別子のクラスには、次の 2 種類があります。
標準識別子は、識別子の形式に関する規則に準拠しています。 Transact-SQL ステートメントで使用するときは、標準識別子を区切る必要はありません。
USE AdventureWorks2022; GO SELECT * FROM HumanResources.Employee WHERE NationalIDNumber = 153479919;
区切られた識別子は、二重引用符 (
"
) または括弧 ([
と]
) で囲まれています。 識別子の形式に関する規則に従っている識別子は、区切らなくてもかまいません。 次に例を示します。USE AdventureWorks2022; GO SELECT * FROM [HumanResources].[Employee] --Delimiter is optional. WHERE [NationalIDNumber] = 153479919 --Delimiter is optional.
識別子の規則に従わない識別子を Transact-SQL ステートメントで使用する場合は、必ず区切らなければなりません。 次に例を示します。
USE AdventureWorks2022;
GO
--Identifier contains a space and uses a reserved keyword.
CREATE TABLE [SalesOrderDetail Table] (
[Order] INT NOT NULL,
[SalesOrderDetailID] INT IDENTITY(1, 1) NOT NULL,
[OrderQty] SMALLINT NOT NULL,
[ProductID] INT NOT NULL,
[UnitPrice] MONEY NOT NULL,
[UnitPriceDiscount] MONEY NOT NULL,
[ModifiedDate] DATETIME NOT NULL,
CONSTRAINT [PK_SalesOrderDetail_Order_SalesOrderDetailID] PRIMARY KEY CLUSTERED (
[Order] ASC,
[SalesOrderDetailID] ASC
)
);
GO
SELECT *
FROM [SalesOrderDetail Table] --Identifier contains a space and uses a reserved keyword.
WHERE [Order] = 10; --Identifier is a reserved keyword.
標準識別子および区切られた識別子は、文字、記号 (_ @ #)、および数字を含む 1 ~ 128 個の文字で構成されます。 ローカル一時テーブルの場合、識別子は 116 文字以下でなければなりません。
標準識別子に関する規則
変数、関数、およびストアド プロシージャの名前は、次の Transact-SQL 識別子の規則に従っている必要があります。
最初の文字が次のいずれかである必要があります。
Unicode 規格 3.2 で定義されている文字。 Unicode の文字定義には、各国言語の文字の他に、ラテン文字
a
~z
とA
~Z
も含まれます。アンダースコア (
_
)、アット マーク (@
)、または番号記号 (#
)。SQL Server では、識別子の先頭にある一定の記号には特別な意味があります。 アット マークで始まる標準識別子は、常にローカル変数またはローカル パラメーターを表し、他の種類のオブジェクトの名前としては使用できません。 番号記号で始まる識別子は一時テーブルまたは一時プロシージャを表します。 2 つの番号記号 (
##
) で始まる識別子は、グローバルな一時オブジェクトを表します。 1 つまたは 2 つの番号記号で始まる名前を、他の種類のオブジェクトの名前として使用することもできますが、このような番号記号の使用はお勧めしません。一部の Transact-SQL 関数の名前は、2 つのアット マーク (
@@
) から始まります。 これらの関数との混同を避けるために、@@
から始まる名前は使用しないでください。
名前の先頭以外では、次の一覧の文字を使用できます。
Unicode 規格 3.2 で定義されている文字
Basic Latin スクリプトまたはその他の各国スクリプトの 10 進数
アット マーク (
@
)、ドル記号 ($
)、番号記号 (#
)、またはアンダースコア (_
)。
Transact-SQL 予約語を識別子として使用することはできません。 SQL Server の予約語は、大文字、小文字ともに予約されています。 これらの規則に従っていない識別子を Transact-SQL ステートメントで使用する場合は、二重引用符または括弧で区切る必要があります。 予約語は、データベースの互換性レベルによって異なります。 互換性レベルは、 ALTER データベース互換レベル ステートメントを使用して設定できます。
埋め込み型スペースおよび特殊文字は使用できません。
補助文字は使用できません。
これらの規則に従っていない識別子を Transact-SQL ステートメントで使用する場合は、二重引用符または括弧で区切る必要があります。
Note
標準識別子の形式に関する規則は、データベースの互換性レベルに応じて異なります。 互換性レベルは、ALTER データベース互換レベルを使用して設定できます。
Azure SQL データベースのカタログ照合順序
Azure SQL データベースでは論理サーバーの照合順序を変更または設定することはできません。 ただし、各データベースの照合順序は、データベース内のデータとカタログ用に個別に構成できます。 カタログの照合順序は、オブジェクト識別子などのシステム メタデータの照合順序を決定します。 Azure portal でデータベースを作成するとき、T-SQL で CREATE DATABASE を使用するとき、PowerShell で New-AzSqlDatabase を使用するときに、両方の照合順序を個別に指定できます。
詳細と例については、「CREATE DATABASE」を参照してください。 データ (COLLATE
) の照合順序と、システム メタデータとオブジェクト識別子 (CATALOG_COLLATION
) のカタログ照合順序を指定します。
関連するコンテンツ
- ALTER TABLE (Transact-SQL)
- CREATE DATABASE
- CREATE DEFAULT (Transact-SQL)
- CREATE PROCEDURE (Transact-SQL)
- CREATE RULE (Transact-SQL)
- CREATE TABLE (Transact-SQL)
- CREATE TRIGGER (Transact-SQL)
- CREATE VIEW (Transact-SQL)
- DECLARE @local_variable (Transact-SQL)
- DELETE (Transact-SQL)
- INSERT (Transact-SQL)
- 予約済みキーワード (Transact-SQL)
- SELECT (Transact-SQL)
- UPDATE (Transact-SQL)