Reporting Services での承認
承認は、レポート サーバー データベースの特定のリソースに対して要求された種類のアクセスに、ID を付与するかどうかを判断する処理です。 Reporting Services では、ロールベースの承認アーキテクチャを使用します。つまり、そのアプリケーションでユーザーに割り当てられているロールに基づいて、各リソースにユーザー アクセス権を付与します。 Reporting Services のセキュリティ拡張機能には、レポート サーバーで認証されたユーザーにアクセス権を付与するために使用される承認コンポーネントの実装が含まれています。 SOAP API および URL アクセスを使用して、ユーザーがシステムまたはレポート サーバー アイテムに対して操作を実行しようとすると、承認が呼び出されます。 このシナリオは、セキュリティ拡張機能インターフェイス IAuthorizationExtension2 を通じて可能になります。 前に説明したように、すべての拡張機能は、配置した拡張機能の基本インターフェイスである IExtension から継承されます。 IExtension と IAuthorizationExtension2 は、Microsoft.ReportingServices.Interfaces 名前空間のメンバーです。
アクセスの確認
承認でカスタム セキュリティの実装に不可欠なのはアクセス チェックです。これは、CheckAccess メソッドに実装されています。 CheckAccess は、ユーザーがレポート サーバーに対する操作を試行するたびに呼び出されます。 CheckAccess メソッドは、操作の種類ごとにオーバーロードされます。 フォルダー操作の場合、アクセス チェックの例は次のようになります。
// Overload for Folder operations
public bool CheckAccess(
string userName,
IntPtr userToken,
byte[] secDesc,
FolderOperation requiredOperation)
{
// If the user is the administrator, allow unrestricted access.
if (userName == m_adminUserName)
return true;
AceCollection acl = DeserializeAcl(secDesc);
foreach(AceStruct ace in acl)
{
if (userName == ace.PrincipalName)
{
foreach(FolderOperation aclOperation in
ace.FolderOperations)
{
if (aclOperation == requiredOperation)
return true;
}
}
}
return false;
}
レポート サーバーが CheckAccess メソッドを呼び出すときに、ログオンしているユーザーの名前、ユーザー トークン、アイテムのセキュリティ記述子、および要求された操作を渡します。 ユーザー名のセキュリティ記述子をチェックし、要求を実行する適切なアクセス許可を持っているか確認します。次に、アクセスが許可されたことを通知するには true を、アクセスが拒否されたことを通知するには false を返します。
セキュリティ記述子
レポート サーバー データベースのアイテムに対して承認ポリシーを設定する場合は、レポート マネージャーなどのクライアント アプリケーションがユーザー情報をアイテムのセキュリティ ポリシーと一緒にセキュリティ拡張機能に送信します。 このセキュリティ ポリシーとユーザー情報をまとめてセキュリティ記述子と呼びます。 セキュリティ記述子には、レポート サーバー データベースのアイテムに関する次の情報が含まれます。
アイテムで操作を実行する権限を持っているグループまたはユーザー
項目の種類。
アイテムへのアクセスを制御する任意のアクセス制御リスト
セキュリティ記述子は、Web サービス SetPolicies メソッドおよび SetSystemPolicies メソッドを使用して作成されます。
承認フロー
Reporting Services の承認は、サーバーで動作するように構成されているセキュリティ拡張機能によって制御されます。 承認はロールベースであり、Reporting Services セキュリティ アーキテクチャによって指定された権限と操作に限定されます。 次の図は、レポート サーバー データベースのアイテムを操作するユーザーを承認するプロセスを示しています。
この図のように、承認は次の順序で実行されます。
認証が完了すると、クライアント アプリケーションは、Reporting Services Web サービスのメソッドを使用してレポート サーバーに要求を発行します。 その際、各 Web 要求の HTTP ヘッダーに認証チケットがクッキーとして追加され、レポート サーバーに渡されます。
アクセス チェックの前にクッキーが検証されます。
クッキーの有効性を確認すると、レポート サーバーは GetUserInfo を呼び出し、ユーザーに ID を割り当てます。
ユーザーが Reporting Services Web サービスをとおして操作を試行します。
レポート サーバーが CheckAccess メソッドを呼び出します。
セキュリティ識別子が取得され、CheckAccess のカスタム セキュリティ拡張機能に渡されます。 この時点で、ユーザー、グループ、またはコンピューターがアクセス先アイテムのセキュリティ識別子と比較され、要求された操作の実行が許可されます。
ユーザーが承認されると、Web サービスが操作を実行し、呼び出し元アプリケーションに応答を返します。