レポート サーバー コンテンツの管理 (SSRS ネイティブ モード)

Reporting Servicesでは、コンテンツ管理とはレポート サーバー アイテムの管理を指します。 すべてのアイテムは、プロパティおよびセキュリティの設定を通して、個別に管理できます。 アイテムは、レポート サーバー フォルダー名前空間内のさまざまな場所に移動できます。 アイテムを効率的に管理するには、コンテンツ マネージャーで実行されるタスクを理解しておく必要があります。 SQL Server Reporting Services (SSRS) 2016 以降の CTP 3.2 で、Reporting Services Web ポータルが利用できます。 この記事では、Web ポータルと、Web ポータルの新しいエクスペリエンスについて説明します。

Note

コンテンツ管理はレポート サーバー管理とは異なります。 レポート サーバーが実行されている環境の管理方法に関する詳細については、「Reporting Services のレポート サーバー (ネイティブ モード)」を参照してください。

コンテンツ管理には、次のタスクが含まれます。

  • Reporting Servicesで提供されるロールベースのセキュリティを適用することにより、レポート サーバー サイトおよびアイテムをセキュリティで保護します。

  • フォルダーを追加、変更、および削除することにより、レポート サーバーのフォルダー階層を作成します。

  • レポート サーバーで管理されるアイテムに適用する既定値およびプロパティを設定します。 たとえば、レポート履歴の記憶域のポリシーを決定する、基準の最大値を設定できます。

  • レポート固有のデータ ソース接続の代わりに使用できる共有データ ソース アイテムを作成します。 発行元またはコンテンツ マネージャーは、レポート用に最初に定義されたものとは異なるデータ ソースを選択できます。 たとえば、テスト データベースへの参照を運用データベースへの参照に置き換えるソースを選択できます。

  • レポート固有のスケジュールやサブスクリプション固有のスケジュールに置き換えて使用できる共有スケジュールを作成します。これにより、時間経過に伴うスケジュール情報の管理がより簡単になります。

  • データ ストアからデータを取得することにより受信者の一覧を生成する、データ ドリブン サブスクリプションを作成します。

  • レポート処理のスケジュールを設定し、オンデマンドで実行できるレポート処理とキャッシュから読み込まれるレポート処理を指定すると、サーバーに対するレポート処理の要求が分散されます。

  • 管理タスクを実行するための権限は、システム管理者コンテンツ マネージャーという、事前定義された 2 つのロールを通じて提供されます。 レポート サーバーのコンテンツを効率よく管理するためには、両方のロールに割り当てられている必要があります。

レポート サーバーのコンテンツを管理するためのツールには、Management Studio や Web ポータルなどがあります。 Management Studio では、既定値を設定したり、各機能を有効化することができます。 Web ポータルは、レポート サーバーのアイテムと操作へのアクセス権をユーザーに付与するために使用されます。 ポータルは、レポートやその他のコンテンツ タイプを表示および使用したり、すべての共有アイテムとレポート配布機能を表示および使用したりすることにも使用することもできます。 Web ポータルは、非推奨のレポート マネージャーの機能の大部分を実行できる、更新されたサイトです。 詳細については、「 Reporting Services ツール」を参照してください。

レポート サーバー アイテム

レポート サーバー アイテムには、レポート、共有データ ソース、共有データセット、リソース (レポート サーバー上で格納されているが、レポート サーバーによって処理されないアイテム)、およびフォルダーが含まれます。 アイテムは、他のアイテムに依存できます (たとえば、レポートは自身が参照する共有データ ソースに依存できます)。 依存アイテムを移動すると、レポート サーバーによって参照情報が自動的に更新されます。

レポート サーバー アイテムは、レポート サーバー フォルダー階層内の異なるフォルダーに移動できます。 アイテムを移動すると、セキュリティ設定などのすべてのプロパティが、アイテムと共に新しい場所に移動します。 フォルダーを移動すると、そのフォルダーに含まれるすべてのアイテムも移動します。

注意

CTP 3.2 の場合、アイテムの場所を移動するには、Web ポータルでその操作を実行する必要があります。

Web ポータルでは、移動できるアイテムがフォルダー階層で示されています。 移動可能な各アイテムのアイコンを次の図に示します。

さまざまなレポート サーバー コンテンツ アイコンのスクリーンショット。

作業に使用するすべてのアイテムを移動できるわけではありません。 サブスクリプションまたはレポート履歴など、レポートに関連付けられたアイテムを移動することはできません。 これらのアイテムは、関連するレポートと共に移動します。 同様に、フォルダー階層の外部にある、共有スケジュールなどのアイテムは移動できません。 操作を行うためのアクセス許可がない場合は、アイテムを移動できません。 アイテムを移動するための権限は、当該アイテムのロールの割り当てで "レポートの管理"、"フォルダーの管理、および "データ ソースの管理" のタスクを選択した場合に許可されます。

フォルダー

フォルダー階層は、レポート サーバーによって保存および管理されるアイテムを整理するために使用されます。 既定では、フォルダー構造は、"ホーム" という名前のルート ノードと、省略可能な個人用レポート機能をサポートする予約済みフォルダーで構成されます。 その他のフォルダーはユーザー定義です。 レポート サーバー フォルダーは、複数のアイテムに同じレベルのアクセス権を許可する場合に便利です。 フォルダー内のアイテムと、プライマリ フォルダーから分岐した他のフォルダーは、フォルダーに設定したアクセス許可を継承できます。 たとえば、[ホーム] フォルダー下に一連のフォルダーを作成し、各フォルダーにチーム権限を割り当てて、チーム メンバーが必要に応じてチーム フォルダー下のフォルダーをカスタマイズできるようにすることもできます。

ブラウザーを使用してレポート サーバーに直接接続している場合、フォルダー構造のルート ノードの名前は、レポート サーバーの仮想ディレクトリの名前です。 ルート ノードから、必要に応じてフォルダーを作成、変更、および削除し、レポート サーバー コンテンツを編成することができます。 フォルダーへのコンテンツの追加、フォルダー間でのアイテムの移動、フォルダーの名前または場所の変更、および不要になったフォルダーの削除を行うことができます。

フォルダーはパブリッシュされたアイテムを格納する仮想コンテナーです。これには、Web ポータルまたはレポート サーバーへのブラウザー接続を使用してアクセスします。 フォルダーとそのコンテンツは実際にはファイル システムに存在しません。 実際は、レポート サーバー データベースに格納されていて、レポート サーバー Web サービス エンドポイントを通じてアクセスされます。 レポート サーバー フォルダーの名前空間は、ルート ノード、事前定義されたフォルダーおよびユーザー定義のフォルダーを含む階層です。 名前空間によって、レポート サーバーに格納されているアイテムが一意に識別されます。 名前空間は、特定の URL 内でアイテムを特定するためのアドレス指定スキームとして使用されます。 レポートを選択または指定するとき、フォルダー パスがそのレポートの URL の一部になります。

フォルダーでどのように作業を行うかは、ロールの割り当ての一部であるタスクによって異なります。 既定のセキュリティを使用している場合、コンテンツ マネージャーおよびパブリッシャーは、フォルダーを作成および管理できます。 カスタム ロールの割り当てを使用している場合は、フォルダー管理をサポートするタスクがロールの割り当てに含まれている必要があります。 ロールの割り当てとタスクに関する詳細については、「 ネイティブ モードのレポート サーバーに対する権限の許可 」と「 タスクと権限」を参照してください。

レポート サーバー フォルダーには次のアイテムを含めることができます。

  • Reports

  • 共有データ ソース

  • 共有データセット

  • レポート パーツ

    注意

    レポート パーツは、SQL Server Reporting Services 2019 以降の SQL Server Reporting Services のすべてのリリースと、Power BI Report Server 2022 年 9 月以降の Power BI Report Server のすべてのリリースで廃止になっています。

  • KPI

  • モバイル レポート

  • リソース (レポート サーバーに格納されているがレポート サーバーによって処理されないアイテム)

  • その他のフォルダー

予約されたフォルダー

Reporting Services は、定義済みのフォルダーを予約します。 移動、名前の変更、削除はできません。 ユーザー定義フォルダーには、ユーザー、またはフォルダーにアイテムを追加する権限を持つレポート サーバー管理者によって作成された、すべてのフォルダーが含まれます。

次の表では、フォルダー階層に固定され、いくつかの機能のフレームワークを提供する、事前定義されたフォルダーについて説明します。

Folder 目的
ホーム フォルダー階層のルート ノードです。
ユーザー このフォルダーは、個人用レポートの機能を有効にしたときに表示されます。 このフォルダーには個人用レポートの機能を使用するすべてのユーザーのサブフォルダーが含まれ、レポート サーバー管理者のみがアクセスできます。 各サブフォルダー名は、ユーザー名に一致します。
個人用レポート 各ユーザーに個人用の作業領域を提供します。

フォルダーの作成

階層内にあるアクセス可能なフォルダー内にフォルダーを作成できます。

特定のレポートやモデルへのアクセスを制限するフォルダーを作成する場合は、ロールの割り当てを指定する必要があります。 割り当てにより、ユーザーはフォルダー パス内にある親フォルダーの内容を参照できますが、表示することはできません。

フォルダー プロパティの変更

フォルダーを作成した後、フォルダーの名前を変更したり、説明を追加または変更したり、またはフォルダーを他の場所へ移動するために、プロパティを変更することができます。 これらのプロパティは、フォルダーの [全般] プロパティ ページで設定できます。 フォルダーへのアクセスを許可するプロパティの設定の詳細については、「 フォルダーをセキュリティで保護する」を参照してください。

フォルダーおよびフォルダー コンテンツの削除

フォルダーを削除すると、フォルダーに含まれるすべてのアイテムが削除されます。 フォルダーを削除する前に、その内容を調べる必要があります。 フォルダー階層の他の場所にあるアイテムによって参照または使用されている可能性のあるアイテムがないかどうかを判断する必要があります。 参照されるアイテムには、リンク レポート、共有データ ソース、およびリソースをサポートするレポート定義があります。

レポートを参照する 1 つ以上のリンク レポートを持つレポートを削除した場合、レポートの削除後に、リンク レポートは無効になります。 レポートは、そのレポートを基としているリンク レポートに関する情報を保持しないので、どのリンク レポートに影響するかを事前に判断することはできません。 ただし、リンク レポートのプロパティを参照して、リンク レポートの基になっているレポートを確認できます。 一方、共有データ ソース アイテムでは、接続情報が使用中であるかどうかを簡単に判断できるように、そのアイテムを現在使用しているすべてのレポートが一覧表示されます。 詳細については、「共有データ ソースを作成、変更、および削除する (SSRS)」を参照してください。 最後に、レポートによって使用されているリソースは、これらのレポートを識別できません。

フォルダーを削除する前に、削除しようとしているレポートのレポート履歴を保持する必要があるかどうかを検討してください。 または、レポートの一部であるレポート固有のコンストラクトを保持する必要があるかどうかを検討します。 この情報に必要なものがある場合、フォルダーを削除する前に、フォルダー外にアイテムを移動します。

フォルダー内でアイテムを表示できるかどうかは、ロールの割り当て (つまり、アイテムを表示する権限) と、フォルダーに対して有効な表示オプションの両方によって異なります。 Web ポータルで、[コンテンツ] ページをリスト ビューまたは詳細ビューに設定することができます。 リスト ビューでは、レポートまたはアイテムが非表示になる場合があります。 コンテンツを削除する前に、詳細ビューでフォルダーを表示してください。

リソース

リソースは格納される管理対象アイテムですが、レポート サーバーで処理されるものではありません。 通常、リソースにレポート ユーザー向けの外部コンテンツが用意されています。 例としては、.jpg ファイルや、空間データを含んだ ESRI シェープファイル、レポートで使用されるビジネス ルールを示す HTML ファイルなどがあります。 JPG、SHP、または HTML ファイルはレポート サーバーに格納されますが、ファイルはレポート サーバーで処理されずに、ブラウザーに直接渡されます。 詳細については、「画像 (レポート ビルダーおよび SSRS)」、および「マップ (レポート ビルダーおよび SSRS)」「マップへのデータの追加」を参照してください。

リソースを追加して表示する

レポート サーバーにリソースを追加するには、ファイルをアップロードまたはパブリッシュします。

操作 ファイルの種類
アップロード リソースをアップロードするには、レポート サーバーがネイティブ モードで動作している場合は Web ポータルを使用し、サーバーが SharePoint 統合モードで動作している場合は SharePoint サイト上のアプリケーション ページを使用する必要があります。 詳細については、「レポート サーバーでファイルまたはレポートをアップロードする」または「SharePoint ライブラリへのドキュメントのアップロード (Reporting Services の SharePoint モード)」を参照してください。
公開 プロジェクト内にある、レポート、レポート パーツ、データ ソース、またはデータセット以外のすべてのファイルは、リソースとしてアップロードされます。 リソースをパブリッシュするには、既存のアイテムをレポート デザイナーのプロジェクトに追加した後で、そのプロジェクトをレポート サーバーにパブリッシュします。

リソースはすべて、もともとはファイル システム上のファイルです。そのファイルがレポート サーバーにアップロードされます。 ASP.NET の制限により、ファイル サイズが既定で 4 MB 以下に限定されている以外は、アップロードできるファイルの種類に制限はありません。 ただし、リソースとしてレポート サーバーにパブリッシュする場合には、適合する MIME の種類があるファイルの方が適しています。 たとえば、HTML ファイルと JPG ファイルに基づくリソースは、ユーザーがリソースを選択したときにブラウザー ウィンドウで開きます。 ブラウザは、HTML を Web ページとしてレンダリングし、JPG がユーザーに表示される画像として表示されます。 これに対し、たとえばデスクトップ アプリケーション ファイルなど、適合する MIME の種類がないリソースは、ブラウザー ウィンドウに表示されない場合があります。

レポート ユーザーがリソースを表示できるかどうかは、ブラウザーの表示機能によって異なります。 リソース サーバーではリソースが処理されないため、特定の MIME の種類を表示するための表示機能がブラウザーに必要となります。 ブラウザーがコンテンツを表示できない場合、そのリソースを閲覧するユーザーが見ることができるのは、リソースの全般プロパティのみとなります。

リソースの保護と管理

リソースは、レポート サーバーのフォルダー階層に、レポート、共有データ ソース、共有スケジュール、フォルダーなどと共に名前付きアイテムとして置かれます。 レポート サーバーに保存されているアイテムと同様に、リソースは検索、表示、保護、プロパティの設定を実行できます。 リソースの表示や管理を行うには、リソース表示タスクやリソース管理タスクのロールが割り当てられている必要があります。

レポートからのイメージ Web リソースを参照する

リソースには、レポートで参照する画像を含めることができます。 レポートで外部画像を使用する必要がある場合、リソースに画像を保存しておくと次の利点が得られます。

  • レポート サーバー データベースにストレージを集中する。 レポート サーバー データベースとその内容を別のコンピューターに移動しても、外部画像はレポート上にそのまま残ります。 ディスク上や他のコンピューターに保存されている画像ファイルを追跡する必要はありません。

  • ファイル システムのセキュリティではなくロールの割り当てによって保護する。 レポートの表示に使用した権限をリソースにも適用できます。 一方、画像をディスク上に保存する場合は、匿名ユーザー アカウントまたは自動実行アカウントに、ファイルにアクセスするためのアクセス許可を与える必要があります。

レポートに画像リソースを使用するには、画像ファイルをプロジェクトに追加し、そのプロジェクトをレポートと一緒にパブリッシュします。 画像がパブリッシュされたら、レポート サーバー上のリソースを指定するようにレポート内の画像参照を更新することができます。 その後、レポートのみを再発行して変更を保存できます。 リソースを再パブリッシュすることで、レポートと関係なく画像を更新できるようになります。 レポートでは、レポート サーバー上にある最新バージョンの画像が使用されます。

詳細については、「リソースの更新 (Web ポータル)」を参照してください。

個人用レポート

[個人用レポート] フォルダーは、有効なドメイン アカウントを使用してレポート サーバーにログインする各ユーザーの個人用の作業領域です。 この特別な目的に使用するためのフォルダーとして、作業中のレポート、広範囲にわたって配信する予定のないレポート、または必要性に合わせて変更されたレポートのためのストレージが提供されます。 [個人用レポート] フォルダーに格納されるアイテムの数またはサイズを制限したり、[個人用レポート] フォルダーをユーザー間で共有するように構成することはできません。

技術的には、[個人用レポート]によって、各ユーザーに対して表示される仮想フォルダーの名前 (個人用レポート) が、マスターの [Users フォルダー] フォルダーと、ユーザー名に基づいた一意のサブフォルダーに割り当てられます。 ユーザーが各自の [個人用レポート] フォルダーにアクセスすると、ユーザーは [Users フォルダー] の下のサブフォルダーにリダイレクトされます。 各サブフォルダーでは、ユーザーが独自の [個人用レポート] フォルダーに追加するレポートおよびアイテムを格納するためのストレージが提供されます。 Web ポータルでは、ルート レベルに個人用レポートが表示されます。 Users フォルダーにドリル ダウンする必要があります。

レポート サーバーをインストールすると、[Users フォルダー] フォルダーが作成されます。 ユーザーが (たとえば、Web ポータルで [個人用レポート] をクリックして) 個人用レポートを初めて開いたときに、その下位にユーザー ベースのサブフォルダーが作成されます。 各フォルダー名の形式は、次のとおりです。

/Users Folders/<username>/My Reports  

有効なシステム アカウントを持つユーザーのみに、フォルダーが割り当てられます。 ユーザー名に特殊文字が含まれている場合は、対応するエスケープ文字で名前が作成されます。 次の表に、対応するエスケープ文字を一覧表示します。

文字 エスケープ値
(スペース) [ ] Firstname Lastname は、 Firstname[ ]Lastname
\ (円記号) 1 つのスペース文字に置換されます。 DomainName\Username は、 DomainName Username
@ (アット マーク) [at] username@hotmail.com は、username[at]hotmail.com になります。
& (アンパサンド) [amp] username@company&company.com は、username[at]company[amp]company.com
$ (ドル記号) [dollar] User $Name は、 User[ ][dollar]Name

個人用レポートの機能は任意で使用できます。 既定では、レポート サーバーのインストール時には、個人用レポートは無効になっています。 この機能を有効にする方法の詳細については、「 個人用レポートの有効化と無効化」を参照してください。 詳細については、「 個人用レポートをセキュリティで保護する」を参照してください。

レポート サーバーコンテンツ管理タスク

フォルダーへのファイルのアップロード
フォルダーの作成、削除、または変更 (Web ポータル)
リソースの更新 (Web ポータル)
フォルダーへのファイルのアップロード