ハイブリッド ソリューションについて説明する

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ここまで目標復旧時間 (RTO) と目標復旧時点 (RPO)、そして SQL Server と Azure に用意されている可用性向上のための各種機能について説明してきました。その知識を総動員して、高可用性とディザスター リカバリー (HADR) の要件を満たしたソリューションを設計することができます。

アーキテクチャは複数の Azure リージョンにデプロイすることもできますが、オンプレミスと Azure の両方にまたがるソリューションや、場合によっては Azure と別のパブリック クラウドにまたがるソリューションを必要としている組織は決して少なくありません。 このタイプのアーキテクチャをハイブリッド ソリューションといいます。

PaaS ソリューションは本質的に、従来のハイブリッド ソリューションに対応するようには設計されていません。 HADR は、Azure インフラストラクチャによって提供されます。 ただし、いくつかの例外があります。 たとえば SQL Server のトランザクション レプリケーション機能は、オンプレミス (または別のクラウド) に置かれたパブリッシャーから Azure SQL Managed Instance サブスクライバー方向には構成できますが、その逆はできません。

このように、ハイブリッド ソリューションは従来のインフラストラクチャを利用するため IaaS ベースとなっています。 ハイブリッド ソリューションは、さまざまな目的を達成する手段となります。 Azure への移行でも役立ちますが、ハイブリッド アーキテクチャの最も一般的な用途は、オンプレミス システム用に堅牢なディザスター リカバリー ソリューションを作成することです。 たとえば、AG のセカンダリ レプリカを Azure に追加することができます。 当然、AD DS や DNS といった関連するインフラストラクチャが存在していなければなりません。

おそらく、Azure にまたがるハイブリッド HADR ソリューションの最も重要な考慮事項はネットワークでしょう。 適切な帯域幅の欠如は、とりもなおさず RTO と RPO の達成の失敗を意味します。 Azure では、ExpressRoute と呼ばれる高速なネットワークを選択することができます。 何かの事情で ExpressRoute を導入しない、または導入できない場合は、安全なサイト間 VPN を構成して、Azure VM がオンプレミス インフラストラクチャの拡張機能としての役割を果たせるようにします。 IaaS VM をパブリック インターネットに直接公開することはお勧めできません。

データベースのバックアップ先として、またバックアップのコールド アーカイブ ストレージとしての用途は、従来はハイブリッドとは見なされていませんでしたが、そのような目的に Azure を使用することもできます。