在庫可視化の概要
在庫可視化は、企業がすべてのデータ ソースおよびチャネルにわたってリアルタイムの手持在庫変更の転記と可視性の追跡を実行できるマイクロサービスを提供します。 このサービスは、次の機能の一部を使用して、グローバル在庫を管理するためのプラットフォームを提供します。
注文管理システム、外部エンタープライズ リソース プランニング (ERP) システム、販売時点管理システム、倉庫管理システムなどの外部データ ソースを在庫可視化サービスに接続して、すべてのデータ ソースにわたって在庫の状態を一元的に追跡する。
在庫可視化サービスに対してクエリを実行することで、リアルタムの手持在庫の利用可能性と不足に関する情報を取得する。
リアルタイムの仮引当を行うことで、さまざまなチャネルでの過剰販売を防ぎ、在庫配賦を管理する。
現在または次回の正確な入荷日を提示することで、納期回答済の注文や顧客の期待の管理を合理化する。 この方法では、オムニチャネルの納期回答可能在庫機能によって、予想される注文フルフィルメント日を特定できます。
拡張可能でスケーラブル
会社がサプライ チェーン管理システムや注文管理システムに関して Microsoft のエコシステムを初めて導入するというシナリオについて考えてみましょう。 その場合、サプライ チェーン管理、注文管理、調達に関して複数の外部サービスを利用している可能性があります。 在庫可視化サービスでは、このようなシナリオも問題になりません。
在庫可視化を使用すると、外部システムが RESTful API を介してサービスに接続できます。 Supply Chain Management のデータ ソースおよび分析コードに対するマッピングが標準で用意されているだけでなく、追加のデータ ソースおよび分析コードを設定して外部システムを在庫可視化に統合することもできます。 さらに、在庫可視化サービスは Microsoft Dataverse 上に構築されています。 そのため、サービスのデータを使用して、Microsoft Power Apps からアプリを作成し、そのアプリと統合したり、Microsoft Power BI を使用して、さまざまなビジネス ニーズに適した独自のダッシュボードを作成したりすることができます。
業務の規模に関しては、在庫可視化サービスをデータ量に合わせてスケーリングできます。 このスケーラビリティはトランザクション データ量の自動検出および評価に基いているため、スケーラブルでほとんど手間のかからないエクスペリエンスを享受できます。
リアルタイムでグローバルな在庫可視化と統合された在庫調整
在庫可視化を使用すると、すべてのチャネル、場所、および倉庫にわたって正確なリアルタイムの在庫数量にアクセスでき、日々の運用業務に大きな価値がもたらされます。 現物手持在庫、販売数量、および購入数量が標準で用意されていますが、ビジネス ニーズに合わせて他の現物在庫の状態 (返品済、検査済など) を設定することもできます。 在庫可視化では、数百万件の在庫変更の転記を、データが転記された瞬間に処理して集計できます。 また、外部システムが API を呼び出して在庫変更を転記することもできます。 その結果、これらの変更が直ちに反映されてサービスで表示可能になり、手持在庫がそれに合わせて差し引かれます。
詳細については、在庫可視化のパブリック API を参照してください。
仮引当
会社が保有しているチャネルまたはデータ ソースが、記録のためのシステムである ERP システムの外部に存在するというシナリオについて考えてみましょう。 その場合、他の機能よりも先に仮引当を使用して、それらの顧客またはチャネルに対する注文をより的確に履行できます。 仮引当を使用すると、注文または需要を満たすために特定の数量を割り当てる (フラグを設定する) ことができます。 仮引当は現物在庫には影響しませんが、引当可能な在庫数量から差し引かれ、将来の注文フルフィルメント用の数量が更新されます。
在庫可視化サービスで仮引当を使用しない場合、現物在庫の数量を更新するには、注文を ERP システムと同期して、ERP システムで処理する必要があります。 逆に、仮引当を使用すれば、いずれかのチャネルで販売要求または注文が行われるたびに、在庫数量が直ちに更新されます。 このコンポーネントは、注文が ERP システムに到達すると同時に在庫金額を適用することで、過剰販売のシナリオを防ぐのに役立ちます。 仮引当によって、納期回答済の注文をすべて履行できるので、顧客の期待に応えてロイヤルティを維持するのにも役立ちます。
詳細については、在庫可視化の引当機能を参照してください。
納期回答可能在庫の数量と日付へのアクセス
近い将来の予測在庫をある程度可視化することに会社が価値を見いだす場合もあります。 供給、需要、および予測手持在庫の詳細に関する分析情報を入手できれば、いくつかの領域で大きな付加価値が得られます。 たとえば、在庫が利用可能になると同時に在庫の使用を促すことで在庫レベルを最小限に抑えられるので、在庫管理コストが削減されます。
また、社内の注文処理を容易にするのにも役立ちます。 営業担当者が出荷日と配送日を正確に計算できれば、営業担当者の処理量が増加します。 分析情報を使用して在庫切れ品目の次回入荷日を提示し、顧客の期待を管理することもできます。
現在の日常的な注文フルフィルメント プロセスに、納期回答可能在庫機能を実装できます。 在庫可視化の他の側面と同様に、納期回答可能在庫機能は、在庫に関するグローバルなリアルタイムの分析情報を提供します。 そのため、Dynamics 365 の一部かどうかに関係なく、すべてのビジネス チャネルおよびデータ ソースにわたって納期回答可能在庫の計算式を設定できます。
詳細については、在庫可視化の手持変更スケジュールと納期回答可能在庫を参照してください。
在庫配賦
在庫可視化には、重要なチャネル、顧客グループ、または場所について、手持在庫の保護または事前配賦を行うことのできる配賦機能があります。 在庫を配賦すると、在庫消費が指定されたプールに制限され、プールに残っている数量がほぼリアルタイムに差し引かれるので、まだ使用可能な数量が正確に反映されます。
詳細については、在庫可視化の在庫配賦を参照してください。
Warehouse Management 品目との互換性
在庫可視化は、Supply Chain Management の Warehouse Management との統合機能も標準で備えています。
詳細については、WMS 品目に対応した在庫可視化を参照してください。
在庫可視化を Dynamics 365 Commerce と統合する
コマースに関連する重要な在庫の変更を在庫可視化に結び付けるために、Dynamics 365 Commerce を Dynamics 365 Supply Chain Management の在庫可視化と統合できます。 これにより、在庫に加えられた変更や、コマース チャネルから行われたリアルタイムの在庫要求が、在庫可視化からリアルタイムで反映および取得されるようになります。