.NET Framework データ プロバイダの実装
.NET Framework のデータ プロバイダを使用すると、データ ソースのデータを取得して変更するために、データ ソースに接続できます。さらに、.NET Framework データ プロバイダには、データ ソースと ADO.NET DataSet 間の橋渡しとしての役割もあります。
.NET Framework に含まれる .NET Framework データ プロバイダを次の表に示します。
.NET Framework データ プロバイダ | 説明 |
---|---|
.NET Framework Data Provider for SQL Server | Microsoft® SQL Server™ 7.0 以降に対応する .NET データ プロバイダです。 |
.NET Framework Data Provider for OLE DB | OLE DB を使用して公開されるデータ ソースに対応。 |
ODBC .NET Framework Data Provider | ODBC を使用して公開されるデータ ソースに対応。 |
.NET Framework Data Provider for Oracle | Oracle データ ソースに対応。.NET Framework Data Provider for Oracle は、Oracle クライアント ソフトウェア バージョン 8.1.7 以降をサポートしています。 |
メモ .NET Framework Data Provider for ODBC は、.NET Framework Version 1.0 には同梱されていません。.NET Framework Version 1.0 を使用していて、.NET Framework Data Provider for ODBC が必要な場合は、https://www.microsoft.com/downloads/search.asp?LangID=13&LangDIR=JA からダウンロードできます。ダウンロードした .NET Framework Data Provider for ODBC の名前空間は Microsoft.Data.Odbc です。
現在使用できるほとんどのデータベース システムには、既存の OLE DB プロバイダと、OLE DB または .NET Framework Data Provider for ODBC を使用して、ADO.NET からアクセスできます。さらに、XML を使用すると、さまざまなデータ ソースを直接公開できます。
ADO.NET には、独自の .NET Framework データ プロバイダを実装するための最小限のインターフェイス セットも用意されています。ここでは、一般に使用されるインターフェイスとクラスについて説明し、これらのインターフェイスとクラスの使用方法も示します。カスタム .NET Framework データ プロバイダを実装すると、次に示すようなさまざまな利点が実現します。
- 単純なデータ アクセス アーキテクチャが実現します。このアーキテクチャでは、保守性とパフォーマンスが向上します。
- コンシューマに対してプロバイダ固有の動作を直接公開できます。
- コンシューマが .NET Framework 内のデータ ソースにアクセスするための固有のインターフェイスがあります。
場合によっては、カスタム .NET Framework データ プロバイダの実装に代わる手段を検討する必要があります。
- 純粋なデータだけを公開する必要があり、接続やトランザクションなどの関連事項について考慮する必要がない場合は、データを XML データとして公開することを検討してください。.NET Framework には、XML ドキュメントと XML データを操作するための包括的で統合的なクラスがあります。詳細については、「.NET Framework における XML の使用」を参照してください。
- すべてのリレーショナル データベース機能を標準の方法で公開する必要がある場合には、完全な機能を備えた OLE DB プロバイダの作成を検討してください。OLE DB はさまざまな API に対応しているため、汎用ツールとの対話にはネイティブ OLE DB プロバイダが最も適しています。
.NET Framework データ プロバイダの機能は、次の 2 種類に分類されます。
- 単純な形式の .NET Framework データ プロバイダは、IDataAdapter インターフェイスを使用して DataSet だけをサポートします。また、IDataParameter インターフェイスの特定のバージョンを実装することにより、パラメータ化クエリをサポートします。単純な形式の .NET Framework データ プロバイダを使用すると、DataSet にデータを読み込み、DataSet の内容を変更し、変更内容を元のデータ ソースに保存できます。
- 完全な形式の .NET Framework データ プロバイダは、接続、コマンド、トランザクションなどを使用した接続データ アクセス機能での対話と、DataSet での対話の両方をサポートしています。完全な形式のプロバイダは、IData* インターフェイスおよび IDb* インターフェイスの完全なセットを実装します。
このセクションの内容
- .NET Framework データ プロバイダの実装について
.NET Framework データ プロバイダの定義について説明し、提案事項を示します。実装に使用できるインターフェイスについて説明し、プロバイダの名前空間を作成する方法について説明します。 - Connection の実装
Connection の属性について説明し、.NET Framework データ プロバイダに対して固有の Connection を実装する方法も示します。 - Command の実装
Command の属性について説明し、.NET Framework データ プロバイダに対して固有の Command を実装する方法も示します。 - DataReader の実装
DataReader の属性について説明し、.NET Framework データ プロバイダに対して固有の DataReader を実装する方法も示します。 - DataAdapter の実装
DataAdapter の属性について説明し、.NET Framework データ プロバイダに対して固有の DataAdapter を実装する方法も示します。 - サンプル .NET Framework データ プロバイダ
.NET Framework データ プロバイダの実装のサンプルを示します。
関連項目
- .NET Framework データ プロバイダによるデータのアクセス
.NET Framework データ プロバイダについて説明し、.NET Framework に含まれている .NET Framework データ プロバイダを使用して Microsoft SQL Server と OLE DB データ ソースにアクセスする方法も示します。 - ADO.NET を使用したデータのアクセス
ADO.NET のアーキテクチャとコンポーネントについて説明し、それらを使用して既存のデータ ソースにアクセスしたり、アプリケーション データを管理したりする方法を示します。