負荷分散の計画

トピックの最終更新日: 2010-04-16

システム停止時にフェールオーバーを提供するには、特定のサーバーの役割に対して複数のサーバーを使用できます。ロード バランサは、複数のサーバー間での負荷分散と可用性の向上という、非常に重要な役割を担っています。これにより、パフォーマンスが向上するだけでなく、1 つのサーバーで障害が発生しても、別のサーバーがサービスの提供を継続できるようになります。Office Communications Server 2007 R2 では、内部プールのプライマリ サーバーとチャット ルーム サポートを提供するために使用される内部サーバーの負荷分散と、外部ユーザーによるアクセスをサポートする境界ネットワークのエッジ サーバーの負荷分散をサポートしています。Office Communications Server 2007 R2 を展開する前に、適切な場所にロード バランサ機器を 1 台以上配置し、構成する必要があります。このセクションでは、Office Communications Server 2007 R2 の展開パターンに合わせてロード バランサを構成する方法について説明します。

ロード バランサ機器

ロード バランサ機器は、一般に、負荷を分散する機能と、複数のトラフィック ストリーム間 (例: クライアントからサーバー、サーバーからサーバー、サーバーから Active Directory ドメイン サービス (AD DS)、サーバーから DNS、サーバー プールへの管理アクセス) で切り替えを行う機能を、イーサネットのレイヤ 3 スイッチに付加したものです。ロード バランサ機器は高機能であり、その特徴としては、豊富な監視機能を備えている、複数種類の伝送速度に対応している、負荷分散能力が高い、などが挙げられます。それらは、各種の条件 (例: サーバーに対する接続数、サーバーの待機時間、加重ラウンド ロビン、サーバーに対する加重接続数) に基づいてトラフィックをルーティングするよう構成されています。ロード バランサは、1 つの仮想 IP (VIP) アドレスをクライアントに対して公開します。したがって、各クライアントが、個々の Enterprise Edition フロントエンド サーバーに直接アクセスすることはありません。ロード バランサでは、トランスポート層セキュリティ (TLS) メッセージを暗号化解除したり、SIP メッセージを解析したりする必要はありません。

一般的な負荷分散要件

1 つ以上のフロントエンド サーバーから成る Office Communications Server 2007 R2 エンタープライズ プールには、ロード バランサ機器が 1 つ必要です。Standard Edition サーバーまたは Enterprise Edition フロントエンド サーバーを 1 つだけ展開する場合は、ロード バランサは不要です。Office Communications Server 2007 R2 統合エッジ サーバーの配列にはロード バランサ機器が必要です。ディレクタとして構成された Enterprise Edition サーバーのプールも、内部ユーザーまたは外部ユーザー (あるいは両方のユーザー) のために、ロード バランサ機器の背後に配列として展開されます。次の表は、ロード バランサに関するこれらの要件をまとめたものです。

表 1. Office Communications Server 2007 R2 に対するロード バランサ機器の要件

展開 ロード バランサ機器

Standard Edition サーバー

不要

複数のフロントエンド サーバーから構成されるエンタープライズ プール

必須

1 つのフロントエンド サーバーから構成されるエンタープライズ プール

不要

ディレクタの配列

エンタープライズ プールの場合は必須。Standard Edition サーバーでは未サポート

統合エッジ サーバーの配列

必須

どのような展開パターンであっても、Office Communications Server 2007 R2 で Windows Server 2003 のネットワーク負荷分散 (NLB) を利用することはできません。

DNAT (宛先ネットワーク アドレス変換) は、エンタープライズ プールまたは Communicator Web Access の負荷分散ではサポートされません。ただし、DNAT および SNAT (送信元ネットワーク アドレス変換) は、エッジ サーバーおよび HTTP の負荷分散ではサポートされます。負荷分散プールの詳細については、「Enterprise Edition」を参照してください。エッジ サーバーの負荷分散の詳細については、「外部ユーザー アクセスのコンポーネント」を参照してください。Communicator Web Access の負荷分散の詳細については、「Communicator Web Access のサポート」を参照してください。ディレクタの詳細については、「ディレクタ コンポーネント」を参照してください。Office Communications Server 2007 R2 の負荷分散サポートの詳細については、「環境要件」を参照してください。負荷分散の詳細については、『Office Communications Server 2007 R2 Technical Reference Guide』の「Office Communications Server 2007 R2 のロード バランサー」を参照してください。