カスタム プロンプトの配布について

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2007-04-12

Microsoft Exchange Server 2007 ユニファイド メッセージング (UM) では、UM ダイヤル プランや UM 自動応答を作成および構成できます。これらは完全に機能しますが、使用されるのは Exchange 2007 に含まれている既定のオーディオ プロンプトのみです。案内応答、情報アナウンス、およびメニューのプロンプト用にインストールされるオーディオ ファイルは汎用のオーディオ ファイルであるため、カスタマイズする必要があります。カスタマイズが完了したら、それらを組織のすべてのユニファイド メッセージング サーバーに配布します。ここでは、カスタム プロンプトが、ユニファイド メッセージング サーバーの役割がインストールされているすべてのコンピュータへどのようにコピーされるかを説明します。これにより、Outlook Voice Access と UM 自動応答を使用するすべての発信者に対してカスタム オーディオ プロンプトを使用できるようになります。

概要

カスタム プロンプト発行とは、すべての Outlook Voice Access ユーザーと、UM 自動応答を呼び出すすべての発信者に対して、カスタム オーディオ ファイルを使用できるようにするためのプロセスです。カスタム オーディオ プロンプトを作成したら、まず、音声ガイダンス発行ポイントとして指定したユニファイド メッセージング サーバーにそのカスタム プロンプトをコピーする必要があります。音声ガイダンス発行ポイントは、1 つの UM ダイヤル プランに関連付けられる最初のサーバー上の共有フォルダです。カスタム オーディオ ファイルを音声ガイダンス発行ポイントにコピーすると、同じダイヤル プランのメンバになっているすべてのユニファイド メッセージング サーバーによって、そのカスタム オーディオ プロンプトがローカル フォルダにコピーされます。カスタム オーディオ ファイルがローカル フォルダにコピーされると、そのユニファイド メッセージング サーバーで、Outlook Voice Access ユーザーや、UM 自動応答を呼び出した発信者に対して、そのカスタム ファイルを再生できるようになります。

音声ガイダンス発行ポイントに存在する UM カスタム プロンプトは、UM ダイヤル プランに属するユニファイド メッセージング サーバーの数に関係なく、ユニファイド メッセージング サーバーによってローカルにコピーされます。各 UM ダイヤル プランは、一連のユニファイド メッセージング サーバーと、それらのユニファイド メッセージング サーバーが着信呼び出しに応答する UM が有効なユーザーのセットを表します。数百人以下のユーザーを対象とする小規模なダイヤル プランでは、ユニファイド メッセージング サーバーが 1 つだけの場合もあります。数千人以上のユーザーを持つ大規模なダイヤル プランや、UM サービスの可用性を維持するために冗長性を提供するダイヤル プランには、複数のユニファイド メッセージング サーバーがあります。

カスタム プロンプトを発行することには、次のような利点があります。

  • 一貫したユーザーの操作性   ユーザーには、カスタム プロンプトが常に同じ速さで同じように機能するように見えます。
  • 一貫したサーバーの構成   各ユニファイド メッセージング サーバーが正しく更新されているかどうかを確認する必要はありません。

オーディオ プロンプト、案内応答、または情報アナウンスとして使用するカスタム オーディオ ファイルのコピーを 1 つ作成したら、UM ダイヤル プランに関連付けられているすべてのユニファイド メッセージング サーバーがそのカスタム オーディオ ファイルのコピーを受け取るようにする必要があります。このためには、Exchange 管理コンソールを使用するか、Exchange 管理シェルで Copy-UMCustomPrompt コマンドレットを使用して、カスタム プロンプトを使用するように UM ダイヤル プランまたは UM 自動応答を構成します。

アーキテクチャ

ユニファイド メッセージング サーバーの役割をインストールすると、システム プロンプトのオーディオ ファイルがユニファイド メッセージング サーバーのフォルダにコピーされます。ユニファイド メッセージング サーバーにコピーされるシステム プロンプトは、UM ダイヤル プランと UM 自動応答の既定のプロンプトとして使用されます。システム プロンプトは汎用のプロンプトであるため、それぞれのユニファイド メッセージング環境で独自の案内応答、アナウンス、およびメニュー プロンプトを使用できるようにする必要があります。まず、カスタム オーディオ プロンプトを作成し、UM ダイヤル プランまたは UM 自動応答でカスタム プロンプトを有効にします。その後、同じ UM ダイヤル プランに属する各ユニファイド メッセージング サーバーでそのカスタム プロンプトを使用できるようにする必要があります。

Exchange 管理コンソールまたは Exchange 管理シェルを使用して、必要なカスタム オーディオ ファイルをコピーできます。各ユニファイド メッセージング サーバーでカスタム プロンプトを使用できるようにするためには、次のタスクを実行します。これらのタスクは、Copy-UMCustomPrompt コマンドレットを使用して実行するか、または Exchange 管理コンソールでカスタム オーディオ ファイルを選択するときに実行します。

  • Active Directory ディレクトリ サービスで音声ガイダンス発行ポイントを見つけます。
  • カスタム プロンプトを音声ガイダンス発行ポイントにコピーします。
  • Active Directory ディレクトリ サービスでユニファイド メッセージングの構成を更新します。

これらのタスクが実行された後、Microsoft Exchange ファイル配布サービスによって、ダイヤル プランに関連付けられている各ユニファイド メッセージング サーバーが更新されます。

Caution注意 :
Copy-Item コマンドレット、Microsoft Windows エクスプローラ、または xcopy.exe などの他のプログラムを使用して、カスタム プロンプト用の .wav ファイルをカスタム音声ガイダンス発行ポイント フォルダ内のフォルダにコピーすることはお勧めしません。

図 1 は、カスタム プロンプト発行のアーキテクチャとタスクを示しています。これらのタスクは、Copy-UMCustomPrompt コマンドレットによって実行されるか、または Exchange 管理コンソールを使用してカスタム オーディオ ファイルを使用するようにダイヤル プランまたは自動応答を構成するときに実行されます。

カスタム プロンプト発行のアーキテクチャ

Copy-UMCustomPrompt コマンドレットは、Active Directory で適切なダイヤル プラン オブジェクトのクエリを行って、音声ガイダンス発行ポイントの場所を特定します。音声ガイダンス発行ポイントは各ダイヤル プランに 1 つしかなく、カスタム プロンプトのために使用できるファイル共有を識別する Windows ファイル共有 (UNC) パスとして格納されています。音声ガイダンス発行ポイントの場所が特定されると、カスタム プロンプトの内容が検証されて、正しい形式であるかどうか、サポートされているオーディオ コーデックが使用されているかどうかが確認されます。この検証テストに合格すると、Exchange 管理シェルのコマンドによって、プロンプトの内容が音声ガイダンス発行ポイントにコピーされます。

音声ガイダンス発行ポイントに置かれたカスタム オーディオ ファイルは、現在の Exchange 2007 組織で構成されているダイヤル プランや自動応答を反映したディレクトリ構造へと自動的に整理されます。

図 2 は、音声ガイダンス発行ポイントのディレクトリ構造を示しています。図 2 の音声ガイダンス発行ポイントには、UM ダイヤル プランに対応したさまざまなサブディレクトリがあります。各ダイヤル プラン内には自動応答があります。

カスタム プロンプト フォルダーの構造

作成した UM ダイヤル プランや UM 自動応答には、それぞれ一意の ID が割り当てられています。ディレクトリ名は、この一意の ID から生成されます。これらの ID は、ダイヤル プランや自動応答の構成オブジェクトが作成されたときに割り当てられます。カスタム プロンプトは、Copy-UMCustomPrompt コマンドレットにより、ダイヤル プランや自動応答に関連付けられている一意の ID に基づいてディレクトリ構造の正しい場所にコピーされるため、音声ガイダンス発行ポイントのファイルの具体的な名前や場所を知る必要はありません。

カスタム プロンプトが音声ガイダンス発行ポイントにコピーされ、必要に応じてディレクトリが更新されると、今度はプロンプトがダイヤル プランの各ユニファイド メッセージング サーバーにコピーされます。音声ガイダンス発行ポイントとして構成されているユニファイド メッセージング サーバーの適切なフォルダにカスタム プロンプトが追加された後、各ユニファイド メッセージング サーバーで実行されている Microsoft Exchange ファイル配布サービスによって音声ガイダンス発行ポイントが参照されて、音声ガイダンス発行ポイントのファイルが変更されていないかどうか、ファイルが追加されていないかどうかが確認されます。ファイルが変更されたり追加されたりしていた場合は、その他のユニファイド メッセージング サーバーによってカスタム プロンプトが音声ガイダンス発行ポイントからプル転送されて、ローカル ドライブの \\<サーバー名>\ExchangeUM フォルダの適切な場所にコピーされます。

note注 :
Microsoft Exchange ファイル配布サービスは、ユニファイド メッセージング サーバーの役割と一緒にインストールされます。また、Microsoft Office Outlook Web Access を実行しているクライアントのオフライン アドレス帳をコピーするためにも使用されるため、クライアント アクセス サーバーの役割をインストールした場合にもインストールされます。

Microsoft Exchange ファイル配布サービスの情報はすべて Active Directory に格納されます。ただし、レプリケートされたファイル (オフライン アドレス帳や UM プロンプトなど) のソースの場所をバックアップする必要があります。オフライン アドレス帳のソースは、そのオフライン アドレス帳を生成したメールボックス サーバーです。UM プロンプトの場所は、最初のユニファイド メッセージング サーバーにあります (別の場所を指定していない場合)。ソースのバックアップや復元が行われている限り、Microsoft Exchange ファイル配布サービスによる内容のレプリケーションが行われます。いずれかのレプリカ サーバーが停止すると、Microsoft Exchange ファイル配布サービスによって、そのサーバーがオンラインに戻りしだい、内容がソースからレプリケートされます。管理者の介入を必要とすることはありません。Update-FileDistributionService を実行すると、処理が自動的に行われるのを待たずに強制的にレプリケーションを実行できます。

important重要 :
新しいカスタム プロンプトを構成したりカスタム プロンプトを更新した後に、Exchange 2007 組織内のすべてのユニファイド メッセージング サーバーでそのカスタム プロンプトが使用できるようにするための Microsoft Exchange ファイル配布サービスの処理には数分かかる場合があります。組織内のすべてのユニファイド メッセージング サーバーでカスタム プロンプトをすぐに利用できるようにするには、Update-FileDistributionService コマンドレットを実行して、組織内のすべてのユニファイド メッセージング サーバーにカスタム プロンプトをコピーする必要があります。

音声ガイダンス発行ポイントの変更

UM ダイヤル プランの音声ガイダンス発行ポイントは、ダイヤル プランに最初のユニファイド メッセージング サーバーを追加したときに自動的に設定されますが、特定のダイヤル プランに関連付けられたユニファイド メッセージング サーバーがアクセスできるサーバーであれば、どのサーバーに配置してもかまいません。音声ガイダンス発行ポイントは、UM ダイヤル プランで設定されるプロパティであり、\\<サーバー名>\ExchangeUM (<サーバー名> はユニファイド メッセージング サーバーの NetBIOS 名) に設定されています。

ユニファイド メッセージング サーバーが 1 つのダイヤル プランでは、音声ガイダンス発行ポイントの場所を変更する理由はほとんどありませんが、次のような理由がある場合には、音声ガイダンス発行ポイントを移動することができます。

  • 複数のユニファイド メッセージング サーバーがあるダイヤル プランで、音声ガイダンス発行ポイントが単一障害点になっている場合。
  • 一般に、ユニファイド メッセージング サーバーはファイル サーバーとしては使用されません。ユニファイド メッセージング サーバーは、他のサーバーほど頻繁にバックアップされなかったり、RAID (Redundant Array of Independent Disks) アレイなどのディスク ストレージ デバイスを使用するように構成されていなかったりするのが一般的です。RAID アレイを持つファイル サーバーがネットワークに存在する場合は、そのサーバーを UM カスタム プロンプトのマスタ コピーのために使用できます。
    important重要 :
    ユニファイド メッセージング サーバーの役割をアンインストールする場合は、事前に音声ガイダンス発行ポイントを別の場所に移動する必要があります。

音声ガイダンス発行ポイントを変更する方法の詳細については、「プロンプト公開ポイントを変更する方法」を参照してください。

詳細情報

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。