アップグレードのトラブルシューティングを実行して再開する (Windows SharePoint Services)

この記事の内容 :

  • アップグレードのトラブルシューティングおよび再起動に関する一般情報

  • アップグレード前のスキャンに関する既知の問題

  • 一括アップグレードに関する既知の問題

  • 段階的なアップグレードに関する既知の問題

  • データベース移行に関する既知の問題

  • カスタマイズされたサイトに関する既知の問題

アップグレードのトラブルシューティングおよび再起動に関する一般情報

アップグレードが停止する場合は、以下の方法で問題を解決できます。

  • アップグレード ログ ファイル内の「エラー」を探します。 アップグレード ログ ファイルの場所は、%COMMONPROGRAMFILES%\Microsoft Shared\web server extensions\12\LOGS です。アップグレード ログの確認の詳細については、「アップグレードを検証する (Windows SharePoint Services)」を参照してください。

    ヒント

    これらのログ ファイルで「エラー」の反復を迅速に見つけるには、Windows のファイルおよびフォルダの検索機能を使用します。

  • イベント ビューアでイベントを確認し、アプリケーション エラーを探します。

  • Readme ファイルを確認して既知の問題および解決策を探します。多くの場合、エラーは回避できる問題です。

  • 段階的なアップグレードを実行している場合は、実行しているサイト コレクションが新しいバージョンで表示されているかどうかを確認します。表示されていれば、そこで回避策を実行するか、Version 3 のサイトを Version 2 に戻して、サイトをもう一度アップグレードすることができます。サイトを戻す方法の詳細については、「以前のバージョンのサイトに戻す (Windows SharePoint Services)」を参照してください。

  • コマンド stsadm –o upgrade を使用して一括アップグレードを再開できます。アップグレードでは、既に完了しているタスクは省略され、完了していないタスクから続行されます。アップグレード操作の詳細については、「サイトをアップグレードする (Windows SharePoint Services)」を参照してください。

アップグレード前のスキャンに関する既知の問題

サーバー名に Localhost を使用するとアップグレードがブロックされる

サーバー名に "localhost" を使用すると、環境で多くの問題が発生する可能性があるため、使用しないことをお勧めします。サーバー名に "localhost" を使用している場合にアップグレード前のスキャン ツールを実行すると、この問題がログに記録され、アップグレードを続行できません。アップグレードを続行するには、サーバー コンピュータの名前を変更してから、プレスキャンで操作を実行する必要があります。以下の手順に従って、サーバーの名前を変更し、アップグレード前のスキャン ツールの問題を修正します。

  1. 構成データベースをバックアップします。

  2. コマンド ラインで %COMMONPROGRAMFILES%\Microsoft Shared\web server extensions\60\bin のパスに変更してから次のコマンドを実行し、構成データベースでサーバー名を変更します。

    Stsadm.exe -o setconfigdb -databaseserver < サーバー名 > -connect

  3. コマンド ラインで %COMMONPROGRAMFILES%\Microsoft Shared\web server extensions\12\bin のパスに変更してから次のコマンドを実行して、アップグレード前のスキャン ツールに関する問題を解決します。

    Prescan /fixlocalhost

  4. コマンド ラインで次のコマンドを実行して、アップグレード前のスキャン プロセスを再実行します。

    Prescan /all

    • 成功した場合、アップグレードを進めます。

    • まだ失敗する場合は、localhost servername を使用したサービスが残っています。この時点でアップグレードはブロックされませんが、一部のサービスは正常にアップグレードできません。

一括アップグレードに関する既知の問題

サーバー ファームのアップグレードには、ネットワーク サービスではなくドメイン アカウントを使用する必要がある

サーバー ファーム環境で一括アップグレードまたは段階的なアップグレードのどちらかを行う場合、Version 2 で使用したものと同じ資格情報を Version 3 環境で使用する必要があります。ただし、Version 2 環境にネットワーク サービス アカウントを使用していた場合、Version 3 では代わりにドメイン アカウントを使用する必要があります。Version 2 環境はネットワーク サービスを使用して続行できますが、Version 3 をインストールして新しいファームを作成するときに、代わりにドメイン アカウントを指定する必要があります。必ず、使用しているドメイン アカウントに、SQL Server 内のデータベースへの適切なアクセス権を与えてください (すべての Version 2 データベースのデータベース作成者、プロセス管理者、およびデータベース所有者グループのメンバである必要があります)。

一括アップグレードを実行した場合、一部の設定が Web アプリケーション上に維持されない

Secure Sockets Layer (SSL) を使用して一括アップグレードを実行する場合、一部の設定が Web アプリケーション上で保存されないため、代替アクセス マッピング (AAM) 機能を使用して Windows SharePoint Services 内の URL を変更する必要があります。

アップグレードする前に、HTTPS を使った次のような AAM エントリがあるかどうかを確認します。

受信 URL : https://<サーバー名>

送信 URL : https://<サーバー名>

Windows SharePoint Services 3.0 の一括アップグレードの実行後、この項目が誤って、次のように設定されます。

受信 URL : https://<サーバー名>

送信 URL : http://<サーバー名>

このような URL を修正するには、SharePoint サーバーの全体管理 Web サイトの [サーバー構成の管理] ページで [代替アクセス マッピング] をクリックし、[パブリック URL の編集] をクリックして、URL を元に戻します。

受信 URL : https://<サーバー名>

送信 URL : https://<サーバー名>

代替アクセス マッピングの詳細については、「代替アクセス マッピングを計画する (Windows SharePoint Services)」を参照してください。

1 台目のフロントエンド Web サーバーのアップグレードの終了時にエラーが出力された

複数台のフロントエンド Web サーバーを使用するファーム内で、1 台目のフロントエンド Web サーバーのアップグレードの終了時にエラーが出力された場合、まずそのエラーを解決することをお勧めします。エラーを解決してからアップグレード作業に戻り、2 台目以降のフロントエンド Web サーバーのアップグレードを続行してください。

何らかの理由でエラーを無視する場合は、Psconfig コマンド ライン ツールを使用して、2 台目のフロントエンド Web サーバーのアップグレードを続行できます (たとえば、ほとんど使用されないサイト コレクションに関するエラーなどは無視してもかまいません)。コマンド ラインから次の操作を実行します。

Psconfig -cmd upgrade -inplace b2b -wait -force

注意

Psconfig コマンド ライン ツールを使用する場合、SharePoint 製品とテクノロジ構成ウィザードを使用して追加のフロントエンド Web サーバーをアップグレードすることはできません。

アップグレード ログに SPConfigurationDatabase2 シーケンス エラーが記録される

一括アップグレードの実行に失敗した場合は、アップグレード ログを確認します。このログ ファイルは、COMMONPROGRAMFILES%\Microsoft Shared\Web server extensions\12\LOGS フォルダに保存されます。"[SPConfigurationDatabaseSequence2] [ERROR] [date]: ロール 'WSS_Content_Application_Pools' は現在のデータベースに既に存在します。" というメッセージが出力された場合、次のいずれかの解決策を使用して問題を解決できます。

  • 構成データベースで次の SQL クエリを実行します。

    delete from dependencies

    delete from objects

    delete from classes

    delete from sitemap

    exec sp_droprole N'WSS_Content_Application_Pools'

    注意

    アクションに失敗した場合に droprole にメンバが含まれていたときには、sp_droprole 呼び出しによって、それらのメンバの名前が返されます。返されたメンバに対して、次のコマンドを実行する必要があります。

    exec sp_droprolemember N'WSS_Content_Application_Pools',

    N'usernameReturnedFromSP_DropRole'

    その後、以下のクエリを再度実行する必要があります。

    exec sp_droprole N'WSS_Content_Application_Pools'

  • 新しい V3 ファームを作成し、既存のコンテンツ データベースを接続します。このオプションでは、すべてのユーザー データが維持されますが、Web パーツ パッケージ、仮想サーバー設定などの V2 構成データベースに保存されていた構成情報は失われます。

  • 元のエラーが解決された場合 (たとえば、ネットワーク接続の切断または SQL Server コンピュータのディスク容量不足によりエラーが生じていたが、それらの問題が解決された場合)、V2 ファームを復元し、アップグレードを再開することができます。

注意

解決策の実行後は、忘れずにアップグレードを再開してください。

スタンドアロン サーバーでの一括アップグレードで、ログイン失敗またはデータベースへの接続失敗によるエラーが生じた場合は、コマンド ラインからアップグレードを実行します。

WMSDE を実行しているスタンドアロン サーバーで一括アップグレードを実行する場合は、アップグレード プロセスがタイムアウトし、次のようなエラーが生成されることがあります。

SPContentDatabaseSequence] [ERROR] [10/18/2006 12:42:44 PM]: このログインで要求されたデータベース "STS_DATABASE_NAME_1" を開けません。ログインに失敗しました。

ユーザー 'NT AUTHORITY\NETWORK SERVICE' はログインできませんでした。

[SPContentDatabaseSequence] [ERROR] [10/18/2006 12:42:44 PM]: 場所 : System.Data.SqlClient.SqlInternalConnection.OnError(SqlException exception, Boolean breakConnection)

場所 : System.Data.SqlClient.TdsParser.ThrowExceptionAndWarning(TdsParserStateObject stateObj)

このエラーが表示された場合、またはデータベース接続失敗に関するエラーが表示された場合は、コマンド ラインを使用してアップグレードを完了する必要があります。

  1. コマンド プロンプト ウィンドウを開き、%COMMONPROGRAMFILES%\Microsoft Shared\web server extensions\12\bin ディレクトリに移動します。

  2. 次のコマンドを実行して、アップグレードを再開して完了します。

    psconfig –cmd upgrade –inplace v2v –force -wait

psconfig.exe コマンド ライン ユーティリティの使用方法については、「SharePoint 製品とテクノロジ構成ウィザードのコマンド ライン リファレンス (Windows SharePoint Services)」を参照してください。

段階的なアップグレードに関する既知の問題

サーバー ファームのアップグレードには、ネットワーク サービスではなくドメイン アカウントを使用する必要がある

サーバー ファーム環境で一括アップグレードまたは段階的なアップグレードのどちらかを行う場合、Version 2 で使用したものと同じ資格情報を Version 3 環境で使用する必要があります。ただし、Version 2 環境にネットワーク サービス アカウントを使用していた場合、Version 3 では代わりにドメイン アカウントを使用する必要があります。Version 2 環境はネットワーク サービスを使用して続行できますが、Version 3 をインストールして新しいファームを作成するときに、代わりにドメイン アカウントを指定する必要があります。必ず、使用しているドメイン アカウントに、SQL Server 内のデータベースへの適切なアクセス権を与えてください (すべての Version 2 データベースのデータベース作成者、プロセス管理者、およびデータベース所有者グループのメンバである必要があります)。

SSL 専用サーバーの段階的なアップグレードには、追加手順が必要

段階的なアップグレード プロセスでは、(アップグレードされていない) 元のサイトと (アップグレードされた) 新しいサイトをホストするために、一対の IIS Web サイトを使用します。既定では、作成された新しいサイトでは SSL を使用しません。この Web サイトで SSL を使用する必要がある場合は、段階的なアップグレード プロセス中に追加手順を実行して、IIS 設定およびポート番号を SSL 用に正しく設定する必要があります。

サイトに対してターゲット Web アプリケーションを作成した後、サイトをアップグレードする前に、次の手順を実行します。

ターゲット Web アプリケーションの作成の詳細については、「サイトをアップグレードする (Windows SharePoint Services)」の「アップグレード後のサイトをホストする新しい Web アプリケーションを作成する」を参照してください。

インターネット インフォメーション サービス (IIS) マネージャでポート番号と SSL 設定を変更する

  1. インターネット インフォメーション サービス (IIS) マネージャで、変更する Web アプリケーションを含んだサーバー名の横のプラス記号 (+) をクリックします。

  2. [Web サイト] の横にあるプラス記号 (+) をクリックします。

  3. [既定の Web サイト] を右クリックし、[プロパティ] をクリックします。

  4. [Web サイト] タブの [SSL ポート] ボックスで、「444」と入力し [OK] をクリックします。

  5. 既定の対の Web サイトを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。

  6. [Web サイト] タブの [SSL ポート] ボックスで、「443」を入力し、[適用] をクリックします。

  7. [ディレクトリ セキュリティ] タブの [セキュリティで保護された通信] セクションで、[サーバー証明書] をクリックします。

    ウィザードの手順に従って、新しい証明書を割り当てます。

  8. [ディレクトリ セキュリティ] タブの [セキュリティで保護された通信] セクションで、[編集] をクリックします。

  9. [セキュリティで保護された通信] ダイアログ ボックスで、[保護されたチャンネル (SSL)] チェック ボックスをオンにし、[OK] をクリックします。

  10. [OK] をクリックして、既定の対の Web サイトのプロパティ ボックスを閉じます。

代替アクセス マッピング設定を更新して IIS をリセットする

  1. コマンド プロンプト ウィンドウを開いて、%COMMONPROGRAMFILES%\Microsoft Shared\web server extensions\12\bin ディレクトリに移動します。

  2. 次のコマンドを実行して、元の既定の Web サイトに対する代替アクセス マッピングを変更し、ポート 444 にポイントします。

    Stsadm -o addzoneurl -url https://server_name:port -urlzone default -zonemappedurl https://server_name:444

    ここで server_name:port は既定の Web サイトの場所です。

  3. %COMMONPROGRAMFILES%\Microsoft Shared\web server extensions\60\bin ディレクトリに移動します。

  4. 次のコマンドを実行して、リダイレクトされた Web サイトに対する代替アクセス マッピングを変更します。

    Stsadm -o addzoneurl -url http://server_name:port -urlzone default -zonemappedurl https://server_name:443

    ここで、server_name:port は、ターゲット Web アプリケーションを作成したときに作成された新しいサイトの場所です。

  5. 次のコマンドを実行して、IIS をリセットします。

    iisreset /noforce

アップグレードを終了しましたが、一部のサイトがアップグレードされていません。どうすればよいですか

アップグレード プロセスを終了した場合、段階的なアップグレード方法を使用して、残りのサイトをアップグレードすることはできません。ただし、データベース移行アプローチを使用して、サイトをアップグレードすることはできます。段階的なアップグレードの終了後、データベース移行を使用してサイトをアップグレードする方法については、マイクロソフト サポート技術情報の記事「926718」(https://support.microsoft.com/kb/926718/ja-jp) を参照してください。

セットアップ画面のオプションで [アップグレードしない] を選択した場合に、アップグレードするように後から変更するには

セットアップで [アップグレードしない] オプションを選択した場合に、SharePoint 製品とテクノロジ構成ウィザードの実行後にオプションを変更するには、SharePoint 製品とテクノロジ構成ウィザードを再度実行し、段階的なアップグレードを行うように変更する必要があります。

SharePoint 製品とテクノロジ構成ウィザードを使用して、"アップグレードしない" オプションを段階的なアップグレードを実行するように変更するには

  1. SharePoint 製品とテクノロジ構成ウィザードを実行し、ファームから切断します。

  2. %COMMOMPROGRAMFILES%\Microsoft shared\Web Server Extensions\12.0\WSS\ に移動し、SetupType と SetupTypeBackup のレジストリ キーを V2V_GRADUAL_UPGRADE に変更します。

  3. SharePoint 製品とテクノロジ構成ウィザードを再実行して、アップグレードを実行します。

データベース移行に関する既知の問題

異なる Web アプリケーションに対してであっても、同じコンテンツ データベースを複数回ファームに追加することはできない

コンテンツ データベース内の各サイト コレクション (各ポータル サイトを含む) には、グローバル一意識別子 (GUID) が付いていて、GUID は構成データベースに登録されています。このため、別の Web アプリケーションに含まれる場合でも、同じサイト コレクション (またはポータル) をファームに複数回追加することはできません。この状態でもデータベースに接続できますが、サイト コレクションを開始することはできません。1 つのファームでサイト コレクション (またはポータル) の重複コピーが必要な場合は、まずそのサイト コレクションが含まれるデータベースを別のファームに接続してから、Stsadm.exe のバックアップ操作と復元操作を使用して、サイト コレクションをそのファームにコピーします。バックアップと復元プロセスにより、サイト コレクションに新しい GUID が作成されます。

カスタマイズされたサイトに関する既知の問題

許可されていないカスタマイズが Web.config ファイルに行われると、アプリケーション エラーが発生する可能性がある

仮想サーバー内のサブフォルダの Web.config ファイルでは、特定のカスタマイズが許可されていません。たとえば、AUTHENTICATION および SESSIONSTATE ノードは、このレベルの Web.config ファイル内で許可されていません。推奨されない方法で Web.config ファイルを変更すると、予期しないアップグレードの結果を招く場合があります。Web.config ファイルへのカスタマイズを含め、カスタマイズは必ず推奨方法に従ってください。詳細については、MSDN Web サイトの「Best Practices for Ensuring Application Reusability and Upgrade in Windows SharePoint Services (英語)」(https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/dd583161.aspx) を参照してください。

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使用できるすべてのブックの一覧については、「Windows SharePoint Services のダウンロード可能なブック」を参照してください。