ID およびアクセス制御 (レプリケーション)

認証とは、あるエンティティ (ここでは、一般的にコンピューターを指します) によって、別のエンティティ ( プリンシパルとも呼ばれます。一般的に別のコンピューターまたはユーザーを指します) が自称するエンティティであるかどうかを確認するプロセスです。 承認とは、認証されたプリンシパルにリソース (ファイル システムのファイルやデータベースのテーブルなど) へのアクセスを認めるプロセスです。

レプリケーション セキュリティでは、認証と承認を使用して、レプリケートされたデータベース オブジェクトへのアクセスや、レプリケーション処理に関係するコンピューターやエージェントへのアクセスを制御します。 これは、以下の 3 つのメカニズムによって実現されます。

  • エージェント セキュリティ: レプリケーション エージェント セキュリティ モデルを使用すると、レプリケーション エージェントを実行して接続するアカウントをきめ細かく制御できます。 エージェント セキュリティ モデルの詳細については、「 Replication Agent Security Model」を参照してください。 エージェントのログインとパスワードの設定の詳細については、「Manage Logins and Passwords in Replication」(レプリケーションのログインとパスワードの管理) を参照してください。

  • 管理ロール: レプリケーションのセットアップ、メンテナンス、および処理に正しいサーバーロールとデータベース ロールが使用されていることを確認します。 詳細については、「 Security Role Requirements for Replication」を参照してください。

  • パブリケーション アクセス リスト (PAL): PAL を介してパブリケーションへのアクセスを許可します。 PAL は、 Microsoft Windows のアクセス制御リストによく似た機能を備えています。 サブスクライバーがパブリッシャーやディストリビューターに接続し、パブリケーションへのアクセスを要求すると、エージェントによって渡された認証情報が PAL に対して確認されます。 PAL の詳細および推奨事項については、「Secure the Publisher」(パブリッシャーのセキュリティ保護) を参照してください。

パブリッシュされたデータのフィルター選択

レプリケーションでは、レプリケートされたデータやオブジェクトへのアクセスを認証と承認を使用して制御する以外に、列のフィルター選択と行のフィルター選択という 2 つのオプションを使用して、サブスクライバーで利用できるようにするデータを制御できます。 フィルター選択の詳細については、「パブリッシュされたデータのフィルター選択」を参照してください。

アーティクルを定義する際には、パブリケーションに必要な列のみをパブリッシュして、不要な列や機密データを含む列を除外することができます。 たとえば、Adventure Works データベースの Customer テーブルを現場の販売担当者にパブリッシュする際には、経営陣以外には関係のない AnnualSales 列を除外できます。

パブリッシュされたデータをフィルター選択することによって、データへのアクセスを制限し、サブスクライバーで使用できるデータを指定できます。 たとえば、[ 顧客 ] テーブルをフィルター処理して、 ShareInfo 列の値が "yes" の顧客に関する情報のみを企業パートナーが受け取るようにすることができます。マージ レプリケーションでは、HOST_NAME() を含むパラメーター化されたフィルターを使用する場合、セキュリティ上の考慮事項があります。 詳細については、「 Parameterized Row Filters」の「HOST_NAME() によるフィルター選択」を参照してください。

レプリケーションのログインとパスワードの管理

レプリケーションを構成する際には、レプリケーション エージェントのログインとパスワードを指定します。 レプリケーションの構成後は、ログインとパスワードを変更できます。 詳細については、「 View and Modify Replication Security Settings」を参照してください。 レプリケーション エージェントによって使用されるアカウントのパスワードを変更する場合は、 sp_changereplicationserverpasswords (Transact-SQL) を実行します。

参照

レプリケーション エージェントのセキュリティ モデル
レプリケーション セキュリティの推奨事項
SQL Server レプリケーション セキュリティ
レプリケーションの脅威と脆弱性の軽減策