レプリケーション モニタを使用したパフォーマンスの監視
Microsoft SQL Server レプリケーション モニタを使用すると、トランザクション レプリケーションとマージ レプリケーションのパフォーマンスを次の方法で監視できます。
警告およびしきい値の設定
パフォーマンス測定値の表示
トレーサ トークンによる待機時間の判断 (トランザクション レプリケーション)
詳細な同期統計情報の表示 (マージ レプリケーション)
トランザクションおよび配信時間の表示 (トランザクション レプリケーション)
警告およびしきい値の設定
レプリケーション モニタでは、多くのパフォーマンス条件に対して警告を有効にできます。警告を有効にする際には、しきい値を指定します。しきい値に達したり、しきい値を超えると、サブスクリプションおよびそのサブスクリプションが同期しているパブリケーションの [状態] 列に警告が表示されます。レプリケーション モニタに警告を表示する以外に、しきい値に達したら警告メッセージを表示させることもできます。以下のようなパフォーマンス条件について、警告を有効にできます。
指定した待機時間 (パブリッシャでトランザクションがコミットされてから、対応するトランザクションがサブスクライバでコミットされるまでの経過時間) の超過
トランザクション レプリケーションに適用できます。指定したしきい値に達したり、それを超えたりすると、状態が "パフォーマンス クリティカル" と表示されます。
指定した同期時間の超過
マージ レプリケーションに適用できます。指定したしきい値に達したり、それを超えたりすると、状態が "長期マージ" と表示されます。ダイヤルアップ接続とローカル エリア ネットワーク (LAN) 接続にそれぞれ別のしきい値を指定できます。
指定時間内で指定した処理行数の未達成
マージ レプリケーションに適用できます。指定したしきい値に達したり、それを超えたりすると、状態が "パフォーマンス クリティカル" と表示されます。ダイヤルアップ接続と LAN 接続にそれぞれ別のしきい値を指定できます。
しきい値と警告を設定するには
レプリケーション モニタ : トランザクション レプリケーションのしきい値および警告を設定する方法 (レプリケーション モニタ)
レプリケーション モニタ : マージ パブリケーションのしきい値および警告を設定する方法 (レプリケーション モニタ)
レプリケーション モニタ : スナップショット パブリケーションのしきい値および警告を設定する方法 (レプリケーション モニタ)
パフォーマンス測定値を表示する
レプリケーション モニタでは、パブリケーションの [現在の平均パフォーマンス] 列と [現在の最低パフォーマンス] 列、およびサブスクリプションの [パフォーマンス] 列に、トランザクション レプリケーションおよびマージ レプリケーションのパフォーマンスの品質を示す値が表示されます。値は以下のとおりです。
非常に良い
良い
普通
悪い
重大 (トランザクション レプリケーションの場合のみ)
値は、以下のように決定されます。
トランザクション レプリケーションの場合、パフォーマンス品質は待機時間のしきい値によって決定されます。しきい値が設定されていない場合、値は表示されません。次の表は、しきい値とパフォーマンス品質値の相関関係を示しています。たとえば、しきい値が 60 秒に設定されている場合に、実際の待機時間が 30 秒であるとすると、待機時間はしきい値の 50% となり、値は [良い] になります。
非常に良い
良い
普通
悪い
重大
0 – 34%
35 – 59%
60 – 84%
85 – 99%
100% +
マージ レプリケーションの場合、パフォーマンス品質は、しきい値とは関係ありません (行処理しきい値は、[パフォーマンス クリティカル] の値を [状態] 列に表示するかどうかを決定します)。パフォーマンス品質は、個々のサブスクリプション パフォーマンスを、接続の種類 (ダイアルアップまたは LAN) が同じパブリケーションのサブスクリプションの平均的な過去のパフォーマンスと比較することで決定されます。レプリケーション モニタには、同じ種類の接続上で、それぞれ 50 以上の変更に伴う 5 回の同期が行われた後に、値が表示されます。50 以上の変更に伴う同期が 5 回未満の場合、または最も最近の同期での変更が 50 未満の場合、レプリケーション モニタには値は表示されません。
次の表は、平均パフォーマンスとパフォーマンス品質値の相関関係を示しています。たとえば、10 個のサブスクライバが 1 秒あたり平均 100 行の速度で LAN 接続経由で同期し、サブスクリプションの 1 つが 1 秒あたり 125 行の速度で同期している場合、そのサブスクライバの同期のパフォーマンスは平均の 125% となり、結果は [良い] となります。
非常に良い
良い
普通
悪い
151+%
76 – 150%
26 – 75%
0 – 25%
サブスクリプション情報の表示に関する詳細については、「サブスクリプションの情報を表示し、タスクを実行する方法 (レプリケーション モニタ)」を参照してください。
トレーサ トークンによる待機時間の判断
トランザクション レプリケーションでは、パブリケーション データベースのトランザクション ログにトークン (少量のデータ) を挿入し、それがディストリビュータおよびサブスクライバに到達するまでにかかった時間を記録することにより、システムの待機時間を計測できます。このトークンを使用すると、データがディストリビュータまたはサブスクライバに到達しているかどうかを識別することもできます。詳細については、「トランザクション レプリケーションの待機時間の計測と接続の検証」を参照してください。
マージ レプリケーションの詳細な同期パフォーマンスの表示
マージ レプリケーションの場合、レプリケーション モニタには、同期中に処理される各アーティクルの詳細な統計情報が表示されます。この統計には、各処理フェーズ (変更のアップロードやダウンロードなど) にかかる時間などが含まれます。この情報によって、速度低下の原因となっているテーブルを特定することができます。マージ サブスクリプションのパフォーマンスに関するトラブルシューティングを、この情報から開始することをお勧めします。詳細な統計情報の表示に関する詳細については、「サブスクリプションに関連付けられているエージェントの情報を表示し、タスクを実行する方法 (レプリケーション モニタ)」を参照してください。
トランザクション レプリケーションのトランザクションおよび配信時間の表示
トランザクション レプリケーションの場合、レプリケーション モニタには、サブスクライバにまだ配布されていないディストリビューション データベース内のトランザクションの数と、これらのトランザクションの予測配布時間が表示されます。詳細については、「サブスクリプションに関連付けられているエージェントの情報を表示し、タスクを実行する方法 (レプリケーション モニタ)」を参照してください。