チュートリアル : 簡単なオブジェクトモデルとクエリ (C#) (LINQ to SQL)

[アーティクル]
09/17/2008

更新 : November 2007

このチュートリアルでは、複雑さを抑えた、LINQ to SQL 全体の基本的なシナリオを示します。サンプルの Northwind データベースにある Customers テーブルのモデル化を行うエンティティクラスを作成します。次に、住所がロンドンの顧客を表示するための簡単なクエリを作成します。

このチュートリアルでは、LINQ to SQL の考え方を示すために、コード中心の方法をあえて使用しています。通常は、オブジェクトリレーショナルデザイナを使用してオブジェクトモデルを作成できます。詳細についてはオブジェクトリレーショナルデザイナ (O/R デザイナ) およびオブジェクトリレーショナルデザイナー (O/R デザイナー) およびオブジェクトリレーショナルデザイナー (O/R デザイナー)を参照してください。

メモ :
お使いのマシンで、Visual Studio ユーザーインターフェイスの一部の要素の名前や場所が、次の手順とは異なる場合があります。これらの要素は、使用している Visual Studio のエディションや独自の設定によって決まります。詳細については、「Visual Studio の設定」を参照してください。

このチュートリアルは、Visual C# 開発設定を使用して記述されています。

前提条件

このチュートリアルでは、専用フォルダ ("c:\linqtest5") を使用してファイルを保持します。チュートリアルを開始する前にこのフォルダを作成してください。
このチュートリアルには、Northwind サンプルデータベースが必要です。開発コンピュータにこのデータベースがない場合は、Microsoft ダウンロードサイトからダウンロードします。手順については、「サンプルデータベースのダウンロード (LINQ to SQL)」を参照してください。データベースをダウンロードしたら、ファイルを c:\linqtest5 フォルダにコピーします。

概要

このチュートリアルは、主に次の 6 つの手順で構成されています。

Visual Studio で LINQ to SQL ソリューションを作成します。
データベーステーブルにクラスを割り当てます。
クラスに対し、データベース列を表すプロパティを指定します。
Northwind データベースへの接続を指定します。
データベースに対して実行する簡単なクエリを作成します。
クエリを実行し、結果を確認します。

LINQ to SQL ソリューションの作成

最初に、LINQ to SQL プロジェクトをビルドおよび実行するのに必要な参照を含む Visual Studio ソリューションを作成します。

LINQ to SQL ソリューションを作成するには

Visual Studio で、[ファイル] メニューの [新規作成] をポイントし、[プロジェクト] をクリックします。
[新しいプロジェクト] ダイアログボックスの [プロジェクトの種類] ペインで、[Visual C#] をクリックします。
[テンプレート] ペインの [コンソールアプリケーション] をクリックします。
[プロジェクト名] ボックスに「LinqConsoleApp」と入力します。
[場所] ボックスで、プロジェクトファイルを格納する場所を確認します。
[OK] をクリックします。

LINQ の参照とディレクティブの追加

このチュートリアルで使用するアセンブリは、既定ではプロジェクトにインストールされていない場合があります。System.Data.Linq がプロジェクトの参照 (ソリューションエクスプローラで [参照設定] ノードを展開) に表示されていない場合は、以下の手順に従って追加します。

System.Data.Linq を追加するには

ソリューションエクスプローラで、[参照設定] を右クリックし、[参照の追加] をクリックします。
[参照の追加] ダイアログボックスで、[.NET] をクリックし、System.Data.Linq アセンブリをクリックします。次に、[OK] をクリックします。

アセンブリがプロジェクトに追加されます。
Program.cs の冒頭に、次のディレクティブを追加します。
```
using System.Data.Linq;
using System.Data.Linq.Mapping;
```

データベーステーブルへのクラスの対応付け

この手順では、クラスを作成して、データベーステーブルに対応付けます。このようなクラスをエンティティクラスと呼びます。対応付けは、TableAttribute 属性を追加するだけで完了します。Name プロパティを使用して、データベースのテーブルの名前を指定します。

エンティティクラスを作成し、データベーステーブルに対応付けるには

Program.cs の Program クラス宣言の直前に次のコードを入力または貼り付けます。
```
[Table(Name = "Customers")]
public class Customer
{
}
```

クラスでのデータベース列を表すプロパティの指定

この手順では、いくつかのタスクを実行します。

ColumnAttribute 属性を使用して、エンティティクラスの CustomerID プロパティおよび City プロパティを、データベーステーブルの列を表すものとして指定します。
CustomerID プロパティを、データベースの主キー列を表すものとして指定します。
プライベートでの格納用として _CustomerID フィールドおよび _City フィールドを指定します。こうすることで、LINQ to SQL は、ビジネスロジックを含む場合があるパブリックアクセサを使用せずに、値を直接格納および取得できます。

2 つのデータベース列の特性を指定するには

Program.cs の Customer クラスの中かっこ内に次のコードを入力または貼り付けます。

private string _CustomerID;
[Column(IsPrimaryKey=true, Storage="_CustomerID")]
public string CustomerID
{
    get
    {
        return this._CustomerID;
    }
    set
    {
        this._CustomerID = value;
    }

}

private string _City;
[Column(Storage="_City")]
public string City
{
    get
    {
        return this._City;
    }
    set
    {
        this._City=value;
    }
}

    }

}

Northwind データベースへの接続の指定

この手順では、DataContext オブジェクトを使用して、コードで作成したデータ構造とデータベース本体との間の接続を確立します。データベースからのオブジェクトの取得や、変更内容の送信では、DataContext を仲介役として使用します。

また、データベースの Customers テーブルに対するクエリ用として、型指定された論理的なテーブルの役割を果たす Table<Customer> を宣言します。これらのクエリの作成と実行は後の手順で行います。

データベース接続を指定するには

Main メソッドに次のコードを入力または貼り付けます。

northwnd.mdf ファイルは、linqtest5 フォルダにあるものとします。詳細については、このチュートリアルの「前提条件」を参照してください。
```
// Use a connection string.
DataContext db = new DataContext
    (@"c:\linqtest5\northwnd.mdf");

// Get a typed table to run queries.
Table<Customer> Customers = db.GetTable<Customer>();
```

簡単なクエリの作成

ここでは、データベースの Customers テーブルから住所がロンドンの顧客を取得するためのクエリを作成します。この手順で作成するクエリコードは、クエリを指定するだけです。実行は行いません。このような方法を遅延実行といいます。詳細については、「LINQ クエリの概要」を参照してください。

また、LINQ to SQL が生成した SQL コマンドをログに出力します。Log を使用したこのログ機能は、デバッグに有効で、データベースに送信されたコマンドが目的のクエリを正確に表しているかどうかを確認するのに役立ちます。

簡単なクエリを作成するには

Main メソッドの Table<Customer> 宣言の後に次のコードを入力または貼り付けます。

// Attach the log to show generated SQL.
db.Log = Console.Out;

// Query for customers in London.
IQueryable<Customer> custQuery =
    from cust in Customers
    where cust.City == "London"
    select cust;

クエリの実行

この手順では、実際にクエリを実行します。ここまでの手順で作成したクエリ式は、結果が必要になるまでは評価されません。foreach の反復処理を開始した時点で、データベースに対して SQL コマンドが実行され、オブジェクトが実体化されます。

クエリを実行するには

Main メソッドの末尾 (クエリ指定の後) に次のコードを入力または貼り付けます。

foreach (Customer cust in custQuery)
{
    Console.WriteLine("ID={0}, City={1}", cust.CustomerID,
        cust.City);
}

// Prevent console window from closing.
Console.ReadLine();

F5 キーを押してアプリケーションをデバッグします。

メモ :
アプリケーションでランタイムエラーが発生した場合は、「チュートリアルによる学習 (LINQ to SQL)」のトラブルシューティングのセクションを参照してください。

クエリの結果は、以下のようにコンソールウィンドウに表示されます。

ID=AROUT, City=London

ID=BSBEV, City=London

ID=CONSH, City=London

ID=EASTC, City=London

ID=NORTS, City=London

ID=SEVES, City=London

コンソールウィンドウで Enter キーを押してアプリケーションを終了します。

次の手順

このチュートリアルに続く内容が、「チュートリアル : リレーションシップを介したクエリの実行 (C#) (LINQ to SQL)」のトピックにあります。「リレーションシップ間でクエリを実行する」のチュートリアルでは、リレーショナルデータベースの結合と同じように、複数のテーブルにまたがったクエリを LINQ to SQL で行う方法を説明します。

「リレーションシップ間でクエリを実行する」のチュートリアルに進む場合は、必要条件として、ここで完了したチュートリアルのソリューションを保存しておく必要があります。

参照

概念

チュートリアルによる学習 (LINQ to SQL)

次の方法で共有

チュートリアル : 簡単なオブジェクトモデルとクエリ (C#) (LINQ to SQL)

前提条件

概要

LINQ to SQL ソリューションの作成

LINQ to SQL ソリューションを作成するには

LINQ の参照とディレクティブの追加

System.Data.Linq を追加するには

データベーステーブルへのクラスの対応付け

エンティティクラスを作成し、データベーステーブルに対応付けるには

クラスでのデータベース列を表すプロパティの指定

2 つのデータベース列の特性を指定するには

Northwind データベースへの接続の指定

データベース接続を指定するには

簡単なクエリの作成

簡単なクエリを作成するには

クエリの実行

クエリを実行するには

次の手順

参照

概念

その他のリソース

次の方法で共有

チュートリアル : 簡単なオブジェクト モデルとクエリ (C#) (LINQ to SQL)

前提条件

概要

LINQ to SQL ソリューションの作成

LINQ to SQL ソリューションを作成するには

LINQ の参照とディレクティブの追加

System.Data.Linq を追加するには

データベース テーブルへのクラスの対応付け

エンティティ クラスを作成し、データベース テーブルに対応付けるには

クラスでのデータベース列を表すプロパティの指定

2 つのデータベース列の特性を指定するには

Northwind データベースへの接続の指定

データベース接続を指定するには

簡単なクエリの作成

簡単なクエリを作成するには

クエリの実行

クエリを実行するには

次の手順

参照

概念

その他のリソース

チュートリアル : 簡単なオブジェクトモデルとクエリ (C#) (LINQ to SQL)

データベーステーブルへのクラスの対応付け

エンティティクラスを作成し、データベーステーブルに対応付けるには