移行ストアのサイズの見積もり

移行に必要な空きディスク領域は、移行ストアのサイズと移行の種類に応じて変わります。組織内のコンピューターに必要なディスク領域の量は、組織のインフラストラクチャについての情報に基づいて見積もることができます。ScanState ツールを使って必要なディスク領域を計算することもできます。

このトピックの内容

  • 必要なハード ディスク領域。移行ストアに必要なディスク領域のほか、移行元コンピューターと移行先コンピューターに関するその他の考慮事項について説明します。

  • ScanState ツールを使った必要なディスク領域の計算。ScanState ツールを使って特定のコンピューターにおける移行ストアのサイズを調べる方法について説明します。

  • 移行ストアのサイズの見積もり。組織内のコンピューターの移行ストアの平均サイズをインフラストラクチャに基づいて見積もる方法について説明します。

必要なハード ディスク領域

  • **ストア。**ハード リンク以外の移行の場合、移行対象のデータを格納するストアの保存先に十分な空きディスク領域があることを確かめる必要があります。ストアは、別のパーティション、USB フラッシュ ドライブなどの外部記憶装置、またはサーバーに保存できます。詳しくは、「移行ストアの種類の選択」をご覧ください。

  • **移行元コンピューター。**移行元コンピューターには、次のとおり十分な空き領域が必要です。

    • **250 MB 以上のハード ディスク領域。**ページ ファイルの増大など、ユーザー状態移行ツール (USMT) 5.0 の処理をサポートするのに必要な領域です。移行対象のすべてのボリュームが NTFS でフォーマットされている場合、移行のサイズに関係なく、250 MB の空き領域があれば、ハード リンク移行に失敗することはまずありません。250 MB の空きディスク領域がない場合、USMT ツールによって移行ストアが作成されません。

    • **USMT を実行するための一時領域。**USMT ツールを使うための追加ディスク領域が必要です。これには、移行ストアを作成するのに最低限必要な 250 MB は含まれません。必要な一時領域の量は、ScanState ツールを使って計算できます。

    • **ハード リンク移行ストア。**ハード リンク移行ストアのサイズは、必ずしも見積もる必要はありません。ハード リンク ストアのサイズが非常に大きくなる唯一のケースは、NTFS 以外のファイル システムがシステム上に存在し、そこに移行対象のデータが格納されている場合です。Windows(R) XP と Windows Vista(R) は、NTFS が既定のファイル システム形式であるため、この条件に該当することはまれです。

  • **移行先コンピューター。**移行先コンピューターには、次のものを格納できるだけの容量が必要です。

    • オペレーティング システム。

    • アプリケーション。

    • **移行対象のデータ。**移行対象のファイルのほか、レジストリ情報の保存用にもハード ディスク領域が必要になるということを考慮してください。

    • **USMT を実行するための一時領域。**USMT ツールを使うための追加ディスク領域が必要です。必要な一時領域の量は、ScanState ツールを使って計算できます。

ScanState ツールを使った必要なディスク領域の計算

ScanState ツールを使うと、特定の圧縮または非圧縮移行に必要なディスク領域を計算できます。ハード リンク移行の場合は、移行ストアのサイズを必ずしも見積もる必要はありません。別個の移行ストアが作成されないためです。ScanState ツールでは、ツールを実行した時点でのコンピューターの状態に基づいて、必要なディスク領域を計算できます。コンピューターの状態は毎日の使用で変化する可能性があるため、移行を計画する際は、この計算を目安として利用することをお勧めします。

USMT がインストールされた移行元コンピューターで ScanState ツールを実行するには、次の手順に従います。

  1. 管理者特権でコマンド プロンプトを開きます。

  2. USMT ツールに移動します。たとえば、次のように入力します。

    cd /d "C:\Program Files (x86)\Windows Kits\8.0\Assessment and Deployment Kit\User State Migration Tool\<architecture>"
    

    <architecture> は x86 か amd64 です。

  3. ScanState ツールを実行して必要な領域を示した XML レポートを生成します。コマンド プロンプトで、次のように入力します。

    ScanState.exe <ストアのパス> /p:<ファイルのパス>
    

    <ストアのパス> は、移行ストアを保存するディレクトリのパスです。<ファイルのパス> は、必要な領域を示した XML レポートの保存先のパスとファイル名です。例:

    ScanState.exe c:\store /p:c:\spaceRequirements.xml
    

    このコマンドを実行しても移行ストアは作成されませんが、StorePath は必須のパラメーターです。

ScanState ツールを使うと、カスタマイズした移行に基づいて必要なディスク領域を見積もることもできます。たとえば、マイ ドキュメント フォルダーを移行先コンピューターに移行したくないとします。これを、ScanState ツールを実行するときに構成ファイルで指定できます。詳しくは、「USMT XML ファイルのカスタマイズ」をご覧ください。

注意

既にあるアプリケーションやスクリプトの機能で以前の USMT の機能を使う必要がある場合は、USMT で引き続き <ファイルのパス> を指定せずに /p オプションを使うことができます。

必要な領域のレポートには、<storeSize> と <temporarySpace> という 2 つの要素が示されます。<temporarySpace> の値は、USMT によって移行中に使われるディスク領域をバイト単位で表したものです。これには、USMT をサポートするのに最低限必要な 250 MB は含まれていません。<storeSize> の値は、移行ストアの内容を移行元コンピューターと移行先コンピューターの両方にホストするのに必要なディスク領域をバイト単位で表したものです。次の例は、/p:<ファイルのパス> を使って生成したレポートです。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<PreMigration>
  <storeSize>
    <size clusterSize="4096">11010592768</size>
  </storeSize>
  <temporarySpace>
    <size>58189144</size>
  </temporarySpace>
</PreMigration>

さらに、USMT は、最低限必要な 250 MB の空きディスク領域が確保されているかどうかをチェックします。このチェックにパスしなかった場合、ストアは作成されません。

移行ストアのサイズの見積もり

移行するデータを格納するのに必要な容量を調べます。各ユーザーのメール、個人のドキュメント、システム設定に基づいて計算してください。これらを見積もる最善の方法は、いくつかのコンピューターを調べて、必要なストアのサイズの平均を出すことです。

ストアで必要な領域の量は、組織におけるローカル記憶域の戦略に応じて変わります。たとえば、移行データ セットのサイズを左右する重要な要素の 1 つに、メールの保存容量があります。メールが一元的に保存されている場合は、データ セットは小さくなります。メールがローカル (オフライン ストレージ ファイルなど) に保存されている場合は、データ セットは大きくなります。通常は、ワークステーション ユーザーよりもモバイル ユーザーの方がデータ セットは大きくなります。テストを実行し、ネットワークを調べて、組織における平均データ セット サイズを調べてください。

注意

従来の /p コマンド ライン オプションを使ってストアのサイズを見積もり、領域の見積もりファイル (Usmtsize.txt) を作成できます。

必要なディスク領域の量を調べるときは、次の問題を考慮してください。

  • メール: ユーザーが大量のメールを処理している場合や、メールをメール サーバーではなくローカル コンピューターに保管している場合、他のユーザー ファイルをすべて合わせたのと同程度のディスク領域が使われることがあります。ユーザー データを移行する前に、メールをローカルに保存しているユーザーがそれぞれの受信トレイをメール サーバーと同期していることを確かめてください。

  • ユーザー ドキュメント: ユーザーのドキュメントは、含まれるファイルの種類によっては、全部で 50 MB 未満の場合がよくあります。この見積もりは、ワード プロセッシング ドキュメントやスプレッドシートなど、一般的なオフィス ワークを想定しています。組織で扱っているドキュメントの種類に応じて、この見積もりは大きく変わる可能性があります。たとえば、主にコンピューター支援設計 (CAD) ファイルを使う建築事務所の場合、主にワード プロセッシング ドキュメントを使う法律事務所よりもはるかに多くの領域が必要になります。ユーザーがフォルダー リダイレクトなどのメカニズムを通じてファイル サーバーに保存しているドキュメントは、移行しなくてもかまいません (ただし、ユーザーが移行後にこれらの場所にアクセスできる場合)。

  • ユーザーのシステム設定: レジストリ設定の保存用としては、通常は 5 MB で十分です。ただし、この量はインストールされているアプリケーションの数に左右されます。まれにですが、ユーザー固有のレジストリ データが 5 MB を超えることもあります。

関連項目

他のリソース

一般的な移行シナリオ
一般的な移行シナリオ