Android Wear の概要

Google Android Wear の導入により、優れた Android アプリを、携帯電話やタブレットだけに制限されず開発できるようになりました。 Xamarin.Android の Android Wear のサポートにより、手首のウォッチでも、C# コードを実行できます。 この紹介ページでは、Android Wear の基本的概観、その主な機能についての説明、さらに Android Wear 2.0 で使用できる機能の概要を提供します。 ここでは、他に人気がある、いくつかの Android Wear デバイスを一覧で示し、さらに進んだ情報のために、重要な Google Android Wear ドキュメントへのリンクも提供しています。

概要

Android Wear は、第一世代の Motorola 360、LG の G Watch、Samsung Gear Live など、さまざまなデバイス上で動作します。 ソニーの SmartWatch 3 を含む第 2 世代もリリースされており、組み込みの GPS やオフラインの音楽再生などの追加機能が使用できます。 Google は、Android Wear 2.0 について、LG Watch Sport と LG Watch Style の新しいウォッチ 2 機種のために LG と提携しました。

Android Wear 2.0 デバイス

Xamarin.Android 5.0 以降では、Android 4.4W (API 20) のサポートと、Wear 固有の UI コントロールを追加する NuGet パッケージを通じて、Android Wear がサポートされています。 また、Xamarin.Android 5.0 以降には、Wear アプリをパッケージ化するための機能も含まれています。 このガイドで後述するように、NuGet パッケージは Android Wear 2.0 でも使用が可能です。

Android Wear の基本

Android Wear は、Android ハンドヘルド アプリとは異なるユーザー インターフェイスの枠組みを装備しています。 最も初期の Wear アプリは、何らかの方法でコンパニオン ハンドヘルド アプリを拡張するために設計されたものでした。しかし Android Wear 2.0以降では、Wear アプリをスタンドアロンで使用できます。 デプロイされた Wear アプリは、コンパニオン ハンドヘルド アプリと共にパッケージ化されます。 ほとんどの Wear アプリは、ハンドヘルド コンパニオン アプリに依存しているため、ハンドヘルド アプリと通信するための何らかの方法を必要とします。 以下のセクションで、これらの使用シナリオについて説明し、さらに Android Wear の基本的な機能について概説します。

使用シナリオ

Android Wear の最初のバージョンは、その時点のハンドヘルドアプリケーションを強化された通知機能を使用して拡張し、ハンドヘルド アプリとウェアラブル アプリの間でデータを同期することに、その主眼を置いていました。 そのため、これらのシナリオの実装は、さほど複雑なものとなってはいません。

ウェアラブル通知

Android Wear をサポートする最も簡単な方法は、ハンドヘルド デバイスとウェアラブル デバイス間の通知における共有の性質を利用することです。 サポート v4 通知 API と WearableExtender クラス (Xamarin Android サポート ライブラリで利用可能) を使用すると、受信トレイのスタイル カードや音声入力など、プラットフォームのネイティブ機能を利用できます。

コンパニオン アプリケーション

Android Wear に関するもう 1 つの戦略は、ウェアラブル デバイス上でネイティブに実行されコンパニオン ハンドヘルド アプリとペアリングされる、完全なアプリケーションを作成することです。

ユーザー インターフェイス

Wear の主なナビゲーションパターンでは、垂直に配置された一連のカードを使用します。 これらの各カードには、同じ行に重ねて配置されているアクションを、関連付けることができます。 この機能は GridViewPager クラスが提供します。このクラスは、ListView と同じアダプターの概念に準拠しています。 通常は、GridViewPager セルを FragmentGridPagerAdaptor (または GridPagerAdaptor) に関連付けることで、各行と列のセルを Fragment として表せるようにします。

Wear ナビゲーション

また、Wear では、 (上の図に示すように) 大きな色付きの円の下に小さな説明テキストがあるアクション ボタンも使用します。

Android Wear 2.0 では、ナビゲーション ドロワー、アクション ドロワー、インライン アクション ボタンが、Wear ユーザー インターフェイスに追加されています。 Android Wear 2.0 のユーザー インターフェイス要素の詳細については、「Android の内部構造」のトピックを参照してください。

通信

Android Wear には、ウェアラブル アプリとコンパニオン ハンドヘルド アプリ間の通信を容易にするために、異なる 2 種類の通信 API が用意されています。

データ API – この API は、ウェアラブル デバイスとハンドヘルド デバイスの間の同期されたデータ ストアに似ています。 Android は (それが最適な場合)、ウェアラブルとハンドヘルドの間での変更内容の伝搬を処理します。 ウェアラブルが範囲外にある場合には、後の処理のために同期をキューに保存します。 この API の主要なエントリ ポイントは WearableClass.DataApi です。 この API の詳細については、Android の「データ項目の同期」トピック を参照してください。

メッセージ API – この API は、より低いレベルのコミュニケーション パスの使用を可能にします。ハンドヘルド アプリとウェアラブル アプリの間で、小さなペイロードが同期を行なわずに一方向に送信されます。 この API の主要なエントリ ポイントは WearableClass.MessageApi です。 この API の詳細については、Android の「メッセージを送受信する」のトピックを参照してください。

コールバックを登録すると、各 API のリスナー インターフェイスを介し、これらのメッセージを受信することができます。別の方法としては、WearableListenerService から派生したサービスをアプリに実装することもできます。 このサービスは、Android Wear によって自動的にインスタンス化されます。

展開

各ウェアラブル アプリは、メイン アプリケーションの APK 内に埋め込まれている、独自の APK ファイルを使用してデプロイされます。 このパッケージ化は Xamarin.Android 5.0 以降では自動的に処理されますが、バージョン 5.0 より前のバージョンの Xamarin.Android では、手動で実行する必要があります。 「パッケージ化の操作」では、デプロイについて、より詳細に説明しています。

理解を深める

Android Wear に慣れるための最善の方法は、最初のアプリをビルドしてテストすることです。 次の一覧は、迅速に作業を開始するために推奨される記事の、参照順序を示しています。

  1. セットアップとインストール」では、Xamarin.Android Wear アプリをビルドするための開発環境を、インストールおよび構成するための詳細な手順を説明しています。

  2. 必要なパッケージをインストールし、エミュレーターまたはデバイスの構成が完了したら、「Hello, Wear」でステップバイステップの手順を参照してください。ボタンのクリックを処理し Wear デバイスにクリック カウンターを表示する、小さな Android Wear プロジェクトを作成する方法が説明されています。

  3. デプロイとテスト」では、エミュレーターとデバイスの構成とデプロイに関するより詳細な情報が提供されます。ここでは、Bluetooth 経由で Wear デバイスにアプリを展開する方法の手順などが示されます。

  4. 画面サイズの操作」では、 Wear デバイスで使用可能なさまざまな画面サイズに対するユーザー インターフェイスを、プレビューおよび最適化する方法について説明します。

  5. パッケージ化の操作」では、Google Play で配布するために Wear アプリを手動でパッケージ化する手順について説明します。

最初の Wear アプリを作成したら、Android Wear 用のカスタムなウォッチ フェイスの作成を試してください。 「ウォッチ フェイスを作成する」では、デジタル ウォッチ フェイス サービスの各部分を開発するための、ステップバイステップの手順とコード例が提供され、その後には、追加機能を備えたアナログスタイルのウォッチ フェイスに拡張するためのコードも示されています。

Android Wear 2.0

Android Wear 2.0 には、さまざまな新機能が導入されています。これには、コンプリケーション、曲線レイアウト、ナビゲーションとアクション ドロワー、拡張通知などが含まれます。 また、Wear 2.0 を使用すると、ハンドヘルドアプリとは独立して動作するスタンドアロンアプリを、構築できるようになります。 新しい リスト ジェスチャ 機能は、アプリの片手による操作を可能にします。 以下のセクションでは、これらの機能を取り上げて説明しながら、アプリ内で使用を開始するのに役立つリンクを提供します。

Wear 2.0 パッケージのインストール

Xamarin.Android を使用して Wear 2.0 アプリをビルドするには、Xamarin.Android.Wear v2.0 パッケージをプロジェクトに追加する必要があります ([参照] タブをクリックします)。

Xamarin.Android.Wear v2.0

この NuGet パッケージには、Android Support Wearable ライブラリと Wear Compat ライブラリの両方のバインドが含まれています。

Xamarin.Android.Wear に加えて、Xamarin.GooglePlayServices.Wearable NuGet もインストールすることをお勧めします。

Xamarin.GooglePlayServices.Wearable

Wear 2.0 の主な機能

Android Wear 2.0 は、Android Wear にとって、2014 年の最初の発売以来、最大の更新プログラムです。 以下のセクションでは、Android Wear 2.0 の主な機能を取り上げて説明し、これらの新機能をアプリで使い始めるのに役立つリンクを提供します。

その他の機能

コンプリケーション は、ウォッチ フェイスをスワイプしなくても一目で見ることができる、小さなウォッチ フェイス ウィジェットです。 コンプリケーションは、デスクトップ スタイルのダッシュボード ウィジェットに似ています。これらは天気、バッテリー寿命、カレンダー イベント、フィットネス アプリの統計情報などの情報を表示します。

コンプリケーションの例

コンプリケーションの詳細については、Android の「ウォッチ フェイス コンプリケーション」のトピックを参照してください。

曲線レイアウト

Wear 2.0では、ラウンド ウェア デバイスに曲線レイアウトを表示するための新機能が導入されています。 特に、新しい WearableRecyclerView クラスでは、ラウンド ディスプレイに垂直項目の一覧を表示するための最適化が行なわれています。

曲線レイアウトの例

WearableRecyclerViewRecyclerView クラスを拡張し、曲線レイアウトと円形スクロール ジェスチャをサポートしています。 詳細については、Android の WearableRecyclerView API のドキュメントを参照してください。

スタンドアロン アプリ

Android Wear 2.0 アプリは、ハンドヘルド アプリとは独立した動作が可能です。 これはたとえば、コンパニオン ハンドヘルド デバイスの電源がオフになっていたり、スマート ウォッチから遠く離れたりしている場合でも、スマート ウォッチは、引き続きすべての機能を提供できることを意味します。 この機能の詳細については、Android の「スタンドアロン アプリ」のトピックを参照してください。

機能

機能には、インライン アクション、スマート応答、リモート入力、強化された通知、通知の新しいブリッジ モードなど多くが追加されています。 Wear 2.0 での新機能の詳細については、Android の「API の概要」を参照してください。

デバイス

Android Wear の実行が可能なデバイスの例を、次にいくつか示します。

もっと読む

次の Google の Android Wear ドキュメントをご確認ください。

まとめ

この概要では、Android Wear の概要について説明しました。 ここでは、Android Wear の基本的な機能の概要を説明するとともに、Android Wear 2.0 で導入された機能の概要を提供しました。 開発者が Xamarin.Android Wear の開発を開始するのに役立つ際に重要となる参照リンクを提供し、現在市場に出回っている Android Wear デバイスの例をいくつか示しました。