個人用サイトを SharePoint Server 2016 にアップグレードする
適用対象:2016 2019 Subscription Edition SharePoint in Microsoft 365
個人用サイトとは、自分のドキュメントを保存したり、ほかのユーザーに接続したり、コンテンツをフォローおよび検出したりするためにエンド ユーザーが使用できる個人用サイト コレクションです。 個人用サイトは共有される個人用サイト ホスト サイト コレクション (個人用サイトのホストとも呼ばれます) と個人用サイトの個人用サイト コレクション (個人用サイト コレクションとも呼ばれます) の両方で構成されるため、個人用サイトのアップグレードは、他のサイト コレクションのアップグレードとは異なります。
個人用サイト ホスト。 個人用サイトのホストとは、特別なサイト コレクションで、すべての個人用サイト ユーザー間で共有されます。 個人用サイトのホストは、個人用サイトにプロファイル (person.aspx) やニュースフィード ページ (default.aspx) を表示するために使われます。 また、ユーザー プロファイル写真を保存するためにも個人用サイトのホストが使われます。
個人用サイト コレクション。 SharePoint Server 2013 での個人用サイト コレクションは、ユーザーのドキュメントを保存するために使われていました。 SharePoint Server 2016 では、個人用サイト コレクションに OneDrive、フォローされているコンテンツなどが含まれています。
個人用サイトをアップグレードするための計画
SharePoint Server 2013 から SharePoint Server 2016 へのアップグレードを開始する前に、アップグレード プロセスを慎重に計画する必要があります。 以下では、個人用サイトのアップグレードを計画するときの考慮事項をいくつか説明します。
個人用サイトのホストと個人用サイト コレクションをアップグレードする前に、Managed Metadata Service Application、User Profile Service Application の順にアップグレードする必要があります。 詳細については、「SharePoint Server 2016 のサービスのアップグレードの概要」をご覧ください。
企業によっては複数のファームを使っている場合があり、そこにサービス ファームが含まれていることがあります。 そのような環境では、通常 1 つのサーバー ファーム (エンタープライズ サービス ファームと呼びます) がファーム間共有サービスを公開し、他のファームが共有サービスを利用します。 状況によっては、User Profile Service Application がサービス ファームから共有されて、その共有 User Profile Service Application を利用する別のファームに個人用サイトが含まれている場合があります。 このような種類の構成をアップグレードするときは、サービス ファームの User Profile Service Application を先にアップグレードしてから個人用サイトのファームをアップグレードする必要があります。
SharePoint Server 2013 でクラシック モードからクレーム ベース認証へアップグレードする必要があるかどうかを検討します。 詳細については、「Migrate from classic-mode to claims-based authentication in SharePoint Server」をご覧ください。
重要
この一覧では、個人用サイトのアップグレードを実行するときに考慮する重要事項の一部を強調しています。 アップグレードに関する詳細な説明については、「SharePoint Server 2016 へのアップグレードの概要」をご覧ください。
個人用サイトをアップグレードする
以下では、個人用サイトのみのアップグレード アクティビティの概要について説明します。 アップグレードの詳細については、「SharePoint Server 2016 へのアップグレード」をご覧ください。
重要
個人用サイトのホストと個人用サイト コレクションをアップグレードすると、アップグレードを元に戻すことはできません。 > 次の一覧の項目の一部では、追加の手順を実行する必要があります。 そのような追加の手順については、この手順の後のセクションで説明します。 サーバー ファーム全体をアップグレードするときは、個人用サイトもアップグレードすることをお勧めします。
新しい SharePoint Server 2016 ファームをインストールして構成します。 詳細については、「データベース接続アップグレード用の SharePoint Server 2016 ファームを作成する」をご覧ください。
SharePoint Server 2013 の個人用サイトのコンテンツ データベース、ソーシャル データベース、同期データベース (任意)、プロファイル データベース、および Managed Metadata Service データベースを、SharePoint Server 2016 ファームをサポートする SQL Server にコピーします。 この手順を実行するには、db_owner アクセス許可が必要です。 詳細については、「SharePoint Server 2016 へのアップグレードのためにデータベースを新しいファームにコピーする」および「データベース接続アップグレード用の SharePoint Server 2016 ファームを作成する」をご覧ください。
SharePoint Server 2016 ファームに必要な新しいサービス アプリケーションを作成します。 User Profile Service Application および Managed Metadata Service Application は作成しないでください。 これらのサービス アプリケーションはアップグレードする必要があります (次の手順を参照)。 ただし、User Profile Service および Managed Metadata Service は [サーバーのサービスの管理] から開始する必要があります。
データベース接続方式を使用して、 Managed Metadata Service Application および User Profile Service Application をアップグレードします。 詳細については、「 サービス アプリケーションを SharePoint Server 2016 にアップグレードする」をご覧ください。 User Profile Service Application の [ 個人用サイトのホストの URL ] フィールドはアップグレード プロセスで更新されるため、空白のままにしてください。 詳細については、「 User Profile Service アプリケーションで個人用サイトの設定を構成する」をご覧ください。
既定のコンテンツ データベースを使って、個人用サイト用の Web アプリケーションを作成します。 ユーザーのストレージ要件が満たされるようにするため、個人用サイト Web アプリケーションのサイト クォータを確認する必要があります。
個人用サイト Web アプリケーションのサイト作成時の互換性の範囲の設定を設定します。 互換性の範囲の設定には MinCompatibilityLevel = 15 および MaxCompatibilityLevel= 15 を使います。
カスタマイズをインストールします。
Test-SPContentDatabase コマンドレットを実行して、個人用サイト コンテンツ データベースをアップグレードする前に、すべてのカスタマイズと言語パックがサーバーにインストールされていることを確認します。 このコマンドレットは、すべての個人用サイト コンテンツ データベースに対して実行する必要があります。 このコマンドレットを実行すると、環境に関するレポートが表示されます。 報告された一部のアイテムが次の手順に進むのを妨げる可能性があるため、このレポートのすべてのアイテムを確認してください。
Mount-SPContentDatabase コマンドレットを実行します。 注意: この時点では、どの個人用サイト コレクションもアップグレードされません。 この手順の完了後も、個人用サイトは SharePoint Server 2013 の個人用サイトとして表示されます。
個人用サイト Web アプリケーションのセルフサービスのサイト作成と管理パスの設定の構成を確認して、適切な構成設定が Web アプリケーションに適用されていることを確認します。 詳細については、「SharePoint Server で個人用サイトを構成する」をご覧ください。
User Profile Service Application の [ 個人用サイトのホストの URL ] フィールドに、ユーザーが個人用サイト Web アプリケーションにアクセスするために使う必要がある正しい URL が設定されていることを確認します。 詳細については、「 User Profile Service アプリケーションで個人用サイトの設定を構成する」をご覧ください。
個人用サイトのホストを SharePoint Server 2013 の個人用サイトのホストから SharePoint Server 2016 の個人用サイトのホストへアップグレードします (「個人用サイトのホスト サイト コレクションのアップグレード」セクションを参照)。
個人用サイト コレクションをアップグレードします (「個人用サイト コレクションのアップグレード」を参照)。
注意
アップグレード プロセス中は、ユーザーの個人用サイトの見た目がアップグレード プロセスが完了するまでに何回か変化します。 この現象は想定通りであることをユーザーとヘルプデスク管理者に通知する必要があります。
個人用サイトのホスト サイト コレクションのアップグレード
SharePoint Server 2013 の個人用サイトのホストから SharePoint Server 2016 の個人用サイトのホストへアップグレードするには、SharePoint 2016 管理シェル コマンド プロンプトで次のコマンドを実行します。
Upgrade-SPSite http://MySiteHostURL -versionupgrade
ここで、
- http://MySiteHostURL は、個人用サイトのホストの URL です。
個人用サイト コレクションのアップグレード
個人用サイト コレクションは、ユーザーが自分の個人用サイトにアクセスすると自動的にアップグレードされます。 SharePoint Server 2016 の個人用サイトのホストには、非表示の自動アップグレード Web パーツがあります。 ユーザーが個人用サイトのホストにアクセスしたときに、互換性の範囲の設定で 2013 ユーザー インターフェイス モードを許可している場合は、ユーザーの個人用サイトの自動アップグレードが開始します。 このアップグレード プロセスは、ユーザー単位で実行され、完了するまでに少し時間がかかることもあります。
個人用サイトのアップグレードの代替手順
個人用サイトを SharePoint Server 2016 の個人用サイトにアップグレードすることを制限するような制約があることがあります。 たとえば、サーバー ファーム全体をアップグレードするのに、SharePoint Server 2016 でテストしていないカスタマイズが個人用サイトにあるとします。 このシナリオでは、テストを完了するまでは個人用サイトをアップグレードできません。
サーバー ファームをアップグレードする一方で、個人用サイトは SharePoint Server 2013 の個人用サイトのままにしておく場合は、個人用サイトのアップグレードとして説明した前述の手順を以下のように変更します。
手順 6: 個人用サイト Web アプリケーションの互換性の範囲の設定には、MinCompatibilityLevel = 14 および MaxCompatibilityLevel= 14 を使います。
手順 12: この手順は実行しないでください。
手順 13: この手順は実行しないでください。
個人用サイトのアップグレードを実行する準備ができたら、以下のようにします。
個人用サイト Web アプリケーションの互換性の範囲の設定には、MinCompatibilityLevel = 15 および MaxCompatibilityLevel= 15 を設定します。
手順 12 の説明に従って、個人用サイトのホストをアップグレードします。
手順 13 の説明に従って、個人用サイト コレクションをアップグレードします。
重要
個人用サイトを SharePoint Server 2016 の個人用サイトにアップグレードすると、SharePoint Server 2013 の個人用サイトに戻すことはできません。
個人用サイト コレクションのアップグレードの代替手順
ユーザーが個人用サイトのホストにはじめてアクセスしたときに個人用サイトの自動アップグレードを経験させないようにする場合、管理者は個人用サイト コレクションをアップグレードする代替方法を選択することができます。
強制アップグレード。 強制アップグレード パスを使う場合、ユーザーは個人用サイトにはじめてアクセスしたときに、自動アップグレードを経験しません。 代わりに、個人用サイトはすでにアップグレードされています。 ファーム管理者は、 [SharePoint 2016 管理シェル] コマンド プロンプトで以下のコマンドを実行することにより、すべての個人用サイトの強制アップグレードを実行することができます。
Get-SPSite -limit all |where {$_.CompatibilityLevel -eq '14'} | where {$_.RootWeb.WebTemplateId -eq 21} | upgrade-spsite -versionupgrade
重要
強制アップグレードを実行する前に、個人用サイトのホストが正常にアップグレードされていることを確認する必要があります。 確認するには、個人用サイトのホストが SharePoint Server 2016 ユーザー インターフェイスを使用していることを確認するか、または ULS ログを検査してアップグレード プロセス中にエラーが発生していないことを確認します。
注意
強制アップグレード方法を使うと、アップグレードしている個人用サイトの数によっては完了までに非常に時間がかかることがあります。 サーバー ファームのパフォーマンスに影響があるほか、アップグレード プロセスが完了するまでファームは読み取り専用モードになります。
遅延サイト コレクション アップグレード。 サイト コレクションの遅延アップグレード プロセスでは、互換性の範囲の設定を使い、データベースはアップグレードしながら、サイト コレクションは SharePoint Server 2010 モードのままにすることができます。 互換性の範囲の設定で 2010 ユーザー インターフェイス モードと 2013 ユーザー インターフェイス モードの両方を許可する場合 (MinCompatibilityLevel = 14 および MaxCompatibilityLevel= 15)、個人用サイトの所有者には自分の個人用サイトの上部に赤色のバナーが表示されます。 所有者は、SharePoint Server 2013 ユーザー インターフェイスにアップグレードする前に、このバナーから個人用サイトの評価サイト コレクションを要求できます。 評価サイトは、最終的には削除される一時サイトであるため、通常の個人用サイトには変換できません。 サイト コレクションの遅延アップグレード パスは、ユーザー単位で実行されます。
注意
サイト コレクションの遅延アップグレードを使うと、ユーザー インターフェイス モードの混在の問題が発生することがあります。 アップグレードを運用環境で実施する前に、慎重に計画およびテストしてください。 個人用サイトでユーザー インターフェイス モードの混在が発生した場合、個人用サイトを持たない新しいユーザーは、新しい個人用サイトを作成できません。
個人用サイトのアップグレードのトラブルシューティング
ユーザーがユーザー インターフェイス モードの混在や個人用サイトを SharePoint Server 2013 ユーザー インターフェイス モードにアップグレードできないといった問題に直面している場合は、以下の手順が完了していることを確認します。
個人用サイトのホストが SharePoint Server 2016 の個人用サイトのホストにアップグレードしてある。
互換性の範囲の設定で、2013 ユーザー インターフェイス モードでのサイト作成を許可してある。
アップグレードを要求しているユーザーの個人用サイト コレクションの SPSite.CanUpgrade プロパティが true に設定されている。 管理者がサイト コレクション レベルでこのプロパティを設定して、特定のサイト コレクションのアップグレードを許可または制限していることがあります。
注:
個人用サイト コレクションのアップグレードは、簡単なプロセスではありません。 個人用サイトはアップグレード キューに追加されます。 アップグレードが開始すると、個人用サイトはアップグレード プロセス中も使用可能なままになります。 ユーザーは、アップグレード プロセス中も、ドキュメントを操作できます。 個人用サイトのホストと個人用サイト コレクションは、アップグレードが完了するまでユーザー インターフェイス モードが混在した状態を表示します。