iSCSI HBA のテストの前提条件

このセクションでは、Windows Hardware Lab Kit (Windows HLK) を使用して iSCSI ホスト バス アダプター (HBA) をテストする前に完了しておく必要があるタスクについて説明します。

ハードウェア要件

iSCSI HBA テストは、1 つの構成で実行できます。 ただし、この構成は次に示す 2 つの方法のいずれかで実装できます。

  • iSCSI HBA、iSCSI ディスク ストレージ システム、iSCSI テープ メディア チェンジャー

  • iSCSI HBA、別のバスへのブリッジ、ディスク ストレージ システム、iSCSI テープ メディア チェンジャー

iSCSI HBA アダプターをテストするには、次のハードウェアが必要です。 テスト デバイスで他の機能が提供されている場合は、追加のハードウェアが必要になる場合があります。 追加のハードウェア要件が適用されるかどうかを判断するには、Windows HLK Studio でデバイスに対して表示される各テストのテストの説明を参照してください。

Note

テスト コンピューターとテスト コントローラーを除き、テストに関係するハードウェアには既にロゴが付いている必要があります。

  • 1 台のテスト コンピューター。 テスト コンピューターは、「Windows HLK の前提条件」に記載されている Windows HLK の要件と、次のオペレーティング システム固有の要件を満たしている必要があります。

    • Windows 8、Windows 7、Windows Vista、または Windows XP でのテストの場合:

      • 1 つのデュアルコアまたは同等のプロセッサ

      • 4 GB のメモリ

    • Windows Server 2012、Windows Server 2008 R2、Windows Server 2008、または Windows Server 2003 でのテストの場合:

      • 1 つのクァッドコアまたは同等のプロセッサ

      • 6 GB のメモリ

  • 1 つの iSCSI HBA (テスト デバイス)。

  • 1 つのコンビネーション テープ ドライブとメディア チェンジャー デバイス。 ブリッジなしでテストする場合、このデバイスは iSCSI デバイスである必要があります。 ブリッジを使ってテストする場合、このデバイスは、別のバスを介して接続するデバイスである必要があります。

  • 2 つのディスク ストレージ システム。 ブリッジなしでテストする場合、これらのシステムは iSCSI ディスク ストレージ システムである必要があります。 ブリッジを使ってテストする場合、これらのシステムは別のバスを介して接続するディスク ストレージ システムである必要があります。

    Note

    テスト デバイスがブートをサポートする場合は、2 つのディスク ターゲットが必要です。 ターゲット名が異なる場合、これらのターゲットは同じディスク ストレージ デバイス上に存在することができます。

  • ブリッジがある構成でテストを行う場合は、iSCSI ブリッジが必要です。

  • メディア チェンジャー デバイス上の各ドライブ用の 3 つの空のメディア カートリッジ。

  • モニター、キーボード、マウス。

  • デバイスがブートをサポートしている場合は、ブート対応のフロッピー ディスク ドライブ。

  • 2 つのギガビット イーサネット ネットワーク アダプター。

Note

サーバーで使用する製品の認定を受けるには、テスト コンピューターが 4 つのプロセッサと 1 GB 以上の RAM をサポートしている必要があります。 これらのシステム機能は、デバイスとドライバーの再調整、D3 状態、および複数のプロセッサ グループの機能をテストするために必要です。 実際に 64 個以上のプロセッサを搭載したコンピューターでなくても、デバイスをテストすることは可能です。 また、デバイスまたはドライバーのテストに使用されるサーバー システムには、テストの前に Server Core がインストールされている必要があります。 詳細については、Windows Server のインストール オプションに関するページを参照してください。

テスト コンピューターのプールを使用してデバイスをテストする場合、プール内の少なくとも 1 台のコンピューターに 4 つのプロセッサと 1 GB 以上の RAM が搭載されている必要があります。 さらに、そのコンピューターには、テスト対象のデバイスとドライバーが含まれている必要があります。 ドライバーがプール内のすべてのコンピューターで同じである場合、システムは、すべてのテスト コンピューターに対して実行するスケジュールを作成します。

ハード ディスク ドライブのテストなど、ドライバーが含まれないテストの場合、Windows HLK スケジューラは、デバイスとドライバーの再調整、D3 状態、および複数プロセッサ グループの機能を検証するテストを、既定のテスト コンピューターでのみ実行されるように制限します。 このコンピューターが複数のプロセッサ グループを持つように手動で構成する必要があります。 既定のコンピューターは、一覧の最初のテスト コンピューターです。 テスト担当者は、一覧の最初のテスト コンピューターがハードウェアの最小要件を満たしていることを確認する必要があります。

Note

(WHCP ポリシーとプロセスに関するドキュメントで定義されている) 準仮想化ドライバーを除き、物理デバイスと関連するドライバーでサーバーの認定または署名をテストするときは、いかなる形式の仮想化も使用できません。 いずれの仮想化製品でも、複数のプロセッサ グループ、デバイス電源管理、デバイス PCI 機能、およびその他のテストに関連するテストに成功するために必要となる基本機能はサポートされていません。

Note

  複数プロセッサ グループの設定には、Windows Server 2008 R2 以降の認定用デバイス ドライバーの Hardware Lab Kit テストに使用するプロセッサ グループのサイズの値を設定する必要があります。 この場合、管理者特権のコマンド プロンプト ウィンドウで、「/set」オプションを使用して bcdedit を実行します。

グループ設定を追加して再起動するためのコマンドは次のとおりです。

bcdedit.exe /set groupsize 2
bcdedit.exe /set groupaware on
shutdown.exe -r -t 0 -f

グループ設定を削除して再起動するためのコマンドは次のとおりです。

bcdedit.exe /deletevalue groupsize
bcdedit.exe /deletevalue groupaware
shutdown.exe -r -t 0 -f

Note

コードの整合性設定

まずサーバー マネージャーを使用して Windows Server 2016 の仮想化ベースのセキュリティ機能 (VBS) を有効にする必要があります。

その後、次のレジストリ キーを作成して設定する必要があります。

HKLM\System\CurrentControlSet\Control\DeviceGuard
HypervisorEnforcedCodeIntegrity:REG_DWORD
0 or 1 (disabled, enabled)

ソフトウェア要件

iSCSI HBA アダプターをテストするには、次のソフトウェアが必要です。

  • テスト デバイスのドライバー。

  • 最新の Windows HLK フィルターまたは更新プログラム。

  • Windows シンボル ファイル。 これらは、シンボル ファイルの Web サイトから入手できます。

  • Windows Driver Kit (WDK) の現在のリリース。

テスト コンピューターの構成

iSCSI HBA アダプターをテストするためにテスト コンピューターを構成するには、次の手順を実行します。

  1. テスト コンピューターの電源がオフのときに、次のアセンブリの手順を実行します。

    1. iSCSI コントローラーをテスト システムに取り付けます。

    2. 両方の 1 GB ネットワーク カードをネットワークに接続します。

    3. iSCSI コントローラーをテスト ネットワークに接続します。 テスト ネットワークは、Windows HLK Studio と Windows HLK Controller が含まれるネットワークです。

    4. iSCSI ブリッジを使っている場合は、ブリッジをネットワークに接続します。

    5. 次のいずれかの操作を行います。

      1. iSCSI ブリッジを使っている場合は、ディスク ストレージ システム、コンビネーション テープ、メディア チェンジャーをブリッジに接続します。

      2. iSCSI ブリッジを使っていない場合は、ディスク ストレージ システム、コンビネーション テープ、ミディアム チェンジャーをネットワークに接続します。

      次の図は、ブリッジを使わない場合のテスト システムの構成を示しています。

      iscsi コントローラーの構成図 (ブリッジなし)

      次の図は、ブリッジを使う場合のテスト システムの構成を示しています。

      iscsi コントローラーの構成図 (ブリッジ)

  2. テスト コンピューターの電源をオンにし、適切な Windows オペレーティング システムをインストールした後、テスト ネットワーク用にコンピューターを構成します。

    iSCSI HBA がブートをサポートしている場合は、テストに使うものとは異なる iSCSI ディスク ターゲットにオペレーティング システムをインストールします。

  3. 製造元から提供されているデバイス ドライバーをテスト コンピューターにインストールする必要がある場合は、ここで行います。

  4. iSCSI ソフトウェア イニシエーターの最新バージョンをインストールします。 これは、Microsoft ダウンロード センターから入手できます。

  5. iSCSI コントロール パネルを使ってすべてのターゲット デバイスにログオンします。 ターゲットにログオンするときは、[システムの起動時に自動的にこの接続を復元する] チェック ボックスをオンにします。

    重要

    テストに使うすべての iSCSI ターゲット デバイスにログオンする必要があります。 他の iSCSI ターゲット デバイスにはログオンしないでください。 これに従わない場合、WLK テストが正しく機能しません。

  6. ディスク管理を使って、オペレーティング システムが格納されていないディスク ストレージ システムに 3 つの 4GB NTFS ボリュームを作成します。 各ボリュームにドライブ文字を割り当てます。

  7. iSCSI コントロール パネルを使って、前の手順で作成したすべてのドライブ文字をバインドします。

  8. 次の手順を実行して、システム ページ ファイルを設定し、クラッシュダンプを有効にします。

    1. [スタート] ボタンをクリックして [マイ コンピューター] を右クリックし、[プロパティ] をクリックします。

    2. [全般] タブをクリックし、コンピューターに搭載されている RAM の容量をメモします。

    3. [詳細設定] タブをクリック (Windows Vista、Windows 7、Windows 8、Windows Server 2008、Windows Server 2008 R2、Windows Server 2012 では、左側のペインにある [システムの詳細設定] をクリック) し、[パフォーマンス][設定] をクリックします。

      Note

      管理者の資格情報を入力するか、操作を許可するように求めるメッセージが表示されたら、資格情報を入力するか、操作を許可します。

    4. [詳細設定] タブをクリックし、[仮想メモリ] エリアで [変更] をクリックします。

    5. [カスタム サイズ] を選択し、手順 b でメモした RAM のサイズより大きい数値を [初期サイズ (MB)] ボックスに入力します。

    6. [最大サイズ (MB)] テキスト ボックスに、[初期サイズ (MB)] ボックスに入力した初期サイズより大きい最大サイズ値を入力します (通常、最大サイズは初期サイズの 1.5 から 2 倍にします)。

    7. [設定] をクリックし、[OK] を 2 回クリックします。

    8. [OK] をクリックし、コンピューターを再起動して、ページ ファイルのサイズを更新します。

  9. Windows シンボル ファイルを %SystemDrive%\Symbols にコピーします。

  10. iSCSi HBA を使って Windows からストレージにアクセスできることを確認します。

  11. Windows HLK クライアント アプリケーションをテスト コンピューターにインストールします。

  12. Windows HLK Studio を使用してコンピューター プールを作成し、そのプールにテスト コンピューターを移動します。

テストを開始する前に、テスト コンピューターが準備完了状態であることを確認します。 また、iSCSI HBA テストをスケジュールするときに、HBA (イニシエーター) と iSCSI ターゲット間の通信を設定します。 テストを実行する前にパラメーターを設定する必要がある場合は、そのテストのダイアログ ボックスが表示されます。 詳細については、個々のテスト トピックを確認してください。

一部の Windows HLK テストでは、ユーザーの介入が必要です。 申請用にテストを実行するときは、手動テストとは別にブロックで自動テストを実行するのがベスト プラクティスです。 これにより、自動テストの完了が手動テストによって中断されるのを防ぎます。

警告

ストレージ デバイスをテストする際は、ストレージ テストを開始する前に、すべての Device Fundamental テストを完了することを強くお勧めします。 ストレージ テストではテスト デバイスが再構成され、デバイスが Device Fundamentals テストのサポートに不向きな状態になります。 ストレージ テスト デバイスでボリュームを作成する構成の手順は次のとおりです。 これは、テストの Device Fundamental 部分 (DevFund) を完了するうえで重要です。