ユニファイド メッセージングでのオペレータへの通話の転送について

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2007-10-22

Microsoft Exchange Server 2007 ユニファイド メッセージングには、発信者がシステム内を正しく移動できない場合や人間のオペレータと話す必要がある場合に通話をオペレータに転送するための機能があります。構成できるオペレータにはいくつかの種類があります。これらのオペレータを利用することで、通話を受付や管理者のアシスタント、またはオペレータの内線番号に転送することも、転送せずに自動応答に応答させることもできます。このトピックでは、Exchange 2007 ユニファイド メッセージングで構成できるオペレータの種類と、発信者がユニファイド メッセージング システムに電話を掛けた方法に応じて着信呼び出しをこれらの種類のオペレータに転送する方法について説明します。

ユニファイド メッセージングのオペレータの概要

Exchange 2007 ユニファイド メッセージングで構成できるオペレータの種類には、以下のものがあります。

  • ダイヤル プラン オペレータ
  • 自動応答オペレータ
  • 個人オペレータ

次の図に、Exchange 2007 ユニファイド メッセージングのさまざまな種類のオペレータを示します。

ユニファイド メッセージング オペレーター

Exchange 2007 ユニファイド メッセージングでは、UM ダイヤル プラン、UM 自動応答、および UM が有効なユーザーのメールボックスに対してオペレータ内線番号を設定することができます。UM ダイヤル プランに対して、または音声認識が有効でない UM 自動応答に対してオペレータ内線番号が設定されている場合は、"オペレータを呼び出すには 0 を押してください" という音声プロンプトが発信者に対して再生されます。音声認識が有効になっている UM 自動応答に発信者が電話を掛けたときに、オペレータ内線番号が設定されている場合は、発信者が 0 を押すか、"オペレータ" または "受付" と言うと、通話はオペレータ内線番号に転送されます。

UM ダイヤル プラン、自動応答、または個人オペレータのオペレータ内線番号を設定するには、次のいずれかを使用します。

  • 組織内の内線電話番号   特定のユーザー (たとえば、電話受付担当者や管理者アシスタントなどの、電話に応答できる人) の内線番号を指定できます。一般には、着信呼び出しへの応答が常に可能な内線番号を指定します。
  • UM 自動応答の内線番号   通話を人間のオペレータに転送する前に発信者にメニュー オプションを選択させる場合や、組織内に人間のオペレータがいない場合に使用します。この場合は、UM 自動応答が関連付けられた内線番号に着信呼び出しを転送するための内線番号を構成できます。自動応答の音声認識は有効でも有効でなくてもかまいません。
  • 外線番号    ベンダまたは外部応答サービスを利用して組織への着信呼び出しに応答する場合に使用できます。組織外の電話番号を指定してオペレータ内線番号を構成する場合は、呼び出しが正しく転送されるように UM ダイヤル プランおよび構内交換機 (PBX) のアウトダイヤル情報が正しく構成されていることを確認する必要があります。

少なくとも、UM ダイヤル プランまたはダイヤル プランに関連付けられた UM 自動応答に対して、発信者が目的のユーザーを見つける、あるいはメニュー システム内を移動するのを手助けするためのオペレータ内線番号を指定しておくことをお勧めします。UM 自動応答でオペレータの内線番号を構成する方法の詳細については、「ユニファイド メッセージング自動応答にオペレータの内線番号を構成する方法」を参照してください。UM ダイヤル プランでオペレータの内線番号を構成する方法の詳細については、「ユニファイド メッセージング ダイヤル プランにオペレータの内線番号を構成する方法」を参照してください。

ダイヤル プラン オペレータ

Exchange 2007 ユニファイド メッセージングには、展開の際に作成して構成する必要のある Active Directory オブジェクトがいくつもありますが、UM ダイヤル プラン オブジェクトは、ユニファイド メッセージング システムの中核となるコンポーネントです。UM ダイヤル プラン オブジェクトは、Exchange 2007 組織全体を対象とするオブジェクトであり、Active Directory ディレクトリ サービスで作成されます。

ユニファイド メッセージング ダイヤル プランは、共通のユーザー内線番号を共有する PBX のセットまたはグループを論理的に表す Active Directory のコンテナ オブジェクトです。言い換えると、PBX でホストされるユーザーの内線番号は、共通の内線番号形式を使用します。同じダイヤル プランのユーザーどうしが電話で話すときは、内線番号に特別な番号を付加したり、完全な電話番号をダイヤルしたりする必要はなく、内線電話番号だけをダイヤルします。したがって、UM ダイヤル プランとは、特定の PBX または IP PBX に対して作成されるテレフォニー ダイヤル プランを論理的に表したものといえます。

UM ダイヤル プランに対して構成されているサブスクライバ アクセス番号を使用してユニファイド メッセージング システムにアクセスする発信者は、認証されていない発信者と認証されている発信者の 2 種類に分けられます。ダイヤル プランに対して構成されているサブスクライバ アクセス番号に電話を掛ける発信者は、情報を入力するまでの間は匿名または認証されていない発信者と見なされます。この情報には、ボイス メールの内線番号と PIN があります。匿名または認証されていない発信者が使用できる唯一のオプションは、ディレクトリ検索機能です。ただし、オペレータ内線番号がダイヤル プランに対して構成されている場合は、認証されていないユーザーはディレクトリ検索機能を使用できるだけでなく、0 を押して、ダイヤル プランに対して構成されているオペレータ内線番号へ通話を転送することもできます。

内線番号と PIN 情報を入力すると、発信者は認証され、Exchange 2007 メールボックスにアクセスできるようになります。メールボックスへのアクセスが可能になった後は、Outlook Voice Access を使用します。Outlook Voice Access は、認証された発信者が標準のアナログ電話、デジタル電話、または携帯電話を使用して電子メール、ボイス メール、予定表、および連絡先の情報にアクセスできるようにするための一連の音声プロンプトです。Outlook Voice Access では、認証された発信者が、DTMF (Dual Tone Multi-Frequency) または音声入力を使用してメールボックス内の個人情報の操作や、電話の発信、ユーザーの検索、システム プロンプトやメニューの操作を行うこともできます。

UM が有効なユーザーは、Outlook Voice Access を使用することで、以下のタスクを実行できます。

  • 新着および保存されている電子メール メッセージと音声メール メッセージを聞く。
  • 電子メール メッセージおよびボイス メール メッセージの転送、応答、保存、および削除を行う。
  • 予定表を操作する。
  • グローバル アドレス一覧 (GAL) または個人用連絡先で人を探す。
  • ボイス メッセージを送信する。
  • 自分の PIN、名前、または案内応答を変更する。

Outlook Voice Access ユーザーが、UM ダイヤル プランに対して構成されているサブスクライバ アクセス番号に電話を掛けたときに、そのダイヤル プランに対してオペレータ内線番号が構成されている場合は、発信者が 0 キーを押すか、"オペレータ" または "受付" と言うと、UM ダイヤル プランに対して構成されている電話番号に通話が転送されます。ダイヤル プランでオペレータ内線番号の電話番号が構成されていない場合は、オペレータにユーザーの通話をつなぐことはできず、ユニファイド メッセージング システムとの接続が切断されます。次の図に、Outlook Voice Access ユーザーがサブスクライバ アクセス番号にダイヤルするときに利用可能なオペレータ転送オプションを示します。

Outlook Voice Access によるオペレーター転送

Exchange 2007 ユニファイド メッセージングでのサブスクライバ アクセスの詳細については、「ユニファイド メッセージング サブスクライバ アクセスについて」を参照してください。

Outlook Voice Access で利用できるメニューおよびオプションを印刷可能形式にまとめたシートが用意されています。Microsoft ダウンロード センターから Outlook Voice Access クイック リファレンス ガイドをダウンロードしてください。

自動応答オペレータ

Exchange 2007 ユニファイド メッセージングでは、多数の Active Directory オブジェクトを展開中および展開後に作成して構成する必要があります。UM 自動応答は必須のオブジェクトではなく、ユーザーによる構成が可能な、ユニファイド メッセージング システムのオプション コンポーネントです。UM 自動応答オブジェクトは、Exchange 2007 組織全体を対象とするオブジェクトであり、Active Directory 内に作成されます。

Exchange 2007 ユニファイド メッセージングを使用すると、組織のニーズに応じて、1 つ以上の UM 自動応答を作成することができます。UM 自動応答を使用して、組織の音声メニュー システムを作成することができます。この音声メニュー システムを利用して、外部または内部からの発信者が組織内のユーザーを検索するためのしくみを作成することができます。また、ユーザー、部門、または UM 自動応答に対して構成されているオペレータ内線番号に電話を掛けたり、通話を転送したりすることもできます。

UM 自動応答の音声認識が有効でも有効でなくても、オペレータ内線番号の構成は可能です。UM 自動応答に対してオペレータ内線番号を構成しておけば、発信者が自動応答メニューを正しく操作できないときに、0 を押すか "オペレータ" または "受付" と言うことによって通話を人間のオペレータまたは別の自動応答に転送させることができます。オペレータ内線番号を使用するように構成できる UM 自動応答には、次の 3 種類があります。

  • 音声認識が有効でない自動応答
  • 音声認識が有効な自動応答 (DTMF フォールバックなし)
  • 音声認識が有効な自動応答 (DTMF フォールバックあり)

UM 自動応答に対して構成可能なオペレータ内線番号には、人間のオペレータの内線番号、他の自動応答、UM が有効になっているメールボックス、および組織外の電話番号があります。オペレータ内線番号には、1 ~ 20 桁の内線または外線の電話番号を入力できます。外線番号を使用する場合は、適切なアウトダイヤル情報グループおよびこの機能を有効にするためのエントリを正しく構成していることを確認する必要があります。アウトダイヤル エントリを構成する方法の詳細については、「ユニファイド メッセージング ダイヤル プランのダイヤル情報のエントリを作成する方法」を参照してください。

音声認識が有効な自動応答を作成してオペレータ内線番号を指定した場合は、発信者が "オペレータ" と言うと、その自動応答に対して構成されている番号へ通話が転送されます。音声認識が有効な自動応答が、DTMF フォールバック自動応答を使用するように構成されているけれどもオペレータ内線番号が指定されておらず、DTMF 自動応答に対してオペレータ内線番号が指定されている場合は、DTMF フォールバック自動応答のオペレータ内線番号がダイヤルされます。音声認識が有効な自動応答と DTMF フォールバック自動応答のどちらにも内線番号が指定されていない場合に発信者が "オペレータ" と言うと、自動応答に関連付けられているダイヤル プランに対して指定されているオペレータ内線番号が呼び出されます。自動応答とダイヤル プランのどちらにもオペレータ内線番号が指定されていない場合は、"申し訳ありません。オペレータとタッチトーン サービスはご利用になれません" という内容のメッセージが返されます。

note注 :
少なくとも、UM 自動応答または自動応答が関連付けられたダイヤル プランのいずれかに対して、発信者を手助けするためのオペレータ内線番号を設定しておくことをお勧めします。

勤務時間内のオペレータ転送を行うように UM 自動応答のプロパティを構成することができます。ただし、勤務時間内の転送は特に指定しなくても有効になっています。勤務時間外のオペレータ転送を UM 自動応答に対して構成することもできます。ただし、既定では、UM 自動応答の勤務時間は 1 日 24 時間です。つまり、勤務時間外や勤務時間後のオペレータ転送は利用できません。勤務時間後のオペレータ転送を構成するには、まず UM 自動応答プロパティで勤務時間スケジュールを構成する必要があります。その後で、勤務時間内または勤務時間外のオペレータ転送を有効化または無効化します。

次の図に、音声認識が有効になっていない自動応答に発信者が電話を掛けたときに使用できるオペレータ転送のオプションを示します。UM 自動応答を作成する方法の詳細については、「ユニファイド メッセージング自動応答を新しく作成する方法」を参照してください。

音声認識が有効になっていない自動応答

次の図に、音声認識が有効であるが DTMF フォールバック自動応答を使用しない UM 自動応答に発信者が電話を掛けたときに使用できるオペレータ転送オプションを示します。UM 自動応答の音声認識を有効にする方法の詳細については、「ユニファイド メッセージング自動応答の音声認識を有効にする方法」を参照してください。

DTMF フォールバックのない音声認識が有効になっている自動応答

次の図に、音声認識が有効であり、DTMF フォールバック自動応答も使用する UM 自動応答に発信者が電話を掛けたときに使用できるオペレータ転送オプションを示します。DTMF フォールバック自動応答を使用する UM 自動応答を構成する方法の詳細については、「ユニファイド メッセージング自動応答に DTMF フォールバック自動応答を構成する方法」を参照してください。

DTMF フォールバックを備えた音声認識が有効になっている自動応答

UM 自動応答は、ユニファイド メッセージングの展開中に作成および構成が可能なオプション機能ですが、単一または複数の UM 自動応答を作成して構成することに決定した場合は、十分な時間をとって綿密な計画を立てることをお勧めします。自動応答の計画を作成するときに最も重要な要因の 1 つは、発信者が確実に人間のオペレータと話せるように、または通話を適切に転送するための別の自動応答にアクセスできるようにすることです。自動応答の計画と実装が適切でなければ、発信者はシステムに不満を感じて、その結果、二度と電話を掛けてこなくなる可能性もあります。

個人オペレータ

Exchange 2007 ユニファイド メッセージングでは、UM が有効になっているユーザーのメールボックスに対して個人オペレータの内線番号を構成することができます。管理者は、UM が有効なユーザーに対して個人オペレータを構成できます。ただし、UM が有効になっているユーザー自身がこの設定を構成することはできません。仮に、UM が有効になっているユーザー自身がこの設定を構成可能ならば、自分宛ての通話をすべて、UM が有効になっている他のユーザーや有効ではない内線番号に転送することもできてしまいます。これは、通話の転送先となったユーザーにとっては、大きなフラストレーションとなる可能性があります。UM が有効になっているユーザーに連絡しようとして電話を掛けてきた発信者が、音声メッセージを残すことができず、メニュー システムの中のどこにいるかがわからなくなり、相手に連絡を取ることをあきらめてしまうという事態が発生する可能性もあります。

UM が有効なユーザーのメールボックスに対して個人オペレータ内線番号を設定する機能は、特定のユーザーへの着信呼び出しに対してボイス メールを生成する代わりに管理者アシスタントまたは個人アシスタントが応答する場合に利用できます。既定では、個人オペレータの内線番号は定義されていません。

発信者からの通話を個人オペレータに転送するには、ユーザー独自のボイス メールの案内応答が再生されている間に、発信者が電話機のキーパッドで 0 を入力する必要があります。したがって、個人オペレータを使用する場合は、ユーザー独自のボイス メールの案内応答の中で、個人オペレータにアクセスする方法を発信者に伝えることをお勧めします。

ただし、独自のボイス メール案内応答を構成していないユーザーの場合は、システムの既定の案内応答が使用され、オペレータのプロンプトが自動的に追加されます。たとえば、「トニー スミスにメッセージを残してください。管理者アシスタントと話してメッセージを残す場合は、0 を押してください」となります。案内応答の再生中に 0 を押さなかった場合、発信者はユーザー宛ての音声メッセージを残すことができます。

UM が有効なユーザーのメールボックスに対して個人オペレータ内線番号が構成されていない場合は、発信者が掛けてきた番号に応じて、UM 自動応答または UM ダイヤル プランに対して構成されているオペレータ内線番号が使用されます。発信者が自動応答の内線電話番号に電話を掛けてきたときに、UM 自動応答に対してオペレータが構成されていれば、通話はオペレータに転送されます。UM ダイヤル プランに対して構成されているサブスクライバ アクセス番号に電話を掛けてきた場合は、UM ダイヤル プランに対して構成されているオペレータ内線番号に通話が転送されます。オペレータ内線番号が構成されていない場合は、発信者とシステムとの接続が切断されます。個人オペレータを構成する方法の詳細については、「UM が有効なユーザーのために個人オペレータを構成する方法」を参照してください。

ほとんどの場合は、管理者アシスタント、受付担当者、またはオペレータの内線番号が個人オペレータとして構成されます。個人オペレータ内線番号は、1 ~ 20 桁の内線または外線の電話番号として構成します。ただし、外線番号を使用する場合は、適切なアウトダイヤル情報グループおよびこの機能を有効にするためのエントリが正しく構成されていることを確認する必要があります。アウトダイヤル エントリを構成する方法の詳細については、「ユニファイド メッセージング ダイヤル プランのダイヤル情報のエントリを作成する方法」を参照してください。

詳細情報

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。