Exchange 2007 SP1 におけるユニファイド メッセージングの新機能

 

適用先: Exchange Server 2007 SP1

トピックの最終更新日: 2008-03-18

Microsoft Exchange Server 2007 Service Pack 1 (SP1) では、ユニファイド メッセージング サーバーの役割を初めとする Exchange 2007 サーバーの役割のそれぞれに対して、多数の新しい機能が導入されています。ユニファイド メッセージングが強化され、多くの新しい機能が Exchange 2007 SP1 で追加されています。これらの機能のほとんどは、Microsoft Office Communications Server 2007 が正しく展開されていなければ利用できません。ここでは、Exchange 2007 SP1 のインストールによって追加される新しい機能と強化された機能について説明します。

Exchange 2007 SP1 に含まれている、他の Exchange 2007 サーバーの役割に対する新機能の詳細については、「Exchange Server 2007 SP1 の新機能」を参照してください。

Exchange 2007 SP1 をダウンロードするには、「Exchange Server 2007 用のダウンロード」を参照してください。

Communications Server 2007 を使用する場合の Exchange 2007 SP1 の機能

環境に Communications Server 2007 を統合する場合に Exchange 2007 SP1 の新しい機能と強化された機能を使用するには、次の要件が満たされている必要があります。

  • 組織内のすべてのユニファイド メッセージング サーバーで Exchange 2007 SP1 を実行している。
  • 組織内で Communications Server 2007 を実行している。
  • Exchange 2007 SP1 と Communications Server 2007 が正しく構成されている。

ユニファイド メッセージング環境における Exchange 2007 SP1 と Communications Server 2007 の計画と展開を適切に実行するには、『Microsoft Office Communications Server 2007 Enterprise Voice Planning and Deployment Guide』に記載されている計画と展開の手順に従ってください。このガイドは、Microsoft ダウンロード センターの Office Communications Server およびクライアントのドキュメント ロールアップのページからダウンロードできます (このサイトは英語の場合があります)。

Communications Server 2007 と Exchange 2007 ユニファイド メッセージングの展開を計画する方法の詳細については、「Exchange 2007 ユニファイド メッセージングと Office Communications Server 2007 の展開の計画」を参照してください。

Exchange 2007 ユニファイド メッセージングと Communications Server 2007 を展開する方法の詳細については、「ユニファイド メッセージングと Office Communications Server 2007 の構成」を参照してください。

Exchange 2007 SP1 と Communications Server 2007 の統合環境で使用できるユニファイド メッセージング機能の概要を次に示します。

  • サポートされる UM ダイヤル プランの種類の追加   Communications Server 2007 と相互運用するために、Exchange 2007 SP1 のユニファイド メッセージングでは、サポートされる UM ダイヤル プランの種類に SIP URI と E.164 が追加されています。これらの UM ダイヤル プランを構成するには、Exchange 管理シェルまたは Exchange 管理コンソールを使用します。Exchange 管理コンソールでは、ダイヤル プランの新規作成ウィザードを使用して SIP URI と E.164 の UM ダイヤル プランを作成します。また、Exchange 管理コンソールでは、ユーザーを有効にしてセッション開始プロトコル (SIP) URI (Uniform Resource Identifier) ダイヤル プランに関連付けた場合に、SIP URI を指定することもできます。
    Exchange 2007 ユニファイド メッセージングで使用できる UM ダイヤル プランの種類の詳細については、「ユニファイド メッセージング ダイヤル プランについて」を参照してください。

  • 内線番号解決ロジックの追加   Exchange 2007 SP1 では、内線番号解決のスコープが大幅に拡大されています。Exchange 2007 のオリジナル リリース (RTM) バージョンでは、内線番号解決のために照合されるソースは 2 つだけです。1 つは呼び出し元のユーザーと同じ UM ダイヤル プランに属する、UM が有効な他のユーザーの内線番号で、もう 1 つは呼び出し先のユーザーの連絡先一覧です。Exchange 2007 SP1 では、ユニファイド メッセージングによる内線番号解決のときに、これらのソースに加えて Active Directory フォレスト内のすべてのユーザーも照合の対象となります。
    Exchange 2007 RTM および Exchange 2007 SP1 では、ユーザーのユニファイド メッセージングが有効になっている場合、メールボックスには、内線電話番号を含む Exchange ユニファイド メッセージング プロキシ アドレス (EUM プロキシ アドレス) がスタンプされます。ユニファイド メッセージングは、グローバル アドレス一覧 (GAL) および呼び出し先の個人用連絡先で一致するものを検索して、内線電話番号をユーザーの名前に解決しようとします。一致が見つからない場合、Exchange は、不在着信用の電子メール メッセージで内線電話番号のみを使用します。次のいずれかの作業を実行して、ユニファイド メッセージングが内線番号をユーザーの名前に解決できるようにすることができます。

    • Enable-UMMailbox コマンドレットまたは Exchange 管理コンソールを使用してユーザーのユニファイド メッセージングを有効にします。ユーザーのユニファイド メッセージングを有効にする方法の詳細については、「ユーザーのユニファイド メッセージングを有効にする方法」を参照してください。
    • Set-Mailbox コマンドレットを使用して、ユーザーのセカンダリ EUM プロキシ アドレスを作成します。ユーザーのセカンダリ EUM プロキシ アドレスを作成する方法の詳細については、「UM が有効なユーザーのために内線番号を構成する方法」を参照してください。
    • 呼び出し元を Outlook で個人用連絡先として追加し、その連絡先の内線電話番号を含めます。
      Communications Server 2007 では Active Directory スキーマが拡張されており、各ユーザーの番号は E.164 形式で格納されるようになっています。固定長の着信内線番号 (長さはダイヤル プランによって定義される) と照合するには、Exchange ユニファイド メッセージング管理者が UM ダイヤル プランのプロパティの InternationalNumberFormat 属性を設定する必要があります。この属性値がプレフィックスとして着信内線番号の前に付加され、生成された番号が、Active Directory ディレクトリ サービスに E.164 形式で格納されているユーザーの番号と照合されます。
      たとえば、ユニファイド メッセージング管理者が「Redmond WA, USA」という名前の UM ダイヤル プランを作成し、InternationalNumberFormat 属性を "142570xxxxx" に設定したとします。"x" の数は内線番号の桁数によって決まります。この例の場合は 5 個です。ユニファイド メッセージング サーバーが着信呼び出しに応答するときに、この呼び出しに内線番号 12345 が指定されている場合は、この内線番号と InternationalNumberFormat 属性の値が結合されて "tel:+14257012345" という電話番号が生成されます。生成された番号が、Active Directory フォレスト内のすべてのユーザーの番号と照合されます。
    note注 :
    InternationalNumberFormat は単一値属性のため、1 つの値しか設定できません。したがって、1 つの組織で複数のプレフィックスを使用している場合でも (たとえば "14257022222" "14257133333")、照合できるプレフィックスは 1 つだけです。
  • 発信者が音声メッセージを残したときに呼び出し先の電話番号で着信転送が設定されている場合の通知   たとえば、ユーザー 1 が Microsoft Office Communicator 2007 を使用してユーザー 2 に電話を掛けますが、ユーザー 2 は呼び出しがユーザー 3 に転送されるように着信転送を設定しているとします。ユーザー 3 が応答しない場合は、呼び出しがユニファイド メッセージング サーバーに転送されます。ユニファイド メッセージング サーバーは、呼び出しに応答し、メッセージを録音します。次に、ユニファイド メッセージング サーバーは、音声メッセージの転送先を示す情報をユーザー 1 に返します。この情報が Office Communicator クライアントによって変換されて表示されるので、ユーザー 1 は、自分がユーザー 2 ではなくユーザー 3 に対してメッセージを残したことを知ります。

    note注 :
    この機能を使用できるのは、発信者が Office Communicator 2007 クライアントを電話機として使用する場合だけです。
  • Exchange ユニファイド メッセージングで原音に忠実な音声メッセージを録音するためのサポート   Exchange 2007 SP1 を Communications Server 2007 と組み合わせると、RTAudio コーデックを使用した高忠実度サウンドのサポートが追加されます。
    この機能を使用できるのは、音声呼び出しが Office Communicator 2007 を使用して開始され、音声呼び出しの受信者が Microsoft Office Outlook 2007 または Outlook Web Access 2007 を使用してメッセージを再生する場合です。高忠実度録音と再生の機能がサポートされる 2 つのシナリオを次に示します。
    シナリオ 1   ユニファイド メッセージング サーバーがサブスクライバの代わりに呼び出しに応答する。このときに、次のいずれかに該当する。

    • サブスクライバのオーディオ コーデックが WMA に設定されている。
    • サブスクライバのオーディオ コーデックが設定されておらず、サブスクライバに関連付けられている UM ダイヤル プランのオーディオ コーデックが WMA に設定されている。
      シナリオ 2   ユニファイド メッセージング サブスクライバに関連付けられている UM ダイヤル プランのオーディオ コーデックが WMA に設定されている。このサブスクライバがユニファイド メッセージングにログオンし、ディレクトリ内で呼び出し先を選択し、メッセージを残す。
      ユニファイド メッセージングで使用されるオーディオ コーデックの詳細については、「ユニファイド メッセージングのオーディオ コーデックについて」を参照してください。
  • "電話での再生" の機能を使用している呼び出しが Office Communicator 2007 で再生されるときの自動転送を禁止する   Exchange 2007 RTM では、ユニファイド メッセージングの "電話での再生" の機能を使用すると、自分への音声メッセージがあるかどうかを Outlook または Outlook Web Access で確認してメッセージを特定の電話番号に転送し、転送先の電話でメッセージを聞くことができます。Exchange 2007 SP1 を Communications Server 2007 と組み合わせて使用するときは、"電話番号での再生" に使用する番号を Microsoft Office Communicator 2007 エンドポイントにすることができます。別の電話番号への着信転送を構成している場合、"電話番号での再生" の機能を使用している呼び出しは Office Communicator 2007 エンドポイントとして構成されている "電話番号での再生" に使用する番号に送信することができ、その呼び出しは別の電話番号には転送されません。この機能により、音声メッセージが本来の受信者以外に転送されることがなくなるため、ボイス メールの保護を強化することができます。

  • Office Communicator 2007 からは PIN を入力せずに Outlook Voice Access にアクセスできる   Office Communicator 2007 にログオンしているユーザーは、Office Communicator 2007 の [ボイス メールの呼び出し] をクリックすると Outlook Voice Access に直接アクセスできます。ユーザーは Communications Server 2007 を実行しているサーバーに対して既に認証されているので、Outlook Voice Access の PIN を入力するための画面は表示されません。

    note注 :
    この機能を使用できるのは、ユーザーが Office Communicator 2007 クライアントを使用している場合だけです。
  • Office Communicator 2007 クライアントで音声メッセージに件名と優先度を付加できる   Office Communicator 2007 ユーザーが電話を掛けるときに、件名と優先度を呼び出しに付加することができます。呼び出しに件名や優先度が付加されているときは、不在着信およびボイス メールの通知用にユニファイド メッセージング サーバーが生成する電子メール メッセージにも、呼び出しの件名と優先度が引き継がれます。また、ユーザーが読んでいる電子メール メッセージから呼び出しを開始した場合に、不在着信およびボイス メールの通知用にユニファイド メッセージングが電子メール メッセージを生成するときも、元の電子メールの件名と優先度が使用されます。

  • メディア ストリームがファイアウォールを通過するためのサポート   この機能によって、ユニファイド メッセージング サーバーは、エンタープライズ ファイアウォールの外側にあるエンドポイントと通信できるようになります。VoIP メディア トラフィックが Communications Server 2007 アクセス エッジ サーバーを通過するときに、このサーバー上の A/V 認証サービスによってトラフィックの認証が行われます。この状況では、ユニファイド メッセージング サーバーに Communications Server 2007 のプールが関連付けられ、ユニファイド メッセージング サーバーは、このプールにサービスを提供している Communications Server 2007 アクセス エッジ サーバーから認証トークンを取得します。
    ユニファイド メッセージングのトラフィックがエンタープライズ ファイアウォールを通過する必要がある場合は、ユニファイド メッセージング サーバーが適切な認証トークンを取得できるようにするために、個々の Office Communications Server プールに割り当てられている Communications Server 2007 アクセス エッジ サーバーの名前をユニファイド メッセージング サーバー側で認識している必要があります。

  • 不在着信通知の電子メール メッセージと Office Communicator 2007 の統合   Exchange 2007 RTM ユニファイド メッセージング クライアントと Office Communicator 2005 クライアントが含まれる展開では、着信通知は個別に生成されます。たとえば、UM が有効になっていて Office Communicator を使用しているユーザーが呼び出しに応答できなかった場合は、ユーザーの受信トレイに 2 つの不在着信通知メッセージが生成されます。1 つは Exchange 2007 ユニファイド メッセージングからで、もう 1 つは Office Communicator 2005 からのメッセージです。Exchange 2007 SP1 と Communications Server 2007 を統合すると、Office Communicator 2007 を使用しているユーザーの受信トレイに生成される不在着信通知は 1 つだけになります。

Communications Server 2007 を使用しない場合の Exchange 2007 SP1 の機能

次に示すのは、ユニファイド メッセージング環境に Communications Server 2007 を統合しなくても利用可能な Exchange 2007 SP1 の機能です。

  • SRTP (Secure Realtime Transport Protocol) のサポート   Exchange ユニファイド メッセージングが SRTP メディア トラフィックを送受信できるようになります。SRTP のサポートを構成するには、Exchange 管理シェルまたは Exchange 管理コンソールを使用します。SRTP の構成設定は、UM ダイヤル プラン オブジェクトに格納されます。
    既定では、作成した UM ダイヤル プランの通信モードはセキュリティ保護なしモードになり、そのダイヤル プランに関連付けられているユニファイド メッセージング サーバーが IP ゲートウェイ、IP PBX、およびその他の Exchange 2007 コンピュータとの間で送受信するデータは暗号化されません。セキュリティ保護なしモードでは、リアルタイム転送プロトコル (RTP) メディア チャネルと SIP 信号情報のどちらも暗号化されません。
    他のデバイスおよびサーバーとの間で送受信される SIP および RTP のトラフィックを、相互トランスポート層セキュリティ (MTLS) を使用して暗号化するように、ユニファイド メッセージング サーバーを構成することができます。ユニファイド メッセージング サーバーを UM ダイヤル プランに追加し、セキュリティで保護された SIP モードを使用するようにダイヤル プランを構成すると、SIP 信号トラフィックだけが暗号化されます。RTP メディア チャネルでは、暗号化を行わない伝送制御プロトコル (TCP) が引き続き使用されます。ただし、ユニファイド メッセージング サーバーを UM ダイヤル プランに追加し、セキュリティで保護されたモードを使用するようにダイヤル プランを構成すれば、SIP 信号トラフィックと RTP メディア チャネルの両方が暗号化されます。SRTP を使用する、セキュリティで保護された信号メディア チャネルでも、MTLS を使用して VoIP データが暗号化されます。
    ユニファイド メッセージングでの VoIP セキュリティを構成する方法の詳細については、「ユニファイド メッセージング VoIP セキュリティについて」を参照してください。

  • トランスポート層セキュリティ (TLS) を構成するための Exchange 管理コンソールのサポート   Exchange 2007 SP1 では、UM ダイヤル プランの TLS 設定を構成できるように Exchange 管理コンソールの機能が拡張されています。TLS の構成設定は、UM ダイヤル プラン オブジェクトに格納されます。
    ユニファイド メッセージング サーバーは、ダイヤル プランがどのモードに設定されていても動作します。セキュリティで保護されていない要求を TCP ポート 5060 で受け付けると共に、セキュリティで保護されている要求を TCP ポート 5061 で受け付けるようにユニファイド メッセージング サーバーが構成されているからです。1 つのユニファイド メッセージング サーバーに複数の UM ダイヤル プランを関連付けることもできます。関連付けたダイヤル プランの VoIP セキュリティ設定がそれぞれ異なっていてもかまいません。セキュリティ保護なしモード、セキュリティで保護された SIP モード、またはセキュリティで保護されたモードの組み合わせを使用するように複数のダイヤル プランを構成して、単一のユニファイド メッセージング サーバーに関連付けることができます。
    ユニファイド メッセージングでの VoIP セキュリティの詳細については、「ユニファイド メッセージング VoIP セキュリティについて」を参照してください。

  • インバンド FAX トーンの検出   FAX トーンの検出を使用すると、IP ゲートウェイ、IP PBX、または Exchange ユニファイド メッセージングで、受信中の着信呼び出しの種類を判断できます。FAX トーンの検出は、次の 3 つの方法で動作します。

    • IP PBX または IP ゲートウェイが FAX トーンを検出し、T.38 SDP (Session Description Protocol) を使用して reinvite 要求を送信します。
    • IP PBX または IP ゲートウェイとユニファイド メッセージングの両方を使用して、FAX トーンの検出を実行できます。この方法では、IP ゲートウェイまたは IP PBX は FAX トーンを検出したときに、reinvite を送信せず、RFC 2833 で定義されているように名前付きテレフォニー イベントとして CNG トーン (アウトオブバンド) を送信します。IP PBX または IP ゲートウェイが CNG トーンを送信するとすぐに、ユニファイド メッセージング サーバーはアウトオブバンド FAX トーンの検出を実行し、T.38 SDP を使用して reinvite を送信します。
    • IP PBX または IP ゲートウェイがこれらの方法のいずれも使用しない場合は、ユニファイド メッセージングのインバンド FAX トーンの検出を有効にする必要があります。これにより、ユニファイド メッセージング サーバーは着信インバンド FAX トーンを検出できるようになります。既定では、この機能は無効になっています。ただし、FAX トーンを検出できない IP PBX または IP ゲートウェイを使用する環境ではこの機能を有効にできます。globcfg.xml ファイルの EnableInbandFaxDetection 設定を True に変更して、インバンド FAX トーンの検出を有効にします。globcfg.xml ファイルは、ユニファイド メッセージング サーバーの役割を実行しているコンピュータの \Program Files\Microsoft\Exchange\bin フォルダにあります。
      Exchange 2007 SP1 では Cisco CallManager 5.x がサポートされ、直接相互運用します。ただし、CallManager 5.x または 6.x を使用している場合、インバンド FAX トーン検出を有効にしていても、FAX の受信は正しく動作しません。この設定を有効にしない場合、ユニファイド メッセージング サーバーは IP ゲートウェイまたは IP PBX を使用して FAX トーンの検出を実行します。
  • DiffServ を使用した QoS (Quality of Service) のサポート   QoS (Quality of Service) は、ネットワーク トラフィックを費用対効果の高い方法で管理するための一連のテクノロジです。QoS のテクノロジによって、帯域幅の測定、ネットワークの状態変化の検出 (輻輳や帯域幅の可用性など)、およびトラフィックの優先度設定や調整を行うことができます。DiffServ (Differentiated Services) は、OSI モデル第 3 層でのトラフィック優先順位付けを定義するプロトコルです。DiffServ によってパケットが分類され、特定のクラスに属することを示すマークが付けられます。DiffServ は、パケットの分類、音声やビデオを含むネットワーク トラフィックの管理、および現代の IP ネットワークにおけるサービスの品質 (QoS) 保証を目的とした、シンプルで拡張性のあるメカニズムです。

    note注 :
    ルーターなどのレイヤ 3 ネットワーク デバイスが DiffServ をサポートしている必要があります。

    DiffServ はトラフィック分類の原則に基づいて動作します。つまり、個々のネットワーク データ パケットは一定数のトラフィック クラスのいずれかに属するという原則です。ただし、クラスに基づいてトラフィックを差別化するようにネットワーク上の各ルーターを構成する必要があります。各トラフィック クラスは個別に管理できるので、ネットワーク上のより優先度の高いトラフィックに高い優先度を割り当てることができます。DiffServ によるパケットのマーキングは、IP ヘッダーに記録されます。
    RFC 2475 で DiffServ のアーキテクチャが定義され、RFC 2474 でネットワーク パケット上の DiffServ フィールドのビットが定義されています。IPv4 (インターネット プロトコル Version 4) ヘッダーの TOS (Type of Service) フィールドおよび IPv6 (インターネット プロトコル Version 6) ヘッダーのトラフィック クラス フィールドが、DiffServ の値に使用されます。DiffServ フィールドの上位 6 ビットをまとめて DSCP (Differentiated Services Code Point) と呼びます。IP パケットのフィールドの 1 つである DSCP によって、ネットワーク トラフィックにさまざまなサービス レベルの 1 つを割り当てることが可能になります。この割り当ては、ネットワーク上の各パケットに DSCP コードをマーキングして、対応するサービス レベルにパケットを割り当てることによって行われます。

    note注 :
    Exchange 2007 SP1 が展開されるコンピュータで Windows Server 2008 オペレーティング システムが実行されている場合は、IP アドレスおよび IP アドレス範囲の入力を、IPv4 (インターネット プロトコル Version 4) 形式、IPv6 (インターネット プロトコル Version 6) 形式、または両方の形式で行うことができます。Windows Server 2008 の既定のインストールでは、IPv4 と IPv6 がサポートされています。Exchange 2007 SP1 での IPv6 アドレスのサポートの詳細については、「Exchange 2007 SP1 および SP2 での IPv6 サポート」を参照してください。

    Microsoft Windows Server 2003 では、QoS (Quality of Service) パケット スケジューラがインストールされていれば、TCP/IP によって DiffServ のマーキングが実行されます。ユニファイド メッセージング サーバーの役割をインストールするコンピュータで Windows Server 2003 が実行されており、QoS パケット スケジューラがインストールされている場合は、すべてのユニファイド メッセージング発信パケットに DSCP の既定値 40 (101000) が付けられます。この既定値は変更が可能です。変更する場合は、レジストリ エディタを使用するか、グループ ポリシーを変更します。
    Exchange 2007 ユニファイド メッセージング サービスがネットワーク パケットの分類を実行することはありません。ただし、ユニファイド メッセージングに含まれるメディア プラットフォームから Windows ネットワーク スタックに対して、すべてのオーディオ パケットに "保証されたサービス" のマークを付けることが指示されます。次に、オペレーティング システムは、グループ ポリシー設定を使用してデータ パケットのマーキング方法を決定し、IP ヘッダーの TOS フィールドにマークを付けます。Windows の QoS の詳細については、QoS のしくみのページを参照してください (このサイトは英語の場合があります)。
    Windows Server 2003 では、既定で QoS パケット スケジューラ コンポーネントが有効になっておらず、インストールする必要があります。QoS パケット スケジューラをインストールするには、Windows Server 2003 のネットワーク接続のプロパティで QoS パケット スケジューラをネットワーク サービスとして追加します。Windows Server 2008 では、既定で QoS パケット スケジューラがインストールされます。

詳細情報

Exchange 2007 SP1 のすべての新機能の詳細については、「Exchange Server 2007 SP1 の新機能」を参照してください。

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。