BI のテスト環境用に Excel Services の無人サービス アカウントを構成する

 

適用先: Excel Services, SharePoint Server 2010

トピックの最終更新日: 2011-09-29

重要

この記事は、「BI インフラストラクチャを構成する: 実習」シリーズの一部です。この記事の手順を実行するには、事前に以下のことを完了しておく必要があります。

Microsoft SharePoint Server 2010 の Excel Services には、ブックで外部データ ソースを更新するために Secure Store を使用する 2 つの方法が用意されています。

  • 無人サービス アカウント

  • ブックの埋め込みデータ接続

  • Office データ接続 (ODC) ファイルを使用したデータ接続

このラボでは、無人サービス アカウントを使用する方法について説明します。埋め込まれている接続を使用する方法の詳細については、「埋め込みデータ接続を使用する Excel Services データ アクセスを構成する」を参照してください。ODC ファイルを使用する方法の詳細については、「BI テスト環境で外部データ接続を使用して Excel Services のデータ アクセスを構成する」を参照してください。

無人サービス アカウントを使用するには、データへの Active Directory アカウント アクセスを構成し、このアカウントの資格情報を Secure Store に格納して、ブックのデータ更新が必要なときにこのアカウントを使用するように Excel Services を構成します。

Excel Services で無人サービス アカウントを構成するには、次の手順を実行します。

  • データ アクセス アカウントを構成する

  • Secure Store Service を構成する

  • Excel Services のグローバル設定を構成する

また、このラボでは、ContosoRetailDW データベースを使用する Microsoft Excel にサンプルのピボットテーブル レポートを作成し、ビジネス インテリジェンス センターに発行して、データ更新が動作していることを確認します。

データ アクセス アカウントを構成する

無人サービス アカウントを構成するとき、そのアカウントに、Excel Services アカウントを接続するデータ ソースへのアクセスを許可する必要があります。無人サービス アカウントには、データ アクセス用の Active Directory アカウントが必要です。データ アクセス用の Active Directory アカウントを作成する手順は次のとおりです。

データ アクセス用の Active Directory アカウントを作成するには

  1. Contoso\Administrator として Contoso-DC にログオンします。

  2. [スタート] ボタンをクリックし、[管理ツール]、[Active Directory ユーザーとコンピューター] の順にクリックします。

  3. contoso.local ノードを展開します。

  4. [ユーザー] を右クリックし、[新規作成]、[ユーザー] の順にクリックします。

  5. [フル ネーム] ボックスおよび [ユーザー ログオン名] ボックスに、「ExcelUnattended」と入力します。

  6. [次へ] をクリックします。

  7. アカウントのパスワードを入力および確認入力します。

  8. [ユーザーは次回のログオン時にパスワード変更が必要] チェック ボックスをオフにします。

  9. [パスワードを無期限にする] チェック ボックスをオンにします。

  10. [次へ] をクリックし、[完了] をクリックします。

アカウントを作成したら、次は、そのアカウントに対して、必要なデータへの読み取りアクセスを許可します。実運用のシナリオでは、Excel 2013 ブックからアクセスする必要のあるデータ ソースへのアクセスを許可します。SQL Server ログオンを作成し、そのログオンに対して、ContosoRetailDW テーブルへのデータ読み取りアクセスを許可する手順は次のとおりです。

SQL Server ログオンを作成するには

  1. Contoso\SQLAdmin として Contoso-SQL にログオンします。

  2. [スタート] ボタン、[すべてのプログラム]、[Microsoft SQL Server 2008 R2]、[SQL Server Management Studio] の順にクリックします。

  3. [サーバーへの接続] ダイアログ ボックスで、[サーバーの種類] として [データベース エンジン] を選択し、[サーバー名] ボックスに「Contoso-SQL」と入力して、[接続] をクリックします。

  4. オブジェクト エクスプローラーで、[セキュリティ] を展開します。

  5. [ログイン] を右クリックし、[新しいログイン] をクリックします。

  6. ログイン名] ボックスに「Contoso\ExcelUnattended」と入力します。

  7. [ページの選択] で、[ユーザー マッピング] をクリックします。

  8. ContosoRetailDW データベースの [マップ] チェック ボックスをオンにし、[ContosoRetailDW のデータベース ロール メンバーシップ] で [db_datareader] チェック ボックスをオンにします。

  9. [OK] をクリックします。

アカウントを作成し、適切なデータ アクセスを許可したら、次は、Secure Store Service を構成します。

Secure Store Service を構成する

Secure Store Service では、接続パラメーターと権限のあるユーザーを定義する "ターゲット アプリケーション" を使用します。一般に、無人サービス アカウントは全般的なデータ アクセス用の全対応アカウントとして使用するので、通常、ターゲット アプリケーションでは無人サービス アカウントへのアクセスをすべてのユーザーに許可します。

すべてのユーザーに対して、無人サービス アカウントを使用したデータ アクセスを許可するには、Excel Services アプリケーション プールを実行するアカウントを、Secure Store ターゲット アプリケーションのメンバーとして追加する必要があります。「BI テスト環境用に Excel Services を構成する」では、Excel Services アプリケーション プールを実行するために Contoso\ExcelAppPool アカウントを作成しました。しかし、運用環境では、このアカウントを知らない場合があるので、アプリケーション プール アカウントを確認する手順について説明します。

Excel Services アプリケーション プールに割り当てられている Windows ID を見つけるには

  1. Contoso\FarmAdmin アカウントを使用して Contoso-AppSrv にログインします。

  2. [スタート] ボタン、[すべてのプログラム]、[Microsoft SharePoint 2010 製品]、[SharePoint 2010 サーバーの全体管理] の順にクリックします。

  3. SharePoint サーバーの全体管理 Web サイトのホーム ページで、[セキュリティ] をクリックします。

  4. [セキュリティ] ページで、[一般的なセキュリティ] の [サービス アカウントの構成] をクリックします。

  5. [サービス アカウント] ページで、[資格情報の管理] セクションのドロップダウン リストから、Excel Services アプリケーションを実行するアプリケーション プール (ここでは [サービス アプリケーション プール - ExcelServicesAppPool] を選択します。

    オプションが選択されると、ドロップダウン リストの下のボックスに Excel Services アプリケーションの名前 (ここでは [Excel Service]) が表示されます。

  6. [このコンポーネントのアカウントの選択] ドロップダウン リストに Contoso\ExcelAppPool が表示されます。これは、Secure Store で無人サービス アカウントを構成するときに、[メンバー] リストに対して必要になる Windows ID です。

  7. [キャンセル] をクリックします。

Excel Services サービス アプリケーションのアプリケーション プールを実行するときに使用されるアカウントを確認したら、次は、無人サービス アカウント用のターゲット アプリケーションを Secure Store に作成します。ターゲット アプリケーションを作成する手順は次のとおりです。

無人サービス アカウント用にターゲット アプリケーションを作成するには

  1. サーバーの全体管理のホーム ページで、[アプリケーション構成の管理] の [サービス アプリケーションの管理] をクリックします。

  2. [Secure Store Service] サービス アプリケーションをクリックします。

  3. リボンの [新規] をクリックします。

  4. [ターゲット アプリケーション ID] ボックスに「ExcelServicesUnattended」と入力します。

  5. [表示名] ボックスに「ExcelServicesUnattended」と入力します。

  6. [連絡先の電子メール] ボックスに、「farmadmin@contoso.local」と入力します。

    注意

    この環境では電子メール通知を構成しませんが、[連絡先の電子メール] は必須のフィールドです。

  7. [ターゲット アプリケーションの種類] ドロップダウン リストで、[グループ] を選択します。

  8. [次へ] をクリックします。

  9. 資格情報フィールドは既定値のままにして、[次へ] をクリックします。

  10. [メンバーシップの設定を指定します] ページで、以下の操作を実行します。

    • [ターゲット アプリケーションの管理者] ボックスに、「Contoso\FarmAdmin」と入力します。

    • [メンバー] ボックスに、前の手順で確認した Excel Services アプリケーション ツール アカウント (Contoso\ExcelAppPool) を入力します。これは、ターゲット アプリケーションを使用して、無人サービス アカウントの資格情報を格納するからです。

  11. [OK] をクリックします。

ターゲット アプリケーションを作成したら、使用する資格情報を指定します。ターゲット アプリケーションには、データ アクセスが許可されている資格情報を使用します。ここでは、ContosoRetailDW データベースへの db_datareader アクセスを許可した Contoso\ExcelUnattended アカウントを使用します。

ターゲット アプリケーションの資格情報を設定する手順は次のとおりです。

ターゲット アプリケーションの資格情報を設定するには

  1. [Secure Store Service アプリケーション] ページで、[ターゲット アプリケーション ID] 列の [ExcelServicesUnattended] をポイントし、表示される矢印をクリックして、[資格情報の設定] をクリックします。

  2. [Windows ユーザー名] ボックスに「Contoso\ExcelUnattended」と入力します。

  3. Contoso\ExcelUnattended アカウントのパスワードを入力および確認入力します。

  4. [OK] をクリックします。

ターゲット アプリケーションの資格情報を設定したら、Secure Store Service の無人サービス アカウント構成は完了です。次は、この無人サービス アカウントのターゲット アプリケーションを使用するように Excel Services を構成します。

Excel Services を構成する

無人サービス アカウントの構成は、Excel Services のグローバル設定の一部です。Excel Services で無人サービス アカウントを構成する手順は次のとおりです。

Excel Services のグローバル設定を構成するには

  1. サーバーの全体管理のホーム ページで、[アプリケーション構成の管理] セクションの [サービス アプリケーションの管理] をクリックします。

  2. [サービス アプリケーションの管理] ページで、[Excel Services] をクリックします。

  3. [Excel Services の管理] ページで、[グローバル設定] をクリックします。

  4. [Excel Services の設定] ページで、[外部データ] セクションの [アプリケーション ID] ボックスに、「ExcelServicesUnattended」と入力します。

  5. [OK] をクリックします。

Excel Services のグローバル設定を構成したら、無人サービス アカウントのセットアップは完了です。次のセクションでは、外部データを使用して Excel ブックを作成し、ビジネス インテリジェンス センターの SharePoint ドキュメント ライブラリに発行します。これにより、無人サービス アカウントを使用して、データ更新をテストできます。

外部データ ソースが含まれているブックを発行する

無人サービス アカウントの構成をテストするには、まず、外部データ接続が含まれるブックを作成する必要があります。ブックを作成する手順は次のとおりです。

外部データ接続が含まれるブックを作成するには

  1. Contoso\Susan.Burk アカウントを使用して Contoso-Client にログオンします。

  2. [スタート]、[すべてのプログラム]、[Microsoft Office]、[Microsoft Excel 2010] の順にクリックします。

  3. [データ] タブの [外部データの取り込み] グループで、[その他のソース]、[SQL Server] の順にクリックします。これにより、データ接続ウィザードが起動します。このウィザードには 3 つのページが含まれています。

  4. [サーバー名] ボックスに「Contoso-SQL」と入力します。

  5. [ログオン資格情報] で [Windows 認証を使用する] オプション、[次へ] の順にクリックし、データ接続ウィザードの 2 ページに進みます。

  6. [使用するデータが含まれているデータベースを選択] セクションで [ContosoRetailDW] を選択し、[指定したテーブルに接続] セクションで [DimStore] を選択したら、[次へ] をクリックします。

  7. [データ接続ファイルを保存して終了] ページで、[完了] をクリックします。

    注意

    接続ファイルを上書きするかどうかを確認するメッセージが表示されたら、[はい] をクリックします。

  8. [データのインポート] ダイアログ ボックスで、[ピボットテーブル レポート] オプションを選択して、[OK] をクリックします。

  9. 右側のウィンドウの [ピボット テーブルのフィールド リスト] で、次の操作を行います。

    1. [SellingAreaSize] チェック ボックスをオンにします。

    2. [StoreType] チェック ボックスをオンにします。

次の手順のため、Excel ブックを開いたままにします。

これで、レポートが含まれるデータ接続されたブックが作成されました。ただし、ブックをドキュメント ライブラリに発行する前に、Excel 2013 設定を変更する必要があります。既定では、Excel 2013 設定は Windows 認証を使用するように構成されていますが、この設定は無人サービス アカウントを使用する設定としては適切でありません。作成したブックの Excel 2013 認証設定を変更する手順は次のとおりです。

Excel Services の認証設定を構成するには

  1. Excel ブックで、[データ] タブの [接続] をクリックします。

  2. [ブックの接続] ダイアログ ボックスで、[プロパティ] をクリックします。

  3. [接続のプロパティ] ダイアログ ボックスの [定義] タブで、[認証の設定] をクリックします。

  4. [Excel Services の認証の設定] ダイアログ ボックスで、[なし] オプションを選択し、[OK] をクリックします。

  5. [接続のプロパティ] ダイアログ ボックスで、[OK] をクリックします。

    注意

    外部接続ファイルへのリンクが削除されることを示す警告が表示されたら、[はい] をクリックします (Excel では接続ファイルを保存するように要求されますが、このファイルは Excel Services 認証では必要ありません)。

  6. [ブックの接続] ダイアログ ボックスで、[閉じる] をクリックします。

次の手順のため、Excel ブックを開いたままにします。

Excel Services 認証の設定が完了したので、次は、ブックをビジネス インテリジェンス センターのドキュメント ライブラリに発行し、データ更新が適切に動作していることを確認します。

ブックを SharePoint ドキュメント ライブラリに発行するには

  1. Excel ブックで、[ファイル]、[保存と送信]、[SharePoint に保存] の順にクリックします。

  2. [場所] セクションで、[場所の参照] をクリックし、[名前を付けて保存] をクリックします。

  3. [名前を付けて保存] ダイアログ ボックスで、URL ボックスに「http://Contoso-AppSrv/sites/BICenter」と入力し、Enter キーを押します。

    注意

    ファイルが更新されるまで少し時間がかかる場合があります。

  4. [ドキュメント ライブラリ] の一覧で、[ドキュメント] をダブルクリックします。

  5. [ファイル名] ボックスに「SellingAreas.xlsx」と入力します。

  6. [ブラウザー上の Excel で開く] チェック ボックスがオンになっていることを確認し、[保存] をクリックします。

ドキュメント ライブラリに保存されたライブラリは自動的にブラウザーに読み込まれます。次は、データ更新が適切に動作していることを確認します。

次のセクションの手順のため、SellingAreas.xlsx ブックが表示されているブラウザーは開いたままにしておきます。

データ更新のテスト

無人サービス アカウントでデータ更新が動作していることを確認するには、次の手順を実行します。

  • 現在、Contoso-Client のブラウザーに表示されているデータを更新します。

  • ContosoRetailDW データベースの値を変更します。

  • もう一度 Contoso-Client のブラウザーに表示されているデータを更新し、新しい情報が表示されることを確認します。

最初に、既存のデータを更新します。次の手順を使用してブラウザーでデータを更新します。

Excel Services を使用してデータ接続されたブックを更新するには

  1. ブラウザーで、[データ] ボックスの一覧の [すべての接続の更新] をクリックします。

    注意

    警告メッセージが表示された場合、[OK] をクリックします。

無人サービス アカウントが適切に構成されると、データは問題なく更新されますが、この時点ではデータ値の変更は表示されません。次は、ContosoRetailDW データベースの値を変更し、ブックに変更が表示されることを確認します。

ContosoRetailDW データベースのデータを更新するには

  1. Contoso\SQLAdmin アカウントを使用して Contoso-SQL にログオンします。

  2. [スタート] ボタン、[すべてのプログラム]、[Microsoft SQL Server 2008 R2]、[SQL Server Management Studio] の順にクリックします。

  3. [サーバーへの接続] ダイアログ ボックスで、[サーバーの種類] として [データベース エンジン] を選択し、[接続] をクリックします。

  4. ツール バーの [新しいクエリ] をクリックします。

  5. 以下のクエリをクエリ ウィンドウにコピーします。

    USE [ContosoRetailDW]
    GO
    UPDATE dbo.DimStore set dbo.DimStore.SellingAreaSize = 500 where dbo.DimStore.StoreType = 'Catalog'
    GO
    
  6. ツール バーの [実行] をクリックします。

  7. SellingArea.xlsx ブックが表示されている Contoso-Client に戻ります。

Contoso-Client 仮想マシンに戻ります。このマシンのブラウザーに SellingAreas.xlsx が表示されています。

スプレッドシートの Catalog 行に現在表示されている数値を確認します。DimStore テーブルでこの行の値を 500 に更新したので、ブックを更新すると、新しい値が表示されるはずです。ブックを更新する手順は次のとおりです。

注意

ページの期限切れを示す警告が表示された場合、[OK] をクリックして手順を再開します。

Excel Services を使用してデータ接続されたブックを更新するには

  1. ブラウザーで、[データ] ボックスの一覧の [すべての接続の更新] をクリックします。

    注意

    警告メッセージが表示された場合、[OK] をクリックします。

新しい値 500 がレポートの Catalog 行に表示されます。これにより、無人サービス アカウントを使用したデータ更新が動作していることを確認できます。

注意

ブック更新時に新しい結果が表示されるまでの時間は Excel Services のキャッシュ設定によって異なります。「BI テスト環境用に Excel Services を構成する」の実習では、このキャッシュ設定を ゼロ (0) に設定して更新が即時に行われるようにしています。実際の運用環境では、キャッシュの構成に応じて更新にかかる時間が長くなる可能性があります。