BI テスト環境用に Excel Services を構成する

 

適用先: Excel Services, SharePoint Server 2010

トピックの最終更新日: 2012-03-12

重要

この記事は、「BI インフラストラクチャを構成する: 実習」シリーズの一部です。この記事の手順を実行するには、事前に以下のことを完了しておく必要があります。

Microsoft SharePoint Server 2010 の Excel Services は、ユーザーが Microsoft Excel ブックを共有して、表示できるようにするサービス アプリケーションです。また、このサービスでは、ユーザーが各ブックで表示または操作できる範囲を管理できるように、管理者が、Microsoft SharePoint Server 2010 の権限設定を指定できます。

Excel Services の構成には、3 つの手順があります。

  • SharePoint Server 2010 ファームで Excel Services を展開する

  • 信頼できるファイル保存場所および信頼できるデータ接続ライブラリを構成する

  • Excel ブックの作成者のデータ アクセスを構成する

Excel Services を展開する

Excel Services の展開は、次の手順で構成されます。

  • Excel Services サービス アプリケーションが実行されるアプリケーション プール用の Active Directory アカウントを作成する

  • そのアカウントを SharePoint Server 2010 に管理アカウントとして登録する

  • Excel Calculation Services サービスを開始する

  • Excel Services サービス アプリケーションを作成する

Excel Services を展開するには、まず、Excel Services サービス アプリケーションのアプリケーション プールを実行するために、Active Directory ディレクトリ サービスにアカウントを作成します。アカウントを作成するには、次の手順を使用します。

アプリケーション プール用のアカウントを作成するには

  1. Contoso\administrator アカウントを使用して Contoso-DC にログオンします。

  2. Contoso-DC 仮想マシンで [スタート] ボタン、[管理ツール]、[Active Directory ユーザーとコンピューター] の順にクリックします。

  3. contoso.local ノードを展開します。

  4. [ユーザー] を右クリックし、[新規作成]、[ユーザー] の順にクリックします。

  5. [名前] ボックスと [ユーザー ログオン名] ボックスに、「ExcelAppPool」と入力します。

  6. [次へ] をクリックします。

  7. [パスワード] ボックスと [パスワードの確認入力] ボックスに、アカウントのパスワードを入力します。

  8. [ユーザーは次回のログオン時にパスワード変更が必要] チェック ボックスをオフにします。

  9. [パスワードを無期限にする] チェック ボックスをオンにします。

  10. [次へ] をクリックします。

  11. [完了] をクリックします。

  12. Contoso-DC からログオフします。

アカウントを作成した後、SharePoint Server 2010 の管理アカウントとして登録する必要があります。そうすると、サービス アプリケーションを作成するときに利用できるようになります。次の手順を使用して管理アカウントを登録します。

管理アカウントを登録するには

  1. Contoso\FarmAdmin アカウントを使用して Contoso-AppSrv にログインします。

  2. [スタート] ボタン、[すべてのプログラム]、[Microsoft SharePoint 2010 製品]、[SharePoint 2010 サーバーの全体管理] の順にクリックします。

  3. SharePoint サーバーの全体管理 Web サイト ホーム ページで、左側のナビゲーションの [セキュリティ] をクリックします。

  4. [セキュリティ] ページの [一般的なセキュリティ] セクションで、[管理アカウントの構成] をクリックします。

  5. [管理アカウント] ページで、[管理アカウントの登録] をクリックします。

  6. [ユーザー名] ボックスに「Contoso\ExcelAppPool」と入力します。

  7. [パスワード] ボックスに、Contoso\ExcelAppPool アカウントのパスワードを入力します。

  8. [OK] をクリックします。

既定では、アプリケーション プール アカウントは、SharePoint コンテンツ データベースにアクセスできません。Excel Services は、このデータベースにアクセスする必要があります。アプリケーション プール アカウントがデータベースにアクセスできるようにするには、次の手順を使用します。

管理アカウントにコンテンツ データベースへのアクセス権を付与するには

  1. Contoso-AppSrv で [スタート] ボタンをクリックし、[すべてのプログラム] をクリックします。次に、[Microsoft SharePoint 2010 製品] をクリックし、[SharePoint 2010 管理シェル] を右クリックしてから、[管理者として実行] をクリックします。

  2. Windows PowerShell のコマンド プロンプトで、次のとおりに入力します (1 行ごとに Enter キーを押します)。

    $w = Get-SPWebApplication -identity http://contoso-appsrv
    $w.GrantAccessToProcessIdentity("Contoso\ExcelAppPool")
    

アプリケーション プール アカウントにデータベースへのアクセス権が付与されたら、Excel Calculation Services を開始する必要があります。これは、Excel Services に関連するすべての処理およびアクティビティを実行する SharePoint Server 2010 のサービスです。

少なくとも 1 つのアプリケーション サーバー上でこのサービスを開始する必要があります。運用環境では、容量の要件によって、サービスを実行するサーバーを 1 つまたは複数選びます。

以下の手順で Excel Calculation Services サービスを開始します。

Excel Calculation Services サービスを開始するには

  1. [サーバーの全体管理] のホーム ページの [システム設定] セクションで、[サーバーのサービスの管理] をクリックします。

  2. [サービス] ボックスの上にある [サーバー] ボックスの一覧の [サーバーの変更] をクリックします。

    アプリケーション サーバー Contoso-AppSrv が Contoso-SQL と共に一覧に表示されることに注意してください。アプリケーション サーバーが複数存在するファームでは、このダイアログ ボックスを使用して Secure Store Service を実行するサーバーを選択した後、この記事で後に示す手順でサービスを開始します。

  3. CONTOSO-APPSRV をクリックします。

  4. [サービス] の一覧で、[Excel Calculation Services] の横にある [開始] をクリックします。

サービスを開始した後で、Excel Services サービス アプリケーションを作成する必要があります。サービス アプリケーションを作成するには、次の手順を使用します。

Excel Services サービス アプリケーションを作成するには

  1. サーバーの全体管理のホーム ページで、[アプリケーション構成の管理] の [サービス アプリケーションの管理] をクリックします。

  2. [サービス アプリケーションの管理] ページで、[新規] をクリックして、[Excel Services アプリケーション] をクリックします。

  3. [名前] セクションのテキスト ボックスに「Excel Services」と入力します。

  4. [新しいアプリケーション プールを作成する] オプションを選択し、テキストボックスに「ExcelServicesAppPool」と入力します。

  5. [構成可能] オプションを選択し、ドロップダウン リストから [CONTOSO\excelapppool] を選択します。

  6. [OK] をクリックします。

信頼できるファイル保存場所および信頼できるデータ接続ライブラリを構成する

テスト環境用にビジネス インテリジェンス センターを構成する」で、ドキュメント ライブラリとデータ接続ライブラリを含むビジネス インテリジェンス センターを作成しました。データ アクセスが機能するには、Excel Services がこれらのライブラリを信頼するように構成する必要があります。

ビジネス インテリジェンス センターのドキュメント ライブラリで信頼できるファイル保存場所を作成するには、以下の手順を使用します。

信頼できるファイル保存場所を作成するには

  1. サーバーの全体管理のホーム ページで、[アプリケーション構成の管理] の [サービス アプリケーションの管理] をクリックします。

  2. サービス アプリケーションの一覧から [Excel Services] をクリックします。

  3. [信頼できるファイル保存場所] をクリックします。

  4. [信頼できるファイル保存場所] ページで、[信頼できるファイル保存場所の追加] をクリックします。

  5. [場所] セクションで以下の操作をします。

    1. [アドレス] テキスト ボックスで「http://Contoso-AppSrv/sites/BICenter/Documents」と入力します。

    2. [子の信頼] チェック ボックスをオンにします。

  6. [外部データ] セクションで、次の操作を実行します。

    1. [外部データの許可] で、[信頼できるデータ接続ライブラリと、埋め込まれている接続] オプションを選択します。

    2. [自動更新] および [手動更新] テキスト ボックスで、「0」と入力します。

      注意

      運用環境では、一般的に、これらの値を 0 には設定しません (キャッシュ値に 0 を設定すると、サーバーで追加のリソースが使用されます)。しかし、この一連の実習では、データ接続されたブックのデータ更新をテストすることから、キャッシュ設定を 0 に設定することで、データ更新の結果をすぐに参照できます。

  7. [OK] をクリックします。

信頼できるファイル保存場所を作成されたので、次に、埋め込みデータ接続を持つデータ接続されたブックを発行できます。しかし、Excel Services が、外部データ接続を含む、データ接続されたブックを正常に表示するには、信頼できるデータ接続ライブラリを作成する必要があります。

信頼できるデータ接続ライブラリを作成するには

  1. サーバーの全体管理のホーム ページで、[アプリケーション構成の管理] セクションの [サービス アプリケーションの管理] をクリックします。

  2. サービス アプリケーションの一覧から [Excel Services] をクリックします。

  3. [信頼できるデータ接続ライブラリ] をクリックします。

  4. [信頼できるデータ接続ライブラリ] ページで、[信頼できるデータ接続ライブラリの追加] をクリックします。

  5. [アドレス] ボックスで、「http://Contoso-AppSrv/sites/BICenter/Data%20Connections%20for%20PerformancePoint」と入力します。

  6. [OK] をクリックします。

ここまでのすべての手順を完了すると、Excel Services の構成は完了します。次の手順は、データ接続された Excel ブックを作成するユーザーのデータ アクセスを構成することです。

Excel クライアント データ アクセスを構成する

次の Excel Services 実習では、Secure Store Service を使用した Excel ブックのデータ更新を構成します。ただし、Excel Services および Excel クライアント アプリケーションでは、データ ソースで認証する方法が異なることに注意してください。

Excel Services では、データ接続されたブックを表示するときに、Secure Store Service を使用してデータ ソースで認証できますが、Microsoft Excel は、データ認証に Secure Store Service は使用しません。Excel では、ブックから外部データにアクセスするには、ブック作成者が直接的なデータベース アクセスを持つ必要があります。

この場合は、ブック作成者を含む Active Directory グループを作成し、その Active Directory グループ用に SQL Server のログオンを作成します。次に、以降の Excel Services 実習で使用する ContosoRetailDW データベースへの db_datareader アクセスを、このグループに与えます。

Active Directory グループを作成するには

  1. Contoso\administrator アカウントを使用して Contoso-DC にログオンします。

  2. Contoso-DC 仮想マシンで [スタート] ボタン、[管理ツール]、[Active Directory ユーザーとコンピューター] の順にクリックします。

  3. contoso.local ノードを展開します。

  4. [ユーザー] を右クリックし、[新規作成]、[グループ] の順にクリックします。

  5. [グループ名] ボックスに「ExcelWorkbookAuthors」と入力し、[OK] をクリックします。

次に、ユーザーをグループに追加する必要があります。ここでは、Susan Burk というユーザーをグループに追加します。Susan Burk は、以降の Excel Services 実習で、データ接続されたブックを発行する対象の、ビジネス インテリジェンス センターに対して投稿できるアクセス権限を持っているからです。

注意

この実習のグループには 1 人のユーザーを追加するだけですが、実稼働環境のシナリオではグループにすべてのブック作成者を追加します (グループを使用することで、各ユーザーに個別のログオンを追加するより管理が簡単になります)。運用環境でデータが構成される方法によっては、異なる一連のユーザーが異なるデータベースにアクセスする必要がある場合、複数のグループを使用する必要がある場合があります。

ExcelWorkbookAuthors Active Directory グループを作成するには

  1. [Active Directory ユーザーとコンピューター] で [ExcelWorkbookAuthors] グループをダブルクリックします。

  2. [メンバー] タブで [追加] をクリックします。

  3. [選択するオブジェクト名を入力してください] ボックスに「Contoso\Susan.Burk」と入力して [OK] をクリックします。

  4. [メンバー] リストに [Susan Burk] が表示されることを確認して [OK] をクリックします。

これで Susan Burk というアカウントが ExcelWorkbookAuthors というグループに追加されました。次の手順では、このグループの SQL Server ログオンを作成して、ContosoRetailDW データベースへのログオン読み取りアクセスを与えます。

SQL Server ログオンを作成するには

  1. Contoso\SQLAdmin アカウントを使用して Contoso-SQL にログオンします。

  2. [スタート] ボタン、[すべてのプログラム]、[Microsoft SQL Server 2008 R2]、[SQL Server Management Studio] の順にクリックします。

  3. [データベース エンジン] に接続します。

  4. [セキュリティ] ノードを展開します。

  5. [ログイン] を右クリックし、[新しいログイン] をクリックします。

  6. [ログイン - 新規作成] ページで、[検索] をクリックします。

  7. [ユーザーまたはグループの選択] ダイアログ ボックスで [オブジェクトの種類] をクリックします。

  8. [オブジェクトの種類] ダイアログ ボックスで、[グループ] チェック ボックスをオンにして [OK] をクリックします。

  9. [ユーザーあるいはグループを選択] ダイアログ ボックスで、[選択するオブジェクト名を入力してください] ボックスに、「Contoso\ExcelWorkbookAuthors」と入力して、[OK] をクリックします。

  10. 左側のウィンドウで、[ユーザー マッピング] をクリックします。

  11. [このログインにマップされたユーザー] で、[ContosoRetailDW] データベースの [マップ] チェック ボックスをオンにします。

  12. [ContosoRetailDW のデータベース ロール メンバーシップ] の、[db_datareader] チェック ボックスをオンにします。

  13. [OK] をクリックします。

上記の手順をすべて完了すると、Excel Services は使用できるようになります。次は、データ ソースにセキュリティ アクセスを構成します。次のラボは、Secure Store Service を使用してセキュリティ アクセスを構成する方法について説明します。