BI テスト環境で外部データ接続を使用して Excel Services のデータ アクセスを構成する

 

適用先: Excel Services, SharePoint Server 2010

トピックの最終更新日: 2011-05-20

重要

この記事は、「BI インフラストラクチャを構成する: 実習」シリーズの一部です。この記事の手順を実行するには、事前に以下のことを完了しておく必要があります。

Microsoft SharePoint Server 2010 の Excel Services には、ブックで外部データ ソースを更新するために Secure Store を使用する 2 つの方法が用意されています。

  • 無人サービス アカウント

  • ブックの埋め込みデータ接続

  • Office データ接続 (ODC) ファイルを使用したデータ接続

このラボでは、Office データ接続ファイルを使用する方法について説明します。埋め込まれている接続を使用する方法の詳細については、「埋め込みデータ接続を使用する Excel Services データ アクセスを構成する」を参照してください。無人サービス アカウント使用する方法の詳細については、「BI のテスト環境用に Excel Services の無人サービス アカウントを構成する」を参照してください。

このラボでは、Microsoft SQL Server 2008 R2 への外部データ接続を使用するピボットテーブル レポートを Microsoft Excel 2010 で作成し、そのピボットテーブル レポートを Microsoft SharePoint Server 2010 に保存する方法、およびデータ更新が正しく動作しているかを確認する方法について説明します。

データ アクセス アカウントを構成する

Secure Store を使用したデータ アクセスを構成するときは、Excel Services ブックの接続先のデータ ソースに対するアカウント アクセスを許可する必要があります。このラボでは、SharePoint ドキュメント ライブラリに発行するデータ接続されたブックで使用できる、Contoso データベースのサンプル データを引き続き使用します。

データ アクセス用の Active Directory アカウントを作成するには

  1. Contoso\Administrator として Contoso-DC にログオンします。

  2. [スタート] ボタンをクリックし、[管理ツール]、[Active Directory ユーザーとコンピューター] の順にクリックします。

  3. contoso.local ノードを展開します。

  4. [ユーザー] を右クリックし、[新規作成]、[ユーザー] の順にクリックします。

  5. [フル ネーム] ボックスおよび [ユーザー ログオン名] ボックスに、「ExcelODCAccess」と入力します。

  6. [次へ] をクリックします。

  7. アカウントのパスワードを入力および確認入力します。

  8. [ユーザーは次回のログオン時にパスワード変更が必要] チェック ボックスをオフにします。

  9. [パスワードを無期限にする] チェック ボックスをオンにします。

  10. [次へ] をクリックし、[完了] をクリックします。

アカウントを作成したら、次は、そのアカウントに対して、必要なデータへの読み取りアクセスを許可します。実運用のシナリオでは、Excel Services ブックからアクセスする必要のあるデータ ソースへのアクセスを許可します。このラボでは、ContosoRetailDW データベースへのアクセスを許可します。SQL Server ログオンを作成し、そのログオンに対して、データベースへのデータ読み取りアクセスを許可する手順は次のとおりです。

SQL Server ログオンを作成するには

  1. Contoso\SQLAdmin として Contoso-SQL にログオンします。

  2. [スタート] ボタン、[すべてのプログラム]、[Microsoft SQL Server 2008 R2]、[SQL Server Management Studio] の順にクリックします。

  3. [サーバーへの接続] ダイアログ ボックスで、[サーバーの種類] として [データベース エンジン] を選択し、[サーバー名] ボックスに「Contoso-SQL」と入力して、[接続] をクリックします。

  4. オブジェクト エクスプローラーで、[セキュリティ] を展開します。

  5. [ログイン] を右クリックし、[新しいログイン] をクリックします。

  6. ログイン名] ボックスに「Contoso\ExcelODCAccess」と入力します。

  7. [ページの選択] で、[ユーザー マッピング] をクリックします。

  8. ContosoRetailDW データベースの [マップ] チェック ボックスをオンにし、[ContosoRetailDW のデータベース ロール メンバーシップ] で [db_datareader] チェック ボックスをオンにします。

  9. [OK] をクリックします。

Secure Store を構成する

このラボ シリーズの記事「BI テスト環境用に Secure Store Service を構成する」で Secure Store Service を構成したので、次は一連の手順に従って、Excel Services のターゲット アプリケーションを作成する必要があります。以下の手順では、仮想ネットワークで Active Directory グループを作成する方法、Secure Store でターゲット アプリケーションを作成する方法、そして最後に資格情報をこのターゲット アプリケーションに割り当てる方法について説明します。

Secure Store のターゲット アプリケーションでは、特定のユーザー グループを前のセクションで作成した Contoso\ExcelODCAccess アカウントにマップします。これらのユーザーはこのアカウントに直接アクセスできませんが、Excel Services では、ユーザーに代わってこのアカウントを使用し、データ接続されたブックを更新します。

ユーザーを個別に管理すると複雑になります。これを避けるため、Active Directory グループを作成し、このグループにユーザーを追加します。

ユーザー データ アクセス用の Active Directory グループを作成するには

  1. Contoso\Administrator として Contoso-DC にログオンします。

  2. [スタート] ボタンをクリックし、[管理ツール]、[Active Directory ユーザーとコンピューター] の順にクリックします。

  3. contoso.local ノードを展開します。

  4. [ユーザー] を右クリックし、[新規作成]、[グループ] の順にクリックします。

  5. [グループ名] ボックスに「ExcelODCAccessGroup」と入力します。

  6. [OK] をクリックします。

Active Directory でグループ アカウントを作成したら、Secure Store を使用したデータ アクセスを許可するユーザー アカウントをグループに追加する必要があります。これを行う手順は次のとおりです。

データ アクセス グループを設定するには

  1. [Active Directory ユーザーとコンピューター] のユーザー リストで、ExcelODCAccessGroup グループをダブルクリックします。

  2. [メンバー] タブで [追加] をクリックします。

  3. [ユーザーの選択] ダイアログ ボックスで、「Contoso\susan.burk; Contoso\john.woods」と入力し、[OK] をクリックします。

  4. [メンバー] タブに、グループのメンバーとして Susan Burk と John Woods が表示されます。

  5. [OK] をクリックします。

データ アクセス用の Active Directory アカウントを作成したので、これで Office データ接続 (ODC) で使用できる Excel Services のターゲット アプリケーションを作成できます。ターゲット アプリケーションを作成および構成する手順は次のとおりです。

ターゲット アプリケーションを作成するには

  1. Contoso\FarmAdmin アカウントを使用して Contoso-AppSrv にログインします。

  2. [スタート] ボタン、[すべてのプログラム]、[Microsoft SharePoint 2010 製品]、[SharePoint 2010 サーバーの全体管理] の順にクリックします。

  3. SharePoint サーバーの全体管理 Web サイトのホーム ページで、[アプリケーション構成の管理] セクションの [サービス アプリケーションの管理] をクリックします。

  4. [Secure Store Service] サービス アプリケーションをクリックします。

  5. リボンの [新規] をクリックします。

  6. [ターゲット アプリケーション ID] ボックスに「ExcelServicesODC」と入力します。

  7. [表示名] ボックスに「ExcelServicesODC」と入力します。

  8. [連絡先の電子メール] ボックスに、「farmadmin@contoso.local」と入力します。

    注意

    この環境では電子メール通知を構成しませんが、[連絡先の電子メール] は必須のフィールドです。

  9. [ターゲット アプリケーションの種類] ドロップダウン リストで、[グループ] を選択します。

  10. [次へ] をクリックします。

  11. 資格情報フィールドは既定値のままにして、[次へ] をクリックします。

  12. [メンバーシップの設定を指定します] ページで、以下の操作を実行します。

    • [ターゲット アプリケーションの管理者] ボックスに、「Contoso\FarmAdmin」と入力します。

    • [メンバー] ボックスに、「Contoso\ExcelODCAccessGroup」と入力します。

    • [OK] をクリックします。

ターゲット アプリケーションを作成したら、次は、作成したデータ アクセス アカウント (Contoso\ExcelODCAccess) をそのターゲット アプリケーションに関連付けます。ターゲット アプリケーションの資格情報を設定する手順は次のとおりです。

ターゲット アプリケーションの資格情報を設定するには

  1. [Secure Store Service アプリケーション] ページで、[ターゲット アプリケーション ID] 列の [ExcelServicesODC] をポイントし、表示される矢印をクリックして、[資格情報の設定] をクリックします。

  2. [Windows ユーザー名] ボックスに「Contoso\ExcelODCAccess」と入力します。

  3. Contoso\ExcelODCAccess アカウントのパスワードを入力および確認入力します。

  4. [OK] をクリックします。

ODC ファイルを作成して発行する

Secure Store を構成したので、次は、ODC ファイルを作成し、信頼できるデータ接続ライブラリにそのファイルを発行します。ContosoRetailDW データベースに接続された ODC ファイルを作成する手順は次のとおりです。

ODC ファイルを作成して発行するには

  1. Contoso\Susan.Burk アカウントを使用して Contoso-Client 仮想マシンにログオンします。

  2. [スタート]、[すべてのプログラム]、[Microsoft Office]、[Microsoft Excel 2010] の順にクリックします。

  3. [データ] タブで、[その他のデータ ソース]、[SQL Server] の順にクリックします。

  4. データ接続ウィザードの [データベース サーバーに接続] ページで、[サーバー名] ボックスに「Contoso-SQL」と入力し、[次へ] をクリックします。

  5. [データベースとテーブルの選択] ページで、ドロップダウン リストから [ContosoRetailDW] を選択します。

  6. テーブルのリストで [DimProduct] を選択し、[次へ] をクリックします。

  7. [完了] をクリックします。

    注意

    ローカル ディスクで ODC ファイルを上書きするかどうかを確認するメッセージが表示されたら、[はい] をクリックします。

  8. [データのインポート] ダイアログ ボックスで、[ピボットテーブル レポート] オプションを選択して、[OK] をクリックします。

  9. [データ] タブで [接続] をクリックします。

  10. [ブックの接続] ダイアログ ボックスで、[プロパティ] をクリックします。

  11. [接続のプロパティ] ダイアログ ボックスの [定義] タブで、[認証の設定] をクリックします。

  12. [Excel Services の認証の設定] ダイアログ ボックスで [SSS] オプションを選択し、[SSS ID] ボックスに「ExcelServicesODC」と入力して、[OK] をクリックします。

  13. [接続のプロパティ] ダイアログ ボックスで、[接続ファイルのエクスポート] をクリックします。

  14. [ファイルの保存] ダイアログ ボックスで、URL ボックスに「http://Contoso-AppSrv/sites/BICenter」と入力し、Enter キーを押します。

    注意

    BI センターからのコンテンツでリストを更新する場合は、少し時間がかかる場合があります。

  15. [すべてのサイト コンテンツ] ボックスの一覧で、[データ接続] をダブルクリックします。

  16. [ファイル名] ボックスに「DimProductTable」と入力し、[保存] をクリックします。

  17. [データ接続] ダイアログ ボックスで、[コンテンツ タイプ] ドロップダウン リストから [Office データ接続ファイル] を選択し、[OK] をクリックします。

  18. [接続のプロパティ] ダイアログ ボックスで [OK] をクリックし、[ブックの接続] ダイアログ ボックスで [閉じる] をクリックします。

  19. Microsoft Excel を終了します。

    注意

    ブックを保存する必要はありません。

次の手順のため、Susan Burk として Contoso-Client にログオンしたままにしておきます。

これで、ContosoRetailDW データベースの DimProduct テーブルへのデータ接続が含まれ、Secure Store で ExcelServicesODC ターゲット アプリケーションを使用して認証を行う ODC ファイルを適切に発行できました。

データ更新のテスト

このセクションでは、データ接続のために以前に発行した DimProductTable.odc ファイルが使用されている、データ接続された Excel ブックを発行し、以前構成した内容をテストします。ピボット テーブルを作成して発行する手順は次のとおりです。

ピボット テーブルを作成して発行するには

  1. Contoso-Client で [スタート] ボタンをクリックし、[すべてのプログラム]、[Microsoft Office]、[Microsoft Excel 2010] の順にクリックします。

  2. [データ] タブで [既存の接続] をクリックします。

  3. [既存の接続] ダイアログ ボックスで、[参照] をクリックします。

  4. [データ ソースの選択] ダイアログ ボックスで、[URL] ボックスに「type http://Contoso-AppSrv/sites/BICenter」と入力し、Enter キーを押します。

    注意

    BI センターからのコンテンツでリストを更新する場合は、少し時間がかかる場合があります。

  5. [すべてのサイト コンテンツ] ボックスの一覧で、[データ接続] をダブルクリックします。

  6. [データ接続] の一覧で [DimProductTable] を選択し、[開く] をクリックします。

  7. [データのインポート] ダイアログ ボックスで、[ピボットテーブル レポート] オプションを選択して、[OK] をクリックします。

  8. [ピボット テーブルのフィールド リスト] で次の操作を行います。

    1. [Manufacturer] を [行ラベル] ボックスにドラッグします。

    2. [ProductName] を [] ボックスにドラッグします。

  9. [ファイル]、[保存と送信]、[SharePoint に保存]、[場所の参照]、[名前を付けて保存] の順にクリックします。

  10. [名前を付けて保存] ダイアログ ボックスで、URL ボックスに「http://Contoso-AppSrv/sites/BICenter」と入力し、Enter キーを押します。

    注意

    BI センターからのコンテンツでリストを更新する場合は、少し時間がかかる場合があります。

  11. [すべてのサイト コンテンツ] ボックスの一覧で、[ドキュメント] をダブルクリックします。

  12. [ファイル名] ボックスに「ProductsPerVendor.xlsx」と入力します。

  13. [ブラウザー上の Excel で開く] チェック ボックスがオンになっていることを確認し、[保存] をクリックします。

ブックがブラウザーにレンダリングされます。次の手順のため、ブラウザーは開いたままにしておきます。

ODC ファイルおよび Secure Store を使用してデータ更新が動作していることを確認するには、次の手順を実行します。

  • 現在、Contoso-Client のブラウザーに表示されているデータを更新します。

  • ContosoRetailDW データベースの値を変更します。

  • もう一度 Contoso-Client のブラウザーに表示されているデータを更新し、新しい情報が表示されることを確認します。

最初に、既存のデータを更新します。次の手順を使用してブラウザーでデータを更新します。

Excel Services を使用してデータ接続されたブックを更新するには

  1. ブラウザーで、[データ] ボックスの一覧の [すべての接続の更新] をクリックします。

    注意

    警告メッセージが表示された場合、[OK] をクリックします。

すべてが適切に構成されると、データは問題なく更新されますが、この時点では値の変更は表示されません。次は、ContosoRetailDW データベースの値を変更し、ブックに変更が表示されることを確認します。

ContosoRetailDW データベースのデータを更新するには

  1. Contoso\SQLAdmin アカウントを使用して Contoso-SQL にログオンします。

  2. [スタート] ボタン、[すべてのプログラム]、[Microsoft SQL Server 2008 R2]、[SQL Server Management Studio] の順にクリックします。

  3. [サーバーへの接続] ダイアログ ボックスで、[サーバーの種類] として [データベース エンジン] を選択し、[接続] をクリックします。

  4. ツール バーの [新しいクエリ] をクリックします。

  5. 以下のクエリをクエリ ウィンドウにコピーします。

    USE [ContosoRetailDW]
    GO
    UPDATE dbo.DimProduct set dbo.DimProduct.Manufacturer = 'Contoso, Ltd' where dbo.DimProduct.Manufacturer = 'Northwind Traders'
    GO
    
  6. ツール バーの [実行] をクリックします。

    注意

    クエリの実行後、[メッセージ] ウィンドウに [(47 行処理されました)] と表示されます。

Contoso-Client 仮想マシンに戻ります。このマシンのブラウザーに ProductPerVendor.xlsx が表示されています。

スプレッド シートに現在表示されている Northwind Traders 製品の数は 47 で、Contoso, Ltd 製品の数は 710 です。DimManufacturer テーブルですべての製品を Northwind Traders から Contoso, Ltd に変更したので、ブックを更新すると、新しい値が表示されるはずです。ブックを更新する手順は次のとおりです。

注意

ページの期限切れを示す警告が表示された場合、[OK] をクリックして手順を再開します。

Excel Services を使用してデータ接続されたブックを更新するには

  1. ブラウザーで、[データ] ボックスの一覧の [すべての接続の更新] をクリックします。

    注意

    警告メッセージが表示された場合、[OK] をクリックします。

レポートから Northwind Traders がなくなり、Contoso, Ltd 製品の数が 710 から 757 に変更されていることがわかります。これにより、ODC ファイルおよび Secure Store を使用したデータ更新が動作していることを確認できます。

注意

ブック更新時に新しい結果が表示されるまでの時間は Excel Services のキャッシュ設定によって異なります。「BI テスト環境用に Excel Services を構成する」の実習では、このキャッシュ設定を ゼロ (0) に設定して更新が即時に行われるようにしています。実際の運用環境では、キャッシュの構成に応じて更新にかかる時間が長くなる可能性があります。