SQL Server 2008 でのデータ変換サービス (DTS) のサポート
SQL Server 2000 データ変換サービス (DTS) は非推奨ですが、SQL Server 2008 には、DTS ツールおよびオブジェクト モデルを使用して作成されたパッケージに対する 32 ビットの管理サポート、ランタイム サポート、およびデザイン時サポートがオプションで用意されています (DTS の非推奨については、「データ変換サービス (DTS)」を参照してください)。
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このトピックで説明する機能 (DTS パッケージのランタイム サポートを含む) を使用するには、セットアップ時には利用できないオプションのコンポーネントを手動でインストールする必要があります。詳細については、このトピックの後半の「DTS パッケージのランタイム サポートのインストール」および「DTS パッケージのデザイン時サポートのインストール」を参照してください。 |
すべての DTS 機能があらゆる状況でサポートされるわけではないことに注意してください。以下のセクションでは、SQL Server 2008 で実際にサポートされる DTS 機能について説明します。
64 ビット オペレーティング システム上での DTS 機能の制限
SQL Server 2008 には、以下の状況での DTS 機能のサポートは含まれていません。
DTS パッケージの 64 ビット デザイン時サポートまたはランタイム サポートはありません。64 ビット コンピューターでは、DTS パッケージ、および DTS パッケージを実行する Integration Services パッケージは、32 ビット モードでのみ実行できます。 詳細については、「データ変換サービス パッケージのサポートをインストールする方法」を参照してください。
Itanium ベースのオペレーティング システムでは、DTS パッケージの 32 ビット デザイン時サポートまたはランタイム サポートもありません。このため、Itanium ベースのオペレーティング システムでは、DTS パッケージを作成、表示、変更、または実行することができません。
サポートされている DTS 機能
SQL Server 2008 には、以下の DTS 機能のサポートが含まれています。
DTS ランタイム、DTS ランタイムが公開するオブジェクト モデル、および dtsrun.exe コマンド プロンプト ユーティリティ
Integration Services パッケージ内で DTS パッケージを実行するための DTS 2000 パッケージ実行タスク
旧バージョンとの互換性のみを目的とした ActiveX スクリプト タスク
DTS パッケージを Integration Services パッケージ形式に移行するための DTS パッケージ移行ウィザード
パッケージの移行時に発生する可能性のある問題を特定するための、DTS パッケージ用のアップグレード アドバイザーのルール
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インストールで [Integration Services] を選択すると、DTS 2000 パッケージ実行タスク、ActiveX スクリプト タスク、および DTS パッケージ移行ウィザードがインストールされます。ただし、これらのコンポーネントが完全に機能するには、セットアップ時には利用できないオプションのコンポーネントを手動でインストールする必要があります。詳細については、このトピックの後半の「DTS パッケージのランタイム サポートのインストール」を参照してください。 |
このトピックの残りの部分では、SQL Server 2008 がサポートする DTS 機能について、さらに詳しく説明します。次のリンクから、トピックの内容にすばやく移動できます。
一般情報
DTS と SSIS の全般的な互換性
DTS パッケージの管理
DTS パッケージのデザインと実行
DTS パッケージのランタイム サポートのインストール
コマンド プロンプトからの DTS パッケージの実行
SQL Server エージェント ジョブからの DTS パッケージの実行
Integration Services パッケージからの DTS パッケージの実行
DTS パッケージのデザイン時サポートのインストール
DTS パッケージの移行
DTS パッケージの移行
dtsrun コマンドから dtexec コマンドへの移行
制限付きサポート
ODBC データ ソースのサポート
リポジトリ パッケージのサポート
SQL Server Express における DTS パッケージのサポート
DTS と Integration Services の全般的な互換性
DTS と Integration Services はまったく異なる製品です。Integration Services は、DTS からのバージョン アップグレードではありません。したがって、DTS と Integration Services の間ではソフトウェアの競合が発生しません。 以下のことが可能です。
同じサーバーに DTS と Integration Services の両方をインストールできます。
DTS と Integration Services パッケージの両方を同じサーバー上で実行できます。SQL Server 2000 ツールがサーバー上になくても、Integration Services と共にインストールされる DTS ランタイムの更新バージョンを使用して、DTS パッケージを実行できます。
SQL Server 2000 のインスタンスまたは SQL Server 2005 以降のバージョンを実行しているインスタンスの msdb データベースに、DTS パッケージを保存できます。 ただし、SQL Server 2008Integration Services パッケージは、SQL Server 2008 を実行しているインスタンスにのみ保存できます。
SQL Server 2000 ツールがコンピューターになくても、DTS デザイナーのオプションのダウンロードを使用して DTS パッケージを変更できます。ただし、Business Intelligence Development Studio で DTS パッケージを直接開いたり変更したりすることはできません。
注意 DTS デザイナーの更新バージョンをダウンロードする方法については、「SQL Server 2000 DTS パッケージのデザイン時サポートのインストール」のセクションを参照してください。
SQL Server の既存のインスタンスを SQL Server 2008 にアップグレードしても、msdb データベース内の DTS が使用するシステム テーブル (sysdtspackages など) は、元の状態のまま残ります。DTS パッケージは自動的に移行されません。パッケージの移行方法については、「DTS パッケージの移行」を参照してください。
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DTS パッケージの管理
「DTS パッケージのランタイム サポートのインストール」の説明に従ってオプションの DTS ランタイム サポートをインストールすると、SQL Server Management Studio から DTS パッケージを管理できます。 DTS パッケージは、SQL Server 2000 のインスタンスに保存するか、または SQL Server 2005 以降のバージョンを実行するインスタンスにインポートして保存できます。
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DTS パッケージのセキュリティを確保する方法の詳細については、「SQL Server に格納されている DTS パッケージのセキュリティ保護」を参照してください。 |
Management Studio で DTS パッケージを表示するには、まず SQL Server のインスタンスに接続します (Integration Services のインスタンスには接続しないでください)。次に、オブジェクト ブラウザーで [管理]、[レガシ]、[データ変換サービス] の順にノードを展開すると、次のタスクを実行できます。
Management Studio で [データ変換サービス] ノードを選択した場合は、パッケージを表示したり開いたり、構造化ストレージ ファイルから SQL Server にパッケージをインポートしたり、DTS パッケージ移行ウィザードを起動したりできます。
Management Studio で個別に DTS パッケージを選択した場合は、そのパッケージを開いて変更したり、移行、構造化ストレージ ファイルへのエクスポート、または削除を行ったりできます。
注意 DTS パッケージを開く、または変更するには、DTS デザイナー コンポーネントを別途ダウンロードする必要があります。「SQL Server 2000 DTS パッケージのデザイン時サポートのインストール」を参照してください。BI Development Studio で直接 DTS パッケージを開いたり変更したりすることはできません。
Integration Services データベース レベルのロールは、msdb データベース内の Integration Services システム テーブルに対する権限は付与しますが、msdb データベースの sysdtspackages などのような DTS システム テーブルに対する権限は付与しません。Management Studio での DTS パッケージのインポートなど、特定の管理タスクをユーザーが実行するには、先に DTS システム テーブルに対する権限をユーザーに付与する必要があります。Integration Services データベース レベルのロールの詳細については、「Integration Services のロールの使用」を参照してください。
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DTS パッケージのランタイム サポートのインストール
DTS パッケージと Integration Services パッケージは同じコンピューターで実行できますが、SQL Server 2008 では DTS パッケージのランタイム サポートはインストールされません。DTS パッケージを実行および管理するには、このランタイム サポートをインストールする必要があります。DTS ランタイム サポートをインストールする方法については、「データ変換サービス パッケージのサポートをインストールする方法」を参照してください。
DTS パッケージのランタイム サポートを提供する、旧バージョンとの互換性に関連するファイルには、SQL Server 2000Analysis Services 処理タスクとそれに依存する Decision Support オブジェクト (DSO) のランタイム サポートも含まれています。ただし、SQL Server 2000Analysis Services 処理タスクを含んでいる DTS パッケージを変更するためのデザイン時サポートは含まれていません。このタスクを含んでいるパッケージを変更できるのは、SQL Server 2000Analysis Services が同じコンピューターにインストールされている場合に限られます。
DTS パッケージのランタイム サポートを提供する、旧バージョンとの互換性に関連するファイルには、SQL Server 2000 データ マイニング予測クエリ タスクのサポートは含まれていません。
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コマンド プロンプトからの DTS パッケージの実行
DTS パッケージはコマンド プロンプトから実行できます。Integration Services で DTS ランタイム サポートをインストールするときに、dtsrun.exe ユーティリティがインストールされます。
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SQL Server エージェント ジョブからの DTS パッケージの実行
SQL Server エージェント ジョブから DTS パッケージを実行するには、ジョブ ステップを [オペレーティング システム (CmdExec)] に設定し、dtsrun ユーティリティ (dtsrun.exe) を使用してパッケージを実行する必要があります。 ジョブ ステップを [SQL Server Integration Services パッケージ] に設定することはできません。詳細については、「パッケージを実行する方法」を参照してください。
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Integration Services パッケージからの DTS パッケージの実行
DTS パッケージは、Integration Services パッケージの一部として実行することもできます。Integration Services には、Integration Services パッケージ内で DTS パッケージを実行するための DTS 2000 パッケージ実行タスクが用意されています。 詳細については、「DTS 2000 パッケージ実行タスク」を参照してください。
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DTS パッケージのデザイン時サポートのインストール
Business Intelligence Development Studio では、DTS パッケージを直接開いたり変更したりできません。また、SQL Server 2008 でも SQL Server 2005 でも、DTS パッケージを変更するための DTS パッケージ デザイナーはインストールされません。ただし、DTS パッケージ デザイナーをダウンロードしてインストールし、DTS パッケージの変更に使用することができます。DTS パッケージのデザイン時サポートをインストールする方法については、「データ変換サービス パッケージのサポートをインストールする方法」を参照してください。 このツールをインストールすると、Management Studio または Business Intelligence Development Studio の DTS 2000 パッケージ実行タスク エディターで DTS パッケージを表示および変更できます。
DTS デザイン環境に影響する DTS アプリケーションの特定のプロパティを管理する方法については、「DTS アプリケーション プロパティの設定」を参照してください。
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DTS パッケージの移行
SQL Server には、DTS パッケージを Integration Services パッケージ形式に移行するための DTS パッケージ移行ウィザードが用意されています。インストールで [Integration Services] を選択すると、DTS パッケージ移行ウィザードもインストールされます。必要であれば、DTS パッケージ移行ウィザードを使用して DTS パッケージを Integration Services 形式にアップグレードできます。ウィザードによる移行では、DTS パッケージがコピーされ、そのパッケージが Integration Services 形式で再作成されます。移行元のパッケージは変更されず、そのままの状態で保持されます。
注意 |
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DTS パッケージ移行ウィザードは、SQL Server の Standard Edition、Enterprise Edition、および Developer Edition で使用できます。 |
多くのパッケージを Integration Services に完全に移行できます。特にタスク、接続、および他のオブジェクトを使用する DTS パッケージは、Integration Services でも同等のものになります。他のパッケージは、DTS 2000 パッケージ実行タスクで移行できないタスクや機能をカプセル化することによって、正常に移行できます。 詳細については、「データ変換サービス パッケージの移行」を参照してください。
DTS パッケージ移行ウィザードを実行する前に、アップグレード アドバイザーをインストールして実行し、既存のパッケージに移行に関する問題がないかどうかを分析できます。詳細については、「アップグレード アドバイザを使用したアップグレードの準備」を参照してください。
注意 |
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SQL Server 7.0 インスタンスの msdb データベースに保存されている DTS パッケージは、アップグレード アドバイザーで分析したり、DTS パッケージ移行ウィザードで移行することはできません。ただし、構造化ストレージ ファイルとして保存されている SQL Server 7.0 DTS パッケージは、アップグレード アドバイザーで分析することも、DTS パッケージ移行ウィザードで移行することも可能です。また、SQL Server 2005 以降のバージョンにアップグレードされた SQL Server 7.0 インスタンスの msdb データベースに保存されている SQL Server 7.0 DTS パッケージも、アップグレード アドバイザーで分析したり、DTS パッケージ移行ウィザードで移行したりできます。 |
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パッケージを実行するコマンド ラインの移行
SQL Server 2000 の DTS dtsrun ユーティリティ (dtsrun.exe) のコマンド ライン オプションが、Integration Services の dtexec ユーティリティ (dtexec.exe) のオプションにどのように対応するかについては、「dtsrun オプションと dtexec オプションのマッピング」を参照してください。
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ODBC データ ソースのサポート
ODBC データ ソースに対するデータの読み込みまたは保存を行うには、ADO.NET 変換元または変換先を使用し、.NET Framework Data Provider for ODBC を選択します。スクリプト コンポーネントを使用して、単一のパッケージで使用するアドホックな ODBC 変換元または変換先を作成することもできます。詳細については、「スクリプト コンポーネントによる ODBC 変換先の作成」を参照してください。
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Meta Data Services (リポジトリ) パッケージのサポート
SQL Server 2000 Meta Data Services (リポジトリ) は推奨されないコンポーネントです。SQL Server 2005 以降のバージョンでは、リポジトリはインストールされず、使用されることもありません。
DTS デザイナーおよび dtsrun ユーティリティでは、リポジトリに保存された DTS パッケージが引き続きサポートされます。
Integration Services では、リポジトリ再頒布可能ファイルがローカル コンピューターにインストールされている場合に限り、アップグレード アドバイザーおよび DTS パッケージ移行ウィザードでのみリポジトリがサポートされます (コンピューターに SQL Server 2000 または SQL Server 2000 ツールがインストールされている場合は、通常このファイルが存在します)。リポジトリ再頒布可能ファイルが存在する場合は、リポジトリに保存された DTS パッケージをアップグレード アドバイザーでスキャンし、DTS パッケージ移行ウィザードで移行できます。 リポジトリ再頒布可能ファイルが存在しない場合は、SQL Server または構造化ストレージ ファイルに保存された DTS パッケージにのみ、アップグレード アドバイザーと DTS パッケージ移行ウィザードを使用できます。
Integration Services DTS 2000 パッケージ実行タスクでは、リポジトリに保存された DTS パッケージを実行できません。一方、SQL Server 2000 DTS ランタイムではこのようなパッケージを実行できます。このため、リポジトリに保存された DTS パッケージを Integration Services パッケージで実行するには、次の手順に従います。
Integration Services パッケージを実行しているコンピューターにリポジトリ ファイルがインストールされていることを確認します。リポジトリ ファイルをインストールするには、ローカル コンピューターに SQL Server 2000、SQL Server 2000 ツールまたはリポジトリ再頒布可能ファイルをインストールします。
リポジトリに保存されている DTS パッケージのラッパーとして新しい DTS パッケージを作成します。この DTS ラッパー パッケージで、パッケージ実行タスクを使用してリポジトリに保存されたパッケージを実行します。このラッパー パッケージは、SQL Server に保存するか、構造化ストレージ ファイルとして保存します。
Integration Services パッケージで DTS 2000 パッケージ実行タスクを使用して、新しい DTS ラッパー パッケージを実行します。
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SQL Server Express における DTS パッケージのサポート
SQL Server Express は、Integration Services を含んでおらず、DTS パッケージもサポートしません。ただし、次のいずれかの方法を使用することで、SQL Server Express を実行するサーバーで DTS パッケージを操作できます。
SQL Server Express を実行しているサーバーで既存の DTS パッケージを実行するには、サーバーに DTS ランタイムが必要です。 SQL Server Express には DTS ランタイムが含まれていませんが、SQL Server 2000 クライアント ツールまたは DTS 再頒布可能ファイルをインストールすることで、DTS ランタイムをサーバーにインストールできます。
SQL Server Express を実行しているサーバーで既存の DTS パッケージを変更するには、SQL Server 2000 ツールを使用します。 また、SQL Server の Workgroup、Standard、Enterprise、Developer のいずれかのバージョンを実行しているサーバー上の SQL Server Management Studio でリモートにパッケージを変更することもできます。SQL Server Express には SQL Server Management Studio が含まれていません。
既存の DTS パッケージを Integration Services に移行するには、Integration Services と共にインストールされる DTS パッケージ移行ウィザードが必要です。SQL Server Express にはこのウィザードが含まれていません。 このウィザードを実行するには、SQL Server の Standard、Enterprise、Developer のいずれかのバージョンを使用します。
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