Shared (Visual Basic)
宣言された 1 つ以上のプログラミング要素が、クラス全体または構造体全体に関連付けられ、クラスまたは構造体の特定のインスタンスに関連付けられないことを指定します。
解説
Shared を使用する状況
非共有であるクラスまたは構造体のメンバーを共有すると、各インスタンスがメンバーのコピーを別々に保持するのではなく、すべてのインスタンスがそのメンバーを使用できます。 このことは、たとえば、変数の値をアプリケーション全体で参照する場合に便利です。 そのような変数を Shared で宣言した場合、すべてのインスタンスがストレージ内の同じ場所にアクセスするため、あるインスタンスが変数の値を変更すると、すべてのインスタンスが変更後の値にアクセスするようになります。
共有メンバーとして宣言したからといって、アクセス レベルが変更されるわけではありません。 たとえば、クラスのメンバーを、共有プライベート メンバーとして宣言することも (クラス内でのアクセスのみ可能)、非共有のパブリック メンバーとして宣言することも可能です。 詳細については、「Visual Basic でのアクセス レベル」を参照してください。
規則
宣言コンテキスト。 Shared は、モジュール レベルでのみ使用できます。 つまり、Shared 要素の宣言コンテキストは、ソース ファイル、名前空間、プロシージャではなく、クラスまたは構造体である必要があります。
修飾子の結合。 同じ宣言内で Shared を Overrides (Visual Basic)、Overridable (Visual Basic)、NotOverridable (Visual Basic)、MustOverride (Visual Basic)、または Static (Visual Basic) と共に指定することはできません。
アクセス。 共有要素にアクセスするには、そのクラスや構造体の特定のインスタンスの変数名ではなく、クラスや構造体の名前を使用して共有要素を修飾します。 共有メンバーにアクセスするために、そのクラスや構造体のインスタンスを作成する必要もありません。
次の例は、Double 構造体で公開されている共有プロシージャ IsNaN を呼び出します。
If Double.IsNaN(result) Then MsgBox("Result is mathematically undefined.")
暗黙の共有。 Const ステートメント (Visual Basic) で Shared 修飾子を使うことはできませんが、定数は暗黙的に共有されます。 同様に、モジュールやインターフェイスのメンバーは Shared では宣言できませんが、暗黙的に共有されます。
Behavior
ストレージ。 共有変数や共有イベントは、そのクラスや構造体のインスタンスが何回作成されたとしても、メモリに一度だけ格納されます。 同様に、共有プロシージャや共有プロパティは、ローカル変数を 1 セットだけ保持します。
インスタンス変数を使用したアクセス。 クラスや構造体の特定のインスタンスを格納する変数の名前で修飾して、共有要素にアクセスすることが可能です。 この方法で予期しない動作が起きることは通常ありませんが、コンパイラは警告メッセージを表示し、変数名ではなくクラス名や構造体名を使ってアクセスします。
インスタンス式を使用したアクセス。 クラスや構造体のインスタンスを返す式を使用して共有要素にアクセスした場合、コンパイラは式を評価せず、クラス名や構造体名を使ってアクセスします。 この式を使ってインスタンスを返す他に何か別の処理も実行しようとしていた場合は、予期しない結果になります。 次に例を示します。
Sub main() shareTotal.total = 10 ' The preceding line is the preferred way to access total. Dim instanceVar As New shareTotal instanceVar.total += 100 ' The preceding line generates a compiler warning message and ' accesses total through class shareTotal instead of through ' the variable instanceVar. This works as expected and adds ' 100 to total. returnClass().total += 1000 ' The preceding line generates a compiler warning message and ' accesses total through class shareTotal instead of calling ' returnClass(). This adds 1000 to total but does not work as ' expected, because the MsgBox in returnClass() does not run. MsgBox("Value of total is " & CStr(shareTotal.total)) End Sub Public Function returnClass() As shareTotal MsgBox("Function returnClass() called") Return New shareTotal End Function Public Class shareTotal Public Shared total As Integer End Class
このコード例では、インスタンスを使って共有変数 total に 2 度アクセスしていますが、コンパイラは 2 度とも警告メッセージを生成します。 どちらの場合も、コンパイラは直接 shareTotal クラスを使ってアクセスし、インスタンスを使用しません。 プロシージャ returnClass を呼び出そうとしていた部分では、returnClass の呼び出しが行われないため、ここに追加されている "Function returnClass() called" というメッセージの表示は実行されません。
修飾子 Shared は、次の構文で使用します。