Visual Studio 2008 の新機能
更新 : 2008 年 7 月
このトピックでは、Visual Studio 2008 のいくつかの新機能および拡張機能と、関連するサービス リリースについて説明します。
トピック目次
Visual Studio 2008 SP1 の新機能
スマート デバイス プロジェクト
- 接続の頻度があまり高くないアプリケーション
Power Packs のコントロールとコンポーネント
DataRepeater コントロール
ライン コントロールとシェイプ コントロール
PrintForm コンポーネント
Printer Compatibility Library
Power Packs の配布
.NET Framework Client Profile のサポート
元の Visual Studio 2008 リリース バージョンの新機能
統合開発環境 (IDE: Integrated Development Environment)
設定の移行
コミュニティ コンポーネント
コミュニティ メニューおよびヘルプ メニュー
ウィンドウの管理
クラス デザイナ
プロジェクトおよびソリューション
Web アプリケーション プロジェクト
AJAX の開発
プロジェクト デザイナ
配置
編集
新しいデザイン ビューおよび CSS デザイン ツール
Jscript および ASP.NET AJAX 用の IntelliSense
オブジェクト ブラウザおよびシンボルの検索によるマルチ ターゲットのサポート
WPF デザイナ
データ
統合言語クエリ (LINQ: Language-Integrated Query)
クライアント アプリケーション サービス
レポート
新しいレポート プロジェクト
レポート ウィザード
式エディタの強化
レポート ビューアでの印刷
PDF の圧縮
MSBuild
特定の .NET Framework を対象にしたビルド
マルチ プロセッサの機能
ログの強化
項目定義
アセンブリの場所および名前の変更
言語およびテクノロジに関するその他の新機能
Visual Studio 2008 Service Pack 1 (SP1) の新機能
スマート デバイス プロジェクト
接続の頻度があまり高くないアプリケーション
Visual Studio には、SQL Server Compact および Microsoft Synchronization Services for ADO.NET (デバイス) を使用する、接続の頻度があまり高くないスマート デバイス アプリケーションを作成するツールが用意されています。詳細については、「接続の頻度があまり高くないアプリケーション (デバイス)」を参照してください。
Power Packs のコントロールとコンポーネント
従来、ダウンロードで提供されていた Microsoft Visual Basic Power Packs 3.0 のコントロールとコンポーネントは、Visual Studio 2008 SP1 に付属するようになりました。Power Packs は、Visual Basic と Visual C# のどちらの Windows フォーム アプリケーション プロジェクトでも使用できます。
Power Packs に含まれるのは、新しい DataRepeater コントロールに加え、これまでにリリースされた Line コントロールと Shape コントロールの更新バージョン、PrintForm コンポーネント、および Printer 互換性ライブラリです。
DataRepeater コントロール
新しい DataRepeater コントロールにより、標準の Windows フォーム コントロールを使用して、スクロール可能なコンテナにデータ行を表示できます。このコントロールは、標準のグリッド コントロールよりも高い柔軟性を備えています。
詳細については、「DataRepeater コントロールの概要 (Visual Studio)」を参照してください。
ライン コントロールとシェイプ コントロール
Line コントロールと Shape コントロールは、3 つのグラフィカル コントロールの集まりであり、デザイン時にこれらを使用してフォームまたはコンテナに線、楕円、および四角形を描画できます。これらのコントロールを使用することにより、ユーザー インターフェイスの外観を簡単に向上させることができます。Line コントロールと Shape コントロールには、System.Drawing 名前空間に含まれるグラフィックス メソッドの多くがカプセル化されています。そのため、グラフィックス オブジェクト、ペン、およびブラシを作成することなく、1 回の手順で線と図形を描画できます。グラデーション塗りつぶしなどの複雑なグラフィックス効果も、いくつかのプロパティを設定するだけで作成できます。これらのコントロールは、クリックやダブルクリックなどのイベントにも対応しているため、エンド ユーザーに応答したりエンド ユーザーと対話したりできます。
詳細については、「ライン コントロールとシェイプ コントロールの概要 (Visual Studio)」を参照してください。
PrintForm コンポーネント
PrintForm コンポーネントは、Visual Basic 6.0 と同様に Windows フォームを簡単に印刷できるように設計されています。PrintForm コンポーネントを使用することで、以前のように Windows フォームを思いどおりにレイアウトでき、ユーザーはフォームを簡易レポートとして印刷できます。詳細については、「PrintForm コンポーネント (Visual Basic)」を参照してください。
Printer Compatibility Library
Printer 互換性ライブラリを使用することにより、印刷ロジックを変更することなく、Visual Basic 6.0 の Printer オブジェクトと Printers コレクションを使用するプロジェクトをアップグレードできます。ライブラリに参照を追加し、Printer を宣言して、一部の構文を若干変更するだけで、Visual Basic 6.0 と同様に、Printers コレクションと Printer オブジェクトを使用してプロジェクトを印刷できるようになります。このバージョンでは、新しい Write メソッドが Printer オブジェクトに組み込まれています。この新しいメソッドを使用することにより、Visual Basic 6.0 の Print メソッドで使用されるセミコロン構文のように、強制改行を使用せずにテキストを印刷することができます。
詳細については、「Printer Compatibility Library」を参照してください。
Power Packs の配布
ブートストラップ パッケージも付属しており、これを使用することにより、アプリケーションと共に Visual Basic Power Packs を簡単に再頒布できます。これにより、チェック ボックスをオンにするだけで、ClickOnce プロジェクトまたはセットアップ プロジェクトに Power Packs を含めることができます。
詳細については、「Power Packs コントロールを参照するアプリケーションの配置」を参照してください。
..NET Framework Client Profile のサポート
Visual Studio 2008 SP1 は、新しい .NET Framework Client Profile をサポートしています。これは、クライアント シナリオに最適化された、.NET Framework の再頒布可能ライブラリです。Client Profile を使用する利点のいくつかを次に示します。
サイズが 200 K ほどのブートストラップによって、アプリケーションのセットアップ URL に迅速に対応できます。
統合されたカスタム UI によって、アプリケーションと Client Profile をパッケージ化し、簡単にインストールできます。
ファイル サイズが 26.5 MB と小さいため、迅速にインストールできます。
ClickOnce の配置
ClickOnce 配置には、次の機能が含まれています。
未署名のマニフェストの発行がサポートされました。詳細については、「方法 : アプリケーション マニフェストおよび配置マニフェストに署名する」の「未署名のマニフェストの生成」を参照してください。
[発行オプション] ダイアログ ボックスが強化されました。これらの機能強化には、以下のオプションの構成サポートが含まれます。
[ファイルの関連付け]
[エラー URL]。このオプションは、ClickOnce インストール時に使用されるダイアログ ボックスに表示する Web サイトを指定します。
[スイート名]。このオプションは、アプリケーションのインストール先となる、[スタート] メニューに表示されるフォルダの名前を指定します。
[配置プロバイダ URL の除外]。このオプションは、配置プロバイダの URL を配置マニフェストから除外するかどうかを指定します。
詳細については、「[発行オプション] ダイアログ ボックス」を参照してください。
元の Visual Studio 2008 リリース バージョンの新機能
統合開発環境 (IDE: Integrated Development Environment)
設定の移行
Visual Studio 2005 と Visual Studio 2008 を同じコンピュータにインストールしている場合は、Visual Studio 2008 を初めて起動するときに Visual Studio 2005 のほとんどの設定を移行できます。サードパーティ製のコード スニペットおよびアドインは自動的には移行できないため、Visual Studio 2008 で使用するには再度手動でインストールする必要があります。Visual Studio 2005 と Visual Studio 2008 を同じコンピュータにインストールしていない場合でも、Visual Studio 2008 で使用する Visual Studio 2005 の設定を手動で移行できます。詳細については、「方法 : コンピュータ間または Visual Studio のバージョン間で設定を共有する」および「Visual Studio の設定」を参照してください。
コミュニティ コンポーネント
Visual Studio 2008 を使用してコミュニティ コンポーネントを作成する場合は、そのコンポーネントを Visual Studio 2005 と Visual Studio 2008 で使用するためにインストールするのか、Visual Studio 2008 だけで使用するためにインストールするのかを、ContentVersion 要素の新しい値を使用して指定できます。Visual Studio 2005 で設計されたコミュニティ コンポーネントをインストールする場合、そのコンポーネントは Visual Studio 2005 と Visual Studio 2008 の両方で使用できるように自動的にインストールされます。
メモ : |
---|
設計によっては、Visual Studio 2005 を使用して作成されたコミュニティ コンポーネントが Visual Studio 2008 では機能しないことがあります。逆の場合も同様です。 |
詳細については、「方法 : Visual Studio コンテンツ インストーラを使用するためにコミュニティのコンポーネントをパッケージ化する」および「コミュニティ コンポーネントの基本事項」を参照してください。
コミュニティ メニューおよびヘルプ メニュー
[コミュニティ] メニューは、Visual Studio 2008 では削除されました。以前の [質問] コマンドと [質問の状態確認] コマンドは、[ヘルプ] メニューにある [MSDN フォーラム] という名前の新しいコマンドにまとめられました。[フィードバックの送信] コマンドも、[ヘルプ] メニューにある [バグの報告] コマンドになりました。[コミュニティ] メニューにあったその他のすべてのコマンドは、Visual Studio 2008 では削除されました。
ウィンドウの管理および一般的なユーザー要素
いくつかのユーザー インターフェイス (UI: User Interface) 要素が更新されました。次のようなものがあります。
[IDE ナビゲータ] : インターフェイスの改善によって、項目間の切り替えが容易になりました。
ツール ウィンドウの対象へのドッキングが改良され、ドッキングが容易になりました。
コモン ダイアログ ボックス : Visual Studio 2008 では、カスタム ダイアログ ボックスではなく Windows 標準のダイアログ ボックスが使用されます。これにより、Windows とより一貫性のあるナビゲーション エクスペリエンスが実現されました。
新しいオプションの [環境フォント] を使用すると、[フォントおよび色] ([オプション] ダイアログ ボックス - [環境]) の [設定の表示] の一覧では個別に識別されない IDE 要素にカスタム フォントを指定できるようになりました。
クラス デザイナによる Visual C++ コードのサポート
以前のバージョンの Visual Studio では、クラス デザイナでマネージ言語 (Visual C# と Visual Basic) のみがサポートされていました。Visual Studio 2008 では、クラス デザイナでネイティブ C++ コードが限定的にサポートされるようになりました。これは、視覚化とドキュメント作成の場合にのみ使用できます。クラス デザイナにおける Visual C++ のサポートの詳細については、「クラス デザイナにおける Visual C++ コードの使用」を参照してください。
プロジェクトおよびソリューション
Web アプリケーション プロジェクト
新しい Web アプリケーション プロジェクト モデルにより、Visual Studio .NET 2003 Web プロジェクト モデルと同じ Web プロジェクト セマンティクスが提供されます。たとえば、構造がプロジェクト ファイルに基づいている点や、プロジェクトのすべてのコードを単一のアセンブリにコンパイルすることによってビルド モデルを作成する点が共通しています。新しいプロジェクト タイプではさらに、Visual Studio 2005 と ASP.NET 2.0 の新機能の多くがサポートされています。Visual Studio 2005 の新機能には、クラス ダイアグラム、テスト開発、ジェネリックなどがあり、ASP.NET 2.0 の新機能には、マスタ ページ、データ コントロール、メンバシップとログオン、ロール管理、Web パーツ、パーソナル化、サイト ナビゲーション、テーマなどがあります。
Visual Studio 2005 の Web アプリケーション プロジェクト モデルでは、Visual Studio .NET 2003 の Web プロジェクトに必要な次の 2 つの要素が削除されています。
FrontPage Server Extensions によるアクセス。これは不要になりましたが、サイトで既に使用されている場合はサポートされます。
インターネット インフォメーション サービス (IIS: Internet Information Services) のローカル コピーの使用。新しいプロジェクト モデルでは、IIS および組み込みの ASP.NET 開発サーバーの両方がサポートされます。
次のいずれかの操作を行う必要がある場合は、Web アプリケーション プロジェクトを使用します。
大規模なアプリケーションを Visual Studio .NET 2003 から Visual Studio 2005 に移行する必要がある。
出力アセンブリの名前を制御する必要がある。
スタンドアロン クラスを使用して、ページ コントロール クラスおよびユーザー コントロール クラスを参照する必要がある。
複数の Web プロジェクトを含む Web アプリケーションを構築する必要がある。
コンパイル時にビルド前のステップおよびビルド後のステップを追加する必要がある。
Web アプリケーション プロジェクトの詳細については、「Web アプリケーション プロジェクトの概要」を参照してください。
AJAX の開発
次世代のユーザー インターフェイスを備えた Web アプリケーションや Visual Studio 2005 の新機能を使用する再利用可能なクライアント コンポーネントを作成できるようになりました。サーバー ベースのアプローチ、クライアント ベースのアプローチ、またはそれらを組み合わせたアプローチを必要に応じて使用して Web ページを開発できます。AJAX のサーバー ベースおよびクライアント ベースのプログラミング モデルは、以下によってサポートされます。
サーバー ベースの AJAX 開発をサポートするサーバー コントロール。たとえば、ScriptManager、UpdatePanel、UpdateProgress、Timer などのコントロールです。これらのコントロールにより、部分ページ レンダリングや非同期ポストバック時の更新の進行状況の表示などのリッチ クライアント動作をクライアント スクリプトをほとんど使用せずに作成できます。
クライアント ベースで、ブラウザ非依存のオブジェクト指向開発をサポートする Microsoft AJAX Library。AJAX 対応の新しいサーバー コントロールをサポートするだけでなく、クライアント ライブラリによって、DOM 要素を拡張したり DOM 要素を表したりするカスタム クライアント コンポーネントを開発できます。
イベントとプロパティが宣言によって設定されるカスタム クライアント コンポーネントにマップされるサーバー コントロールを開発できるサーバー クラス。この機能をサポートするサーバーの種類には、ExtenderControl または ScriptControl のベース クラスから派生するコントロールや IExtenderControl または IScriptControl のインターフェイスを実装するコントロールなどがあります。
スクリプトのグローバリゼーションおよびローカリゼーションのサポート。グローバリゼーションにより、日付と数値をカルチャの値 (ロケール) に基づいて表示できます。ローカリゼーションにより、ローカライズされたコンテンツ (テキストやイメージなど) を UI 要素または例外メッセージのクライアント コンポーネントに指定できます。
Web サービスへのアクセスと、ASP.NET の認証、ロール管理、およびプロファイル アプリケーションの各サービスへのアクセス。
Visual Studio 2008 では、特定のページで非同期の部分ページ更新を容易に行うことができます。これによって、ページ全体のポストバックによるオーバーヘッドが回避されます。これは、既存のコントロールおよびマークアップを UpdatePanel コントロール内に配置するだけで行うことができます。UpdatePanel コントロール内からのポストバックは非同期のポストバックになり、パネル内のページの一部だけが更新されます。これにより、より滑らかなユーザー エクスペリエンスを実現できます。部分ページ更新の進行状況は、UpdateProgress コントロールを使用して表示できます。
プロジェクト デザイナ
プロジェクト デザイナによる Windows Presentation Foundation (WPF) アプリケーションのサポート
Visual Studio 2008 に Windows Presentation Foundation (WPF) アプリケーションが追加されました。WPF プロジェクトには次の 4 種類があります。
WPF アプリケーション (.xaml、.exe)
WPF ブラウザ アプリケーション (.exe、.xbap)
WPF カスタム コントロール ライブラリ (.dll)
WPF ユーザー コントロール ライブラリ (.dll)
WPF プロジェクトを IDE に読み込むときに、プロジェクト デザイナの各ページのユーザー インターフェイスで WPF アプリケーション固有のプロパティを指定できます。
プロジェクト デザイナによる Web アプリケーション プロジェクトのサポート
Visual Studio では Visual Studio 2005 Service Pack 1 で Web アプリケーション プロジェクトが追加されていましたが、これは Visual Studio 2008 にも含まれています。新しい Web アプリケーション プロジェクト モデルでは、Visual Studio 2005 および ASP.NET 2.0 の機能で更新されたことを除き、Visual Studio .NET 2003 Web プロジェクト モデルと同じ Web アプリケーション プロジェクト セマンティックスが提供されます。Visual Studio のプロジェクト デザイナによる Web アプリケーション プロジェクトのサポートには、次の制限があります。
[設定] ページでは、Web アプリケーション プロジェクトはアプリケーション スコープの設定になります。詳細については、「[設定] ページ (プロジェクト デザイナ)」を参照してください。
[署名] ページでは、マニフェスト署名オプションが無効になります。これは、Web アプリケーション プロジェクトでは ClickOnce 配置が使用されないためです。詳細については、「[署名] ページ (プロジェクト デザイナ)」を参照してください。
プロジェクト デザイナによるマルチ ターゲットのサポート
マルチ ターゲットを使用すると、特定のバージョンの .NET Framework をコードの対象にできます。
.NET Framework 2.0 (Visual Studio 2005 に含まれていました)。
.NET Framework 3.0 (Windows Vista に含まれています)。
.NET Framework 3.5 (Visual Studio 2008 に含まれています)。
マルチ ターゲットをサポートするために、これらのオペレーティング システムを指定できる新しい [対象のフレームワーク] ドロップダウン リストが Visual Basic の [コンパイラの詳細設定] ダイアログ ボックスと C# の [ビルドの詳細設定] ダイアログ ボックスに新たに追加されました。詳細については、「[ビルドの詳細設定] ダイアログ ボックス (Visual Basic)」および「[ビルドの詳細設定] ダイアログ ボックス (C#)」を参照してください。
配置
ClickOnce の配置
ClickOnce の配置では、次の新機能が追加されました。
ClickOnce は WPF Web ブラウザ アプリケーションの配置をサポートします。WPF Web ブラウザ アプリケーションは Web ブラウザでホストされます。したがって、WPF Web ブラウザ アプリケーションは、配置とセキュリティに関して特別な設定を必要とします。これらのアプリケーションを作成および配置する際には、Visual Studio によって適切なユーザー インターフェイスと既定値が用意されます。
ClickOnce では、ISV は ISV の顧客の会社名、アプリケーション名、および配置 URL やサポート URL を使用してアプリケーション マニフェストに再署名することもできます。エンド ユーザーがアプリケーションをインストールするときの "このアプリケーションを信頼してもよろしいですか?" のダイアログ ボックスには、ISV のオリジナルの会社ブランド設定が依然として表示されます。
プロジェクト デザイナの [発行] ページまたは発行ウィザードを使用して、Visual Studio Tools for Office アプリケーションを作成および配置できます。
ClickOnce は、Windows Vista でのユーザー アカウント制御 (UAC: User Account Control) 下のマニフェスト生成をサポートします。
Visual Studio Tools For Office を使用している場合、ClickOnce で Office アドインおよびドキュメントの配置がサポートされます。詳細については、Visual Studio Tools for Office Developer Center Web サイトを参照してください。
サードパーティのブラウザに対する ClickOnce のサポートが向上しています。旧バージョンでは、サードパーティのブラウザにインストールするには、プラグインを使用していましたが、これが原因で問題が発生することがありました。新しいバージョンでは、[ファイル名を指定して実行] を使用して、ClickOnce ファイルを直接インストールできます。
ファイル名の拡張子を ClickOnce アプリケーションに関連付けて、関連付けられているファイルの種類から ClickOnce アプリケーションを直接起動できます。詳細については、「方法 : ClickOnce アプリケーションのファイルの関連付けを作成する」を参照してください。
アプリケーションの配置場所の変更および証明書の有効期限の処理について、ClickOnce のサポートが向上しています。ClickOnce のセキュリティ モデルの詳細については、.NET Framework Developer Center Web サイトの「Configuring ClickOnce Trusted Publishers」を参照してください。
セキュリティ上の理由から、ClickOnce アプリケーションは常にユーザー単位でインストールおよび実行されます。Windows Vista UAC からの管理者特権を要求するアプリケーションをインストールしようとすると、インストール中にエラーが適切に処理されます。
Windows インストーラ配置
Windows インストーラ配置は、Windows Vista および最新バージョンの .NET Framework 用に更新されました。
UAC 下で動作しているときでも Windows Vista へのインストールがスムーズになるように、Windows インストーラが更新されました。
.NET Framework 起動条件は、新バージョンの .NET Framework 3.0 および 3.5 のターゲットとなるアプリケーションをサポートします。
メモ : 既存の Visual Studio プロジェクトを Visual Studio 2008 で開いた場合は、既存プロジェクトの .NET Framework 起動条件 Version プロパティが現在のバージョンに変更されます。その Version プロパティは適切な値に戻す必要があります。
詳細については、「配置の新機能」を参照してください。
編集
新しいデザイン ビューおよび CSS デザイン ツール
Visual Studio 2008 には、カスケード スタイル シート (CSS: Cascading Style Sheets) を今までよりも簡単に操作できるいくつかの新しいツールを持つ豊富な CSS 編集機能が備わりました。レイアウトのデザインおよびコンテンツのスタイル設定の大半は、[CSS のプロパティ] グリッド、スタイルの適用ペインとスタイルの管理ペイン、およびスタイルの適用ツールを使用してデザイン ビューで作業できます。配置、埋め込み、およびマージンの変更も、WYSIWYG ビジュアル レイアウト ツールを使用してデザイン ビューで行うことができます。
Jscript および ASP.NET AJAX 用の IntelliSense
IntelliSense は大幅に改善されており、JScript の作成および ASP.NET AJAX スクリプトの作成がサポートされるようになりました。<script> タグを使用して Web ページに実装されるクライアント スクリプトでは、.js スクリプト ファイルと同様に IntelliSense を利用できるようになりました。
また、IntelliSense で XML コード コメントが表示されます。XML コード コメントは、クライアント スクリプトの概要、パラメータ、および戻り値の詳細を記述するために使用されます。また、ASP.NET AJAX では、IntelliSense に ASP.NET AJAX の型およびメンバを指定するためにも XML コード コメントが使用されます。IntelliSense は、XML コード コメントを使用する外部スクリプト ファイルの参照でもサポートされます。
オブジェクト ブラウザおよびシンボルの検索によるマルチ ターゲットのサポート
オブジェクト ブラウザ で .NET Framework または .NET Compact Framework の単一バージョンの情報のみが表示されるように指定できるようになりました。また、[シンボルの検索] ([検索と置換] ウィンドウ) の検索を .NET Framework または .NET Compact Framework の単一バージョンのみに制限できます。
WPF デザイナ
Windows Presentation Foundation (WPF) デザイナを使用すると、WPF のアプリケーションおよびカスタム コントロールを IDE で作成できます。WPF デザイナにより、XAML のリアルタイム編集と強化されたグラフィカルなデザイン時の操作が結合されます。WPF デザイナの新機能は次のとおりです。
SplitView を使用すると、グラフィカルなデザイナ内でオブジェクトを調節し、基になる XAML コードに対する変更をすぐに表示できます。また、XAML コードに対する変更はグラフィカルなデザイナ内にすぐに反映されます。
[ドキュメント アウトライン] ウィンドウを使用すると、デザイナ、ドキュメント アウトライン、XAML エディタ、および [プロパティ] ウィンドウ間ですべての対象を同期しながら XAML を表示および移動できます。
XAML エディタの IntelliSense により、迅速なコード入力を行うことができます。IntelliSense では、ユーザーが定義した型がサポートされるようになりました。
デザイナのグリッドにグリッド線を追加し、グリッド ベースで簡単にコントロールを配置できるようになりました。
スナップ線を使用すると、コントロールおよびテキストを簡単に整列できます。
デザイナで、ユーザーが定義した型の読み込みがサポートされるようになりました。これには、カスタム コントロールやユーザー コントロールが含まれます。
大きな XAML ファイルの読み込みをキャンセルできます。
デザイン時機能拡張 (DTE: Design-Time Extensibility) で、デザイン モードおよびプロパティ エディタがサポートされています。
詳細については、「WPF デザイナ」を参照してください。
データ
オブジェクト リレーショナル デザイナ (O/R デザイナ) を使用すると、開発者はアプリケーションとデータベース間の対応付けを行う LINQ to SQL オブジェクトを作成および編集することができます。O/R デザイナは、LINQ to SQL により使用される DataContext、エンティティ クラス、および DataContext メソッドを作成することで、リモート データベースと通信し、アプリケーションで使用されるデータを処理します。詳細については、「O/R デザイナの概要」を参照してください。
型指定されたデータセットの n 層サポートによってデータセット デザイナの機能が拡張され、TableAdapter コードおよび型指定されたデータセットのコードを別個のプロジェクトに簡単に分離できるようになりました。詳細については、「n 層データ アプリケーションの概要」を参照してください。
階層更新機能がデータセット デザイナに組み込まれ、関連する複数のテーブルにデータを保存できるようになりました。新しい TableAdapterManager オブジェクトが型指定されたデータセットに追加されており、参照整合性を維持するために必要な保存ロジックを含む生成コードを利用できます。TableAdapter ごとに Update メソッドを呼び出す代わりに、TableAdapterManager.UpdateAll メソッドを呼び出します。詳細については、「階層更新」を参照してください。
ローカル データベース キャッシュはアプリケーションに SQL Server Compact 3.5 データベースおよび Microsoft Synchronization Services for ADO.NET を組み込み、そのデータとサーバー上のリモート データベースを定期的に同期させるようにアプリケーションを準備します。ローカル データベース キャッシュにより、アプリケーションとデータベース サーバーの間のラウンド トリップの数を低く抑えることが可能です。これにより、めったに変更されないデータを操作する場合や、アプリケーションがリモート データベースにいつも接続できるとは限らない場合のパフォーマンスが向上することがあります。詳細については、「接続の頻度があまり高くないアプリケーションの概要」を参照してください。
Microsoft SQL Server Compact 3.5 は、デスクトップ コンピュータ、スマート デバイス、および Tablet PC に配置できる小さなデータベースです。さらに、SQL Server Compact 3.5 は、アプリケーションに簡単に組み込んだり配置したりできるローカル データベースです。詳細については、「SQL Server Compact 3.5 (Visual Studio) の使用」を参照してください。
Visual Studio 2008 のデータの詳細については、「データの新機能」を参照してください。
統合言語クエリ (LINQ: Language-Integrated Query)
統合言語クエリ (LINQ) は Visual Studio 2008 の一連の新しい機能で、強力なクエリ機能を C# 言語および Visual Basic 言語の構文へと拡張します。LINQ では、データのクエリと変換のための標準的で学習しやすいパターンが導入されており、潜在的にはすべての種類のデータ ソースをサポートするように拡張できます。Visual Studio 2008 には、.NET Framework コレクション (LINQ to Objects)、SQL データベース (LINQ to SQL)、ADO.NET データセット (LINQ to ADO.NET)、および XML ドキュメント (LINQ to XML) に対して統合言語クエリの処理を実行できるようにする LINQ プロバイダ アセンブリが含まれています。
詳細については、次のトピックを参照してください。
統合言語クエリ (LINQ: Language-Integrated Query)
標準のクエリ演算子は、LINQ パターン内でクエリ機能を構成する方法です。標準クエリ演算子の詳細については、以下のトピックを参照してください。
クライアント アプリケーション サービス
.NET Framework 3.5 ではクライアント アプリケーション サービスが新しく追加され、Windows ベースのアプリケーション (Windows フォーム、Windows Presentation Foundation アプリケーションなど) で ASP.NET のログイン、ロール、およびプロファイルの各サービスに容易にアクセスできるようになりました。これらのサービスを使用すると、ユーザーを認証したり、共有サーバーからユーザー ロールとアプリケーション設定を取得したりできます。
クライアント アプリケーション サービスは、Visual Studio プロジェクト デザイナまたはアプリケーションの構成ファイルでクライアント サービス プロバイダを指定および構成することによって有効にできます。これらのプロバイダは Web 拡張モデルに組み込まれ、これにより .NET Framework の既存のログイン、ロール、および設定の各 API を使用して Web サービスにアクセスできます。クライアント アプリケーション サービスでは、ローカル データ キャッシュにユーザー情報を格納しておき、アプリケーションのオフライン時にはこのキャッシュからユーザー情報を取得することで、たまにしか接続されない環境もサポートされます。
詳細については、「クライアント アプリケーション サービス」を参照してください。
レポート
Visual Studio 2008 には、いくつかの新しいレポート機能と機能強化が追加されています。
新しいレポート プロジェクト
Visual Studio 2008 には、レポート アプリケーションの作成用に 2 つの新しいプロジェクト テンプレートが用意されています。[新しいプロジェクト] ダイアログ ボックスには Reports Application テンプレート、[新しい Web サイト] ダイアログ ボックスには ASP.NET Reports Web サイト テンプレートが追加されました。新しい Reports Application プロジェクトの作成時には、レポート (.rdlc)、およびレポートにレポート ビューア コントロールが組み込まれたフォーム (.vb または .cs) が Visual Studio によって用意されます。ASP.NET Reports Web サイト プロジェクトの場合は、レポート (.rdlc)、レポートにレポート ビューア コントロールが組み込まれた既定の ASP.NET ページ (.aspx)、および Web 構成ファイル (.config) を含む Web サイトが Visual Studio によって作成されます。
レポート プロジェクトを作成すると、新しいレポート ウィザードが開始されます。このウィザードを使用してレポートを作成するか、またはウィザードを閉じて手動でレポートを作成できます。
レポート ウィザード
Visual Studio 2008 では、基本的なレポートの作成手順を具体的に説明するレポート ウィザードが導入されました。このウィザードでは、レポート データ ソースの選択、データ セットの定義、レポートの種類 (表形式または行列) の選択、およびレポートへのスタイルの適用を行います。ウィザードが完了した後に、レポート デザイナを使用してレポートを拡張できます。
レポート ウィザードは、新しい Reports Application プロジェクトまたは ASP.NET Reports Web サイト プロジェクトが作成されると自動的に開始されます。
式エディタの強化
式エディタには、レポートの式に使用できるサンプル式が追加されました。サンプル式をレポートにコピーし、そのまま使用したり必要に応じて変更したりできます。
レポート ビューアでの印刷
ASP.NET レポート ビューア コントロールがローカル処理用に構成された場合、RSClientPrint コントロールを利用できるようになりました。これにより、コントロールで処理されたレポートをレポート サーバーに依存せずに印刷できます。
PDF の圧縮
レポート ビューア コントロールがローカル処理用に構成された場合、PDF 形式で描画またはエクスポートされたレポートをレポート ビューア コントロールで圧縮できるようになりました。
MSBuild
特定の .NET Framework を対象にしたビルド
特定のバージョンの .NET Framework 用のプロジェクトを MSBuild でビルドできるようになりました。この新機能は、いくつかの新しい API 関数でサポートされます。詳細については、「特定の .NET Framework を対象とするビルド」を参照してください。
マルチ プロセッサの機能
システムでマルチ プロセッサが使用されている場合は、マルチコアのプロセッサなのか、複数の独立したプロセッサなのかを MSBuild が認識するようになりました。MSBuild は使用できるプロセッサをすべて使用し、プロジェクト全体のビルド時間を減少させます。詳細については、「複数のプロセッサを使用したプロジェクトのビルド」を参照してください。
ログの強化
ビルド イベントのログ機能がアップグレードされ、マルチ プロセッサによるビルドを実行できるようになりました。MSBuild では、中央集約的なログ モデルに加えて分散的なログ モデルをサポートするようになり、"転送ロガー" と呼ばれる新しいテクノロジが導入されました。詳細については、「MSBuild でのログ」を参照してください。
項目定義
新しい ItemDefinitionGroup プロジェクト ファイル要素を使用すると、プロジェクト内のすべての項目に適用されるグローバルな既定のメタデータ値である一連の項目定義を定義できます。詳細については、「項目定義」を参照してください。
アセンブリの場所および名前の変更
Visual Studio 2008 では、MSBuild アセンブリのファイル名および場所が更新されました。次のアセンブリは、ファイル名に "v3.5" が付加されました。
Microsoft.Build.Conversion.v3.5.dll
Microsoft.Build.Utilities.v3.5.dll
Microsoft.Build.Tasks.v3.5.dll
また、次のビルド アセンブリの格納場所は \Program Files\Reference Assemblies\Microsoft\Framework\v3.5\ になりました。
Microsoft.Build.Conversion.v3.5.dll
Microsoft.Build.Engine.dll
Microsoft.Build.Framework.dll
Microsoft.Build.Utilities.v3.5.dll
Microsoft.Build.Tasks.v3.5.dll ファイルは、\Windows\Microsoft.NET\Framework\v3.5\ に格納されています。
言語およびテクノロジに関するその他の新機能
参照
概念
その他の技術情報
Windows Communication Foundation とは
Windows Workflow Foundation の概要
履歴の変更
日付 |
履歴 |
理由 |
---|---|---|
2008 年 7 月 |
Visual Studio 2008 SP1 の新機能に関するセクションを追加。 |
SP1 機能変更 |