BI 計画ソリューションとシナリオの基本的な計画シナリオ

 

適用先: SharePoint Server 2010 Enterprise

トピックの最終更新日: 2011-01-28

Microsoft Office 2010 は、組織における基本的な計画およびデータ入力に関するいくつかの有益なサポートを提供します。計画およびデータ入力のシナリオは、基幹業務 (LOB) ソフトウェア アプリケーションやエンタープライズ リソース プラニング (ERP) ソフトウェア アプリケーションに通常存在しない以下のようなデータの取得に関連します。

  • 組織の将来の見通しに関連するデータ (計画、予算、および予測)

  • 準備と取得を手動で行う一時的なデータ

前述の 2 つの要件に加えて、さらに高度で複雑なビジネス モデリング活動をサポートする Microsoft Excel は、何年もの間、インフォメーション ワーカー (IW) によって広範に使用されました。

この記事の内容:

  • 計画シナリオについて

  • ビジネス インテリジェンス プラットフォームのメリット

  • ソリューションの範囲

計画シナリオについて

基本的な計画およびデータ入力

  • ライン管理者は、計画された新規雇用数と予測される新規雇用数に関するデータを提供する必要があります。

  • ライン管理者は、運営費 (OPEX) の計画と予測に関するデータを提供する必要があります。

  • 販売製品管理者は、市場シェア、販売数量、価格設定、収入と財務諸表の数字に関する、競合他社や競合製品との比較データを提供する必要があります。

  • 管理者は、組織の主要業績指標 (KPI) の目標に関するデータを提供する必要があります。

高度な計画およびデータ入力

  • IW は、ビジネスの前提条件 (販売数量、原材料価格など) の変更が収益性、キャッシュ フロー、および財務の安定におよぼす可能性のある影響についてのリスク プロファイルを他の管理者が "迅速に" 評価できるようにするビジネス モデルを構築する必要があります。

  • 組織は、割り当てられた資本控除と資本制限の影響を受ける新しい設備投資プロジェクトを IW が入力できるようにする必要があります。また、相対的で計算されたプロジェクト条件に基づいたプロジェクトを経営者が承認できるようにする必要があります。

  • 組織は、販売およびマーケティング機能から提供された世界的需要の販売数量に基づいて、調達管理者と工場管理者がサプライ チェーンと生産能力をモデル化し、収益性を最適化できるようにする必要があります。

  • 組織には、世界中の 2,000 人の販売要員が入力し、販売管理チームがレビューと承認を行った週単位の販売予測が必要です。

  • 数百から数千を超えるユーザーに関する複雑なセキュリティ要件。

  • 数百から数十万を超える事実の記録に関する、IW からの大量データ送信。

基本的な計画およびデータ入力と、高度な計画およびデータ入力のその他の特徴

前述の例を考慮すると、基本的な計画およびデータ入力と、高度な計画およびデータ入力の各シナリオを区別するいくつかの他の側面が見られます。それらは以下のとおりです。

  • これらのシナリオには、入力されるデータ量と比較して、多くのビジネス計算とビジネス ルールが組み込まれていません。

  • IW は主にデータを入力するだけであり、データ入力に基づいて計算結果を生成する必要はありません。

  • IW は、数値データを入力しますが、新しい行項目、製品の詳細、プロジェクトの詳細、新しい雇用の詳細は入力しません。

  • IW が入力したデータについてのレビューと承認プロセスが最小限度で済むか、必要とはされません。

  • データ入力をサポートするために必要とされるモデルが単一モデル (通常、Excel スプレッドシートの 1 つのシート) です。別の見方をすると、比較的少ないメンバーとアイテムが含まれる 2 ~ 5 のディメンションにモデルの次元が制限されています。

  • これらのシナリオには多くの計算ルールが含まれており、複雑さが増しています。データ入力値の 1 つの変更によってモデル全体の再計算が発生する場合があります。たとえば、"計画販売数量" など、1 つのアイテムの値の変更によって、総売上高、ボリューム ディスカウント、売上原価、およびボリュームに基づく支出項目の再計算が必要になります。これは、さらに、収益レベル、利益率、キャッシュ フローなどに影響します。

  • 高度なシナリオでは、多くの場合、IW に、計算されたルールおよび結果との高度な対話機能が必要です。IW は、データ入力の一環として、計算結果を確認する必要があります (What-if シナリオ)。

  • 人とプロジェクトを中心とする計画に関連する多くの状況では、IW は、計画に関する数値データを入力するだけでなく、新しい人およびプロジェクトを入力する必要があります。また、たとえば、人材の等級レベルを指定するなど、詳細を変更できる必要もあります。

  • 高度な計画およびデータ入力のシナリオは組織の潜在的な業績と財務的結果に影響を与えます。これらのシナリオが、データ レベルで、組織の経営者によって適切にレビューされることが非常に重要です。

  • 高度な計画のシナリオで必要とされるモデル化には、以下のような複雑性が存在する可能性があります。

    • Excel ブック内に複数のシートがあることに相当する複数のモデルと、リンクされた Excel スプレッドシート。

    • 計画シナリオをサポートするために 1 つのモデルに多くのディメンション (5 より大、および 10 以上) があり、ディメンションに、1 万~ 10 万におよぶメンバーまたはアイテムが含まれる。

    • ブランドレベルでの製品階層の計画、SKU レベルでの予測など、さまざまな階層の詳細。

ビジネス インテリジェンス プラットフォームのメリット

計画およびデータ入力のシナリオで Microsoft Office 2010 と SQL Server 2008 R2 を使用することによるメリットと優れた点は何でしょうか。

Office 2010 と SQL Server 2008 R2 が提供する重要な機能は、一元的データ モデルへのデータ入力を可能にする機能、特に、SQL Server のリレーショナル データベース テーブルによってサポートされる SQL Server 2008 Analysis Services です。なぜ、これが重要なのでしょうか。

計画およびデータ入力の最も基本的なシナリオにおいても、組織が複数のスタッフに同じデータ入力フォームまたはテンプレート (通常は Excel スプレッドシート) へのデータ入力を求めることはよくあります。これにより、以下の影響が生じます。

  • IW は、複数のブックを作成し、他の IW のデータ入力用にそのブックを配布する必要があります。

  • 各ブック内でデータが潜在的に重複します。

  • 分散スプレッドシート モデルへの変更および更新は、問題が多く、時間のかかる手動作業になる可能性があります。

  • ブック内でデータ レベルのセキュリティが確保されません。

  • データが別々のブックに個々に保管されており、一元的なデータ保存機能がありません。

  • 分散された多くのブックからのデータの集計は、問題が多く、時間のかかる手動作業です。

  • プロセスから収集したデータは、手動で操作する (コピーして他のアプリケーションに貼り付けるなど) 以外に、簡単に再利用できません。

  • ビジネス ルール、組織の構造、および組織の前提条件が各ブックに実装されており、データ品質に対するリスクが生じます。

SQL Server を一元的データ モデルとして使用することによるメリットは何でしょうか。

  • 以前に強調したとおり、SQL Server 2008 Analysis Services では、一元的データ モデルが提供されます。これにより、分散されたスプレッド マートと比較して、(技術ユーザーによる) 保守と更新が容易になります。

  • データ レベルのセキュリティを Analysis Services データ モデルに適用して、どのユーザーがどのデータを表示できるかを制限し、ユーザーのデータ入力条件を制御できます。

  • Analysis Services は、市場をリードする OLAP エンジンであり、ディメンションに階層を含めることで、データが自動的に集計されます。

  • Analysis Services では、多くのツールとデータの接続がサポートされているため、入力されて保管されたデータを他のアプリケーションで再利用できます。

  • データ入力とレポートに関して、Excel 2013 を Analysis Services と併用することによるメリットは、以下のとおりです。

    • IW は、慣れ親しんだ Excel を使用して、書き戻し機能付きのピボットテーブル経由でデータ入力を行います。

    • IW は、一貫性のある規定されたデータ モデルに対して独自のデータ入力フォームを設計できます。ただし、Excel 2013 では、データ入力用に定義された領域 (期間の範囲を指定する入力領域など) を持つピボットテーブルを作成することはネイティブにサポートされません。これを作成するにはカスタマイズが必要です。

    • IW は、Excel が提供するアドホック機能を使用することもできます。

SharePoint を使用すると、プロセス ワークフローでドキュメントのレビューと承認を使用できます。

ソリューションの範囲

これらの記事の範囲に関して、AdventureWorks という架空の会社の一連の計画シナリオに関連するソリューションを設計します。ソリューションの名前は、AdventureWorks Planning です。

このドキュメントに記載されている例の会社、組織、製品、人、場所、および出来事は架空のものです。実際の会社、組織、製品、人、場所、または出来事との関係は一切ありません。

Microsoft 2010 プラットフォーム上に構築されたソリューションが架空会社の以下のビジネス要件をどのように満たすことができるかについて示します。

  • 計画、予算計上、および予測において、少なくとも 10 人の IW からのデータの同時送信がサポートされる。

  • データ セキュリティが地理的に適用される必要がある。

  • 予測は 1 か月おきに詳細が作成され、予算は年に 1 度作成される。

  • 会計年度は毎年 1 月に開始される。

  • 予測のデータ入力は製品 SKU レベルで実行される (SSAS の "データ メンバー" 機能を使用して階層がクライアント コンピューターとして定義されている場合、データは、製品ブランド レベルのような、さまざまな階層レベルでも入力できます。このソリューションでは、SKU レベルの入力が示されます)。

  • データ入力は、さまざまな地域、さまざまな通貨で行われる。

  • 組織の単一の財務ビューがすべての地域にさまざまな通貨の種類で提供される (通貨変換)。

  • ソース システムから実績が読み取られ、会計期間の終了後に予測期間が開始されて会計年度末まで続く。会計期間の終了は毎月変わる。

  • HR 部門は、年に 1 度、支払等級によって支払レートを更新する。

  • ライン管理者は、支払等級の仮定を使用して、新しい人員数を調整し、割り当てる。

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